2006/10/29

水の花

 また一生モノの宝物に巡り会いました。地味な映画です。東京・大阪・愛知・秋田の4都市:5映画館でしか公開されない小品です。しかしこれは私にとって旅の重さ秘密に続く半生通算3番手ぐらいに入れても良い、勿論今年最良1番の映画です。物語の粗筋ははこちらにありますから改めてご紹介しません。

 音楽も良いです。美奈子が弾くピアノに合わせて優がバレエを踊る場面は今までに映画で見た中で最良の一つです。7才の女の子が静かなピアノに合わせて庭先でバレエを踊る、こんな場面で涙が止まらなくなるとは、我ながらちょっと信じられませんでした。その少し前、この異父姉妹が海辺で花火をする場面があり、綺麗な絵だなと感心した直後の追い打ちでした。最後はちょっと不思議な終わり方をします。優とはぐれて一人で海岸を歩く美奈子、優がもうすぐ大人に保護されることは観客にしか見えません。美奈子は母が優に与えた口紅を付けています。その唇をそっと自分の指でなぞる美奈子。この映画はどういうラストに持っていくんだろう、ハッピーエンドにはならないだろうけど、と思った瞬間に画面が暗転してスタッフロールが始まります。私が映画の良し悪しを測る物差しにしているスタッフロール中席立ち率は勿論ゼロでした。優を演じているのは「小野ひまわり」ちゃんという現時点で8才、撮影時点で(多分)7才の女の子です。ちゃんとした演技ができて、ちょっと長いシーンの台詞も喋れて、かつバレエの基礎もできている、という少女を見付けてこないとこの作品はできません。

 監督・脚本は若干24才の木下雄介という人だそうです。これは凄いです。年齢からすれば当然この年頃の女の子を育てた経験はなさそうです。それがどうしてこの脚本を書けるんでしょう。大阪で今週末まで、その後は下高井戸で来月の1週間公開されるだけ、DVD化されるかどうかも解りませんが、もしこの後可能ならご覧になることをお勧めします。女の子を育てたことのある方なら多分泣きます。

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