2008/11/22

なっております。

【用例】

 こちら広告掲載商品の帆立となっております。

【解説】

 ま、なりますのバリエーションですが“帆立になります”よりもう一段当事者度が低いのが特徴ですね。

という語感です。別に今更何も驚くことはないんですが、かなりの音量で「ほたてとなっております。」「ほたてとなっております。」「ほたてとなっております。」「ほたてとなっております。」「ほたてとなっております。」「ほたてとなっております。」「ほたてとなっております。」と繰り返されました。殆ど身震いがするほど異様な光景でありました。 

 何故これ程異様な語感なのでしょう。自分なりにもう少し気持ちの底を探ってみました。

 まずこの人はこのスーパーの店員です。つまり客から見れば第一当事者(を代表する人)です。ですから帆立売り場で発声すべきは「当店では帆立を販売しておる。バター焼きフライ或いは鍋物にお勧めする。今朝和歌山港に上がったばっかりのピチピチである。さあらっしゃらっしゃい。安いよ旨いよ。」と、要するに第一当事者としての、一人称による発言が一番相応しいわけです。だって客は店を代表しているその人を信用し、その人にお金を払い、その人から買うわけです。店を代表しているその人が販売の主体でなくて誰が主体たり得ましょうや。

 それに対して
>こちら広告掲載商品の帆立となっております。
では、この人は単に商品の在処を示しているだけで、商品を売る主人公はどこにもいません。この人は本来この場では主人公のはずなのに通行人の役を演じているんです。必殺の仕掛け針を打ち込む梅安先生をやるべき人が、「あっ、心の臓の発作だ!」と叫ぶ通行人をやっているわけです。これはやはり言葉のやり取りとして異様です。

注:「必殺仕掛人」を見ていなかった人は読み飛ばして下さい。


 QUICPay付きのnanacoというクレジットカードを使い始めました。ローソンで買い物をして、QUICPayで支払う旨を告げ、これを出しますと「こちら、nanacoとなっております。」と窘(たしな)められる事があります。確かにローソンでnanacoを出すというのも変なものではあります。「こちら、QUICPayになっております。」と返そうかな、と思いつつまだ一度もできません。まだまだ修行が足りぬようでごじゃりまする。2008/10/06

 いや、、、この程度で感心してはなりませんでした。先日はそのnanacoを申込んだ当のセブンイレブンでこのnanacoを出し、QUICPayで支払う旨を告げたところ、同様の反応でした。自社ブランド商品の機能ぐらい知っとけよ、なんて言える時代じゃないのは承知ですが。。。。。2008/11/22


「こちらは禁煙席になっております」の貼り紙  何ら珍しいものではないのですが、「なっております」の成り立ちがよく解るような掲示ですので引用してみました。

 とあるセルフ式喫茶店です。「こちらは禁煙席になっております」の由。これは一種の伝聞或いは引用ですね。禁煙をお願いする主体である人はどこにもいません。「当店では禁煙をお願いしております。」なら禁煙をお願いする主体は「当店」です。或いは店長でも良いでしょう。しかし「こちらは禁煙席になっております」に、登場人物としてお願いする主体はいません。「私も良く知らないんですけどね。何かこちらは昔から禁煙になってるそうですよ。」「へえ〜〜〜そうなんだ〜〜。。。店側で決めたのかな。」「さあ〜〜〜〜私も通りすがりなもんで。」といった語感です。当事者度ゼロですね。通りすがりの人が何故店内に掲示しているのかよく解りませんが、勿論こういうことは余り深く考えてはなりません。奇妙日本語の存在理由は全て語感ですから。

 一定の責任回避効果を認め、コレクションに入れておきたいと存じまする。2008/10/28

 “したいと思います”,“みたいな”よりは1段低い4つ星を差し上げることと致します。☆☆☆☆

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