2006/12/02

暗いところで待ち合わせ

 原作を読まないで見てきましたが不思議な映画です。殺人事件から始まりますが、この映画の主題は殺人事件ではありません。心を開いて外へ出て行くには勇気が要りますが、一組の男女がどうやってその勇気を手に入れたか、それを描いています。

 視力と父親を亡くして一人で暮らす女。職場でいじめに遭って居場所を無くし、おまけに殺人犯として追われる男。心を閉じた二人の人間が奇妙な同居生活を続ける内に、次第に人間として心を開き、周りの人間と疎通できるようになって行きます。居場所を無くした男は、大切なのは場所ではなく、そこにいても良いと言ってくれる人なんだ、と複雑な表現で女に告白します。外に出たくないと言っていた女も最後は男に「散歩に行くから付き合って」と言い出します。その散歩の途中で美男美女が見つめ合えば次はラブシーンに決まっていますが、この映画にはそういう色っぽいシーンは一つもなく、そのままスタッフロールが始まってしまいます。主演女優さんは初代の「がんばって行きまっしょい」で世に出た人でありまして、確かその前は博多でモデルをしていたはず。この人は「はつ恋」も良かったです。

 「暗いところで待ち合わせ」不思議な題ですが、見終わってみれば何となく言わんとする事が解ります。「暗いところ」とは、光を失った主人公のことだけではなく、人が心を閉じた姿を言っているようです。面白くないことが続くとつい「暗いところ」に閉じ籠もりたくなることもありますが、ずっと閉じ籠もっているわけには行きません。そこから引っ張り上げてくれるのはやはり人の心です。固まった人の心を溶かして引っ張り上げてくれるものはやっぱり人の心、「暗いところで待ち合わせ」という題はそんなことを連想させる上手い付け方と思います。

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