2009/05/31
邦題は「スタートレック」ですが、40年以上の昔に放送された「宇宙大作戦」の作り直しですし、明らかにそれに嵌まっていた人を再度嵌めるための映画ですから、ここはやはり「宇宙大作戦」と訳すのがよろしいようです。
物語は主人公「カーク」が生まれる時から始まります。彼は成長するに従い「スポック」に出会い、「ウラ」(字幕では「ウフーラ」)「マッコイ」に出会い、「チェコフ」も登場します。「加藤」が登場しないのは残念です。USSエンタプライズ号は余り登場しませんが、地上で組立て中の姿が見られるのは収穫です。巨大宇宙戦艦というのは宇宙空間で組み立てられるものと思っていましたから。地上で組み立てたUSSエンタプライズ号をどうやって宇宙空間に送り出すのか、いずれ描いて欲しいものです。 今回の敵「ロミュラン」は物質をブラックホールに変える力を持っていまして、最後はそれで自滅するのですが、ここでブルーバックス科学好きとしては一つの無理を発見します。カークとスポックの活躍でロミュランの超巨大宇宙船(スターウォーズの「Death Star」を意識してると思います)が潰れてブラックホールになっていきますが、その時USSエンタプライズ号は脱出が遅れてその重力に捕らえられ、今や危うし!となります。これは科学的に変です。ある物質がブラックホールになる場合、それによって急に重力が激増する訳ではないからです。 物質はどんなものであれブラックホールになり得るそうですが、それはその物の密度が上がっていき、大きさがその質量に対してそこからの脱出速度(遠心力で引力を振り切れる速度・地球なら11.2km/sでしたっけ?)が光速と等しくなる大きさ、シュヴァルツシルト半径以下になった場合です。つまりある物質がブラックホールになるのは自分の重力に対して自分の大きさが自分の力で支えきれなくなり、シュヴァルツシルト半径以内に潰れてしまうことによって起きます。急に変わるのは大きさであって重力じゃありません。ロミュランの宇宙船がブラックホールになるなら、それは船体が潰れて小さくなっていき、ある大きさ以下になった場合に外から見えなくなるだけで、その物質その物の重力が急に大きくなるわけではありません。 注:この場合、ブラックホールに近づけば近づくほど、周囲から見た時間の経過が遅くなり、(ブラックホール側から見れば周囲の時間経過が速くなり)結局観察者はブラックホールになる瞬間を観察できないそうですが、その話を始めるとボロが出ますので、端折ります。いずれにしても、これはSF娯楽活劇であって、余りややこしい事を考えて見るものではないようです。 時空を越えてやってきた老スポックの役は40年前のTVシリーズでスポック役をやった人がもう一度演じています。スターウォーズの初期3部作と後期3部作で、パルパティン(元老院議員&ダース・シディアス&皇帝)役を同じ人がやっているのと似ていますね。また最後はカークが皆の前で表彰され、USSエンタプライズ号の船長(後期では「艦長」と訳されていますが)に任命される儀式で終わります。これもスターウォーズ第4話(つまり第1作)とそっくりです。どこまで行っても旧人類を懐かしがらせる工夫が一杯の新作でありました。 “Live long and prosper”これを読んでいただいた皆さんにも「長寿と繁栄」がありますようお祈りします。あ、、、これもスターウォーズの“May thr Force be with you.”「理力があなたと共にありますように」の焼き直しだったりして。