2008/11/15
吉永小百合主演!と聞いただけでついつい見たくなってしまう私ですが、この作品は余りのめり込めませんでした。何と言っても主人公「宮崎康平」の言動が余りにも気違いじみていて、自分の気持ちをそこに重ね合わせることが到底できないまま、物語はあれよあれよという間に進んで行ってしまうからです。その妻「和子」も登場時点での役年齢と女優さんの年齢が合わなさ過ぎ、かつこの女性がこの気違いじみた主人公に引かれて行く理由や背景の説明が殆どないまま二人は一緒になってしまいます。
映画であろうと小説であろうと、観客や読者が物語に引き込まれるのは、自分が主人公の気持ちに重なるからです。自分もこの状況ならこうしただろうと納得し、その状況で振舞っている自分を想像するから物語に入り込めるのです。ナンボ何でもこんなことあるワケないじゃん、と思うようなことが周辺で起きても「引き込み」にはマイナスですが、この作品はそもそも主人公男女の言動が「あるワケないじゃん」です。SFであろうと時代劇であろうと喜劇であろうとこの点は同じで、観客が主人公に感情移入できなければ、その物語を見る意味はゼロです。物語の終盤、かなり有名な女優さんが、突然何の脈絡もなく花屋の役で一瞬だけ出てくる必然性も殆ど理解できません。私の好きな女優さんなので、画面に出るなら出るでちゃんと必然性のある出方をして欲しいものです。
私の好みがかなり偏っていることは承知していますが、この作品は残念ながら吉永小百合の名を一層高めるものにはなりそうもないと感じつつ帰ってきました。「母べえ」や「北の零年」の再来を期待したいです。