2008/11/08
美貌の女主人公が何故山奥の民宿で自殺を図るのか、という前提については殆ど説明がなく、ちょっと違和感のあるところからスタートしますが、その説明は最後まで殆どされません。若い娘だろうがナンだろうが、生きてりゃしんどいことの二つや三つあって当たり前でしょ、という事でしょうね。途中から女主人公には彼氏が登場し、一方男主人公はかつて婚約者に自殺されたらしいことが説明されます。男主人公がその彼女を忘れなれないことを示す小道具として腕時計が使われています。私は腕時計というものを持ち歩く習慣が全くありませんが、亡き彼女を偲ぶために電池の切れた腕時計をずっと身に付けているというのも謎掛けとして凝っています。優秀な会社員であったらしい男主人公が、何故こんな3年に2組しか客の来ない民宿の主人をやることになったのかという謎も順番に解き明かされていきます。女は自殺に失敗したあとこの男の人柄に触れ、自然豊かな宮津の中で癒されて行き、最後はもう一度元の場所へ戻っていきます。
この美男美女が最後はどうなるのかが途中から気になります。もし男が「行くな」と止めれば女は男の元に残りそうな気配を見せますが、最後まで色っぽいシーンは何もなく、主役男女は深々とお辞儀をし合って別れてしまいます。何だこれで終わりかいと思えば、スタッフロールの後、男が女を懐かしむ場面が出てこの映画は本当に終わります。最後の1場面で“多分女はもう一度男のところに戻るんだろうなあ”と思わせる仕掛けになっているようです。
主演男優さんはどこかで見た人だな、と思えば「のどごしアップやでえ」さんでありました。主演女優さんの演技は些か固い感じもしましたが、若さと美貌でちゃんと補ってあります。都会の人間関係を一旦棚上げし、こんな山奥の美しい自然以外何もない民宿で長期滞在してみるのも良いかも知れぬ、と思える作品でありました。
ちょっと気になる点としては、死ぬ気で睡眠薬を大量に飲んだ場合、32時間丸まる眠り続けてその後何の問題もなく健康生活を送れる、というのは映画の中だけであり、良い子は絶対真似しちゃダメ、ということです。自殺に失敗して23年間もリハビリ生活し、近年亡くなった大歌手の方が現実だということを生きている我々は知っておいた方が良さそうです。