2009/09/05

1万円からお預かりします。

【用例】

1.1234円になりま〜〜す。1万円からお預かりしま〜〜す。
2.1234円になりま〜〜す。丁度からお預かりしま〜〜す。
3.1234円になりま〜〜す。カードからお預かりしま〜〜す。

【解説】

 最初はお釣りがある場合に使われた言葉だと思います。1234円出すときに、1万円札と細かい234円があれば10234円出して9000円お釣りを受け取る場合があります。従って相手が10000円出し、その後小銭を出しそうで出さない場合、10234円ではなく、10000円から計算しますよ、小銭は出さないのね?という確認の意味で使い始めたのではないでしょうか。それがいつの間にか定着して、その上「丁度からお預かりしま〜〜す。」「カードからお預かりしま〜〜す。」も普通の言葉になってしまったのではないかと思います。


 さて、今日は久しぶりに新しいバリエーションに出会いました。「1万円からお預かりになりま〜す。でごじゃりまする。

 これは単なる組合せの変化ではなく新しい奇妙度を形成しています。「お(動詞)になる」という表現はその主語になる人に対するかなり高い敬意を表す敬語です。「おいでになる。」「お話しになる。」「お掛けになる。」「お亡くなりになる。」ね、みんなその動詞の主語に当たる人に対する最上級の敬語でしょ。そしてこの「お預かりになります。」はどなた様がお預かりになるのでしょうか。言っている自分ですよね。これはつまり自分に対する最上級の敬語なんです。ということは「恐れ多くも俺様が預かって下さるぞよ。」と言っているわけです。いやはや、これはもう単なる新丁寧語ではありませんね。


 さらにBBSへおいで下さった<Katukiyo>さんから御寄進頂きました。「1万円からお会計失礼しま〜す。」に遭遇された由。この組合せの妙技を極限まで磨き上げるなら「1万円からお会計のほう 失礼 させて頂いてよろしかったでしょうか〜〜〜」ぐらいまではいずれ行きそうですね。ナンボ何でも長すぎる、、、などと呆れておられるようでは、奇妙日本語を楽しむことはできません。


↑なんて言っておりましたら、本日伊丹空港内の喫茶店で「1万円のほうからお預かりしま〜〜〜〜〜〜す。」に出会いました。いずれ「1万円のほうからお預かりさせて頂く 形になりますよろしかったでしょうか〜〜〜」に出会える日を思うと胸が躍るようで御座います。2006/05/07


 久しぶりに新たなバリエーションに出会いました。「“丁度”でお預かりしま〜〜〜す。」です。単なる組み合わせの変化ですから、この表現が出てくること自体は時間の問題でした。興味深いのはこの時出したのが現金ではなくカード(PASMO)だったことです。

 カードなんだから“丁度”は当たり前と思ってはなりません。PASMOやSUICA、Edyといった電子マネー(前払い)は残高が不足した場合、店によっては残りを現金で払うことができる場合があります。このおねいさんは「電子マネーの残高が足りました、ご安心の程を」という意味で“丁度”と言ったんでしょうか。であれば出したのが電子マネーではなくクレジット(後払い)ならどんな表現になるのでしょうか。クレジットなら決済できるかできないかの何れかであり、中間はありません。そう思って次に同じコンビニの別の店へ行ったとき、クレジットカードの「iD」を出してみましたが、この時受け取ったレジおねいさんは「お預かりしま〜〜〜す」人ではありませんでした(爆)。

 あのおねいさんがカードの種類を見て、これはクレジット、これは電子マネー、それを意識して口上を変えている可能性は殆どないとは思いますが、いつか同じ店に行って同じおねいさんを探し、iDを出してみるという検証を行ってみたいものです。

 いやはや、奇妙語観察も手間と元手が掛かることです(笑)。2009/09/05

単なる組み合わせパターンではなく、決済手段の多様化に合わせて刻々変化している点を評価します。 ☆☆☆

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