2006/11/25
アイルランドといってもなかなかピンと来ませんが、この映画で少し理解できました。大英帝国から独立を勝ち取った国の一つで、独立を勝ち取るまでには当然沢山の血が流されています。さらに独立した後も、名ばかりの自由政府と傀儡政権による実質的な属国の状態を拒否する人々との間で内戦が起きます。今のイラク情勢を理解するにも良い事例かも知れません。人類って本当に同じ事を進歩しないまま繰り返すんですね。
英国兵とアイルランド民衆の間には殆ど意志疎通が成立しない様子がこの映画の前半で描かれています。そこにあるのは問答無用で高飛車な命令と怒鳴り合い、そして暴力だけです。それが後半は条約批准派と独立派、つまりアイルランド人同士の怒鳴り合いに代わります。アイルランド国民の自由と幸福という目的は全く同じ筈の人々が、それを実現する手段が違うために怒鳴り合い、殺し合います。話し合いません。自由政府に刃向かうものは破門する、と叫ぶ牧師に向かって疑問を呈する市民がいます。牧師は単に反対するなら出て行けと言うだけです。これは自分の間違いを認めたのと同じ事です。自分が正しいと確信するなら、反対する人の話を傾聴し、その間違いを指摘し、正しいことを説けるはずだからです。反対するなら出て行けでは、自分も正しいと思っていませんと白状しているのと同じです。これは戦争映画ですが、程度の差はあってもこれと同じ事は平時でも起きます。普通の暮らしの中でも起きます。悲惨な戦争映画を見て、現在の日本がこういう状態にないことを感謝するだけでも勿論十分です。しかしこうして考えの異なる人との意志疎通を拒否することがあらゆる不幸の源であることを改めて思い直したい、そういう気にさせてくれることで、この映画はとても価値がありました。