2007/01/21
子供の虐待が主題です。「愛を乞うひと」以来、たとえ100%の作り話と解っていても子供が苛められるシーンでは自分の神経が保たないことを解っていますので、その時は途中で出ようと思いつつ見始めましたが、余り酷いシーンはなくその点は安心できました。しかしこうやって親が子供を無関心のまま放置してしまうのは積極的に虐待するのと全く同じで、子供の心にはさぞかし深い傷を残すはずです。劇中の「さち」ちゃんは、前半殆ど台詞がありません。虐待で心が凍り付いてしまっている子供の姿が上手く表されていました。
後半、松太郎と心が通じ合うようになり、少女は初めてまともに口を利き始めます。途中で出合った青年「ワタル」を含めた3人が遊園地で遊ぶシーンで、この少女は初めて年齢相応の無邪気な笑顔を見せます。僅か5才にしてこの心が凍り付いた虐待少女から普通の幸せそうな女の子の表情までを見せる杉浦花菜ちゃんという子役でこの映画は半分ぐらい保っています。
日本映画はハリウッドとは違いますので、この話もハッピーエンドにはなりません。少女はまたあのだらしない母親やそのヒモが暮らすゴミ溜めのような部屋の隅で、耳を塞いで暮らすことになるのでしょう。松太郎が刑務所から出ても少女は迎えに来ません。少女と松太郎はこの後どうするんだろう、という余韻を残してスタッフロールが始まります。エンディングで流れる「傘がない」は四半世紀ぶりぐらいに聴きましたが、この話によく合っています。これもまた「スタッフロール中席立ち率」ゼロの、印象深い映画でありました。