2009/05/03

レイチェルの結婚

 一つの確立した分野である家族愛モノです。題名になっているレイチェルは主人公ではありません。主人公は彼女の妹「キム」です。キムは薬物異存で9ヶ月施設に入っていますが、姉レイチェルの結婚式直前に帰ってきます。社会的に成功しつつある常識人の姉に対して、キムは殆ど人格破綻者として描かれます。

 彼女は自分の薬物依存のせいで幼い弟を死なせたことが心の傷になっています。精神に問題を抱えた妹が姉の結婚式に帰って来る所から色々な問題が顕在化していきます。家族愛ネタの映画ですから、当然ラストはキムが心を開き、普通の人々とちゃんとコミュニケーションできるようになって、めでたしめでたしで終わりそうなのですが、最近のハリウッド映画はそう簡単にハッピーエンドを見せてくれません。結局キムは施設に戻り、トラブルの種を始末した姉はめでたく結婚生活に入ります。弟を死なせた時点でキムは既に薬物依存者ですが、どうしてそうなったのかは描かれていません。

 一つ印象的な場面があります。キムは何やらお盆らしき物の上に蝋燭を立て、それに火を灯して水に浮かべます。これは我が国伝統の「精霊流し」です。彼女が誤って死なせてしまった弟をどんなに想っているか、こんな場面で描かれます。また結婚式前に両家の顔合わせがあるのですが、そこで出席者一人一人がマイクを取って「自分は何者である。」ということを説明します。私が参画している日本システムアドミニストレータ連絡会でも集まるとよく「リレースピーチ」をやります。お互いをよく理解するためには最良の方法です。職場の飲み会でも、酒飲んで偉い人と歓送迎される人だけが型どおりの挨拶をしている、なんて詰らないことは止めて、1人1分で良いですからリレースピーチをやった方が良いと思います。

 派手な事は何もない、多分大ヒットはしそうもない映画です。TVのゴールデンタイムで放送されることもないかもしれません。しかし、地味で細やかな心理がうまく描写されている映画が好きな人は、一度見ておく価値はありそうです。

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