2009/07/05

P.S. アイラヴユー

アイルランドでの出会い  死んだ人から定期的に手紙が届く、という「ニライカナイからの手紙」の洋画版とも呼ぶべき映画でありました。ニライカナイと違う点は、送り主がもう死んでいることは最初から種明かしされており、観客も登場人物も知っていること、描かれているのが夫婦の情愛で、ニライカナイで描かれた親子の情愛とはずいぶん趣きが違うことです。死者から手紙が届く仕掛けは両方とも同じようなもので、意外性はありません。手紙の送り主は、自分が死んだ後、自分への思いを断ち切れずに長い時間苦しむであろう相手を思い、次の人生へ踏み出す助走を一緒にしています。死んだ後、この世に残る相手に影響を与え続けられるものは第一に手紙というわけです。
アイルランドの風景  その手紙を一度に届けではダメで、相手の精神状態が付いてくる適時に届ける必要があります。そのために、どうしても生きている人間(協力者)の手が必要です。当然ながらその協力者は100%善意の人であり、かつ死者の頼みを長期に渡って忠実に実行してくれる人でなければなりません。そんな協力者が得られること、つまり生きている内に相当な人徳を積んでおくことが、死んだ後の手紙作戦を成功させるコツです。

 私にはとてもできそうにありませんが、映画の仕掛けとしては大変効果的なものでありました。
 劇中で主人公に対して母親が言います。親に取って耐え難いことは第一に子供が自分より先に死ぬこと、第二に子供が自分と同じ人生を歩むのを止められないことだと。第一は当然ですが、それと並び称するほど第二が耐え難いということは新しい発見でした。思えば私の半生も“青春に悔いなし”どころか悔いだらけ、二人の子供が私の悔いから学習する機会なく、同じように悔い多い人生を送り、私にそれを止める術もないなら相当に悲しいのは確かです。幸いにして二人共、今のところそれぞれ同じ年齢の私よりずっとマシな生き方をしています。有難い事です。

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