2007/03/04
見よう見ようと思いつつ劇場公開期間を逃してしまい、やっとDVDで見ました。一寸難解な映画でした。余り儲からない家業を継ぎ、油まみれになって働きながら女にも縁が無く、独身のまま中年に差し掛かりつつある兄。自由奔放に行きながらちゃんと成功しつつあり女にも不自由しない弟。兄は幼なじみの智恵子を吊り橋から突き落としたのでしょうか。それとも事故か。映画は最後まで余り明らかにしません。最後に近いところで、兄はやはり最後まで智恵子を助けようとしてそれでも智恵子は落ちてしまったようにも見える場面が描かれます。これは弟の目に映った光景として描いたのでしょう。であれば兄は何故殺人を自供したのか。何故弟は事実を見ながら殺人との目撃証言をしたのか。映画は最後まではっきりとは描きません。
先日起きた短大生バラバラ殺人事件に少し重なって見えます。歯学部を目指して3浪中の冴えない兄。女優という夢を着々と実現しつつある美貌の妹。状況はそっくりです。
題名の「ゆれる」は、事件の現場となった吊り橋が「ゆれる」と兄弟の気持ちが「ゆれる」の両方を意味する微妙な付け方です。7年後出所した兄は弟を見て何故か少し笑ったように見えます。不思議なラストシーンです。途中、兄弟は智恵子が酒を呑むとどうした、という話をします。しかし後になって智恵子は殆ど酒が飲めないことが示されます。つまり兄は前夜弟が智恵子と呑みに行ったわけではないことを知っているはずです。兄は前夜2人が関係したことを薄々知っていた、橋の上ではやはり50%ぐらいの殺意はあった、事故と殺人のどちらとも断定できない「ゆれる」決着がこの映画の落ちであるようです。こういう微妙な味付けが日本映画の一番面白いところかも知れません。