2009/05/18
キャッシュレス生活未だ実現せず
前世紀半ば過ぎに子供時代を過ごした私にとって、21世紀はSFがたくさん実現するはずの時代でした。一つは高層ビルの間を通り抜ける高架道路とその上を走る車輪の無い自動車です。前者は意外に早く実現してしまいましたが、後者はホバークラフトという形で一部実現したものの決して現在の車輪付き自動車に取って代わるものにはなっていません。そしてもう一つは、「お金」(現金)というものはなくなるだろうという話です。![]() |
私がご飯を頂戴している損害保険業界は暫く前から「キャッシュレス」に力を入れています。要するに保険料を現金以外の手段で頂戴したいわけです。一番の手段は初回口振、つまり第2回以降は勿論のこと初回保険料から口座振替というものですが、これは損害保険会社にとって非常にリスキーなものです。従来初回保険料を現金で受領した瞬間が保険責任を開始する瞬間としていたからです。キャッシュレス化することによって保険責任の発生時点を特定することがかなり難しくなり、それは保険会社にとって一つのコスト増大要因です。それでもキャッシュレスを進めたいのは、現金を取り扱うコスト(費用・リスク)がそれ以上に大きいからです。小売業や飲食業サービス業の皆さんにとって、そのコストはそれほど高くないのでしょうか。電子通貨に全く対応する気のない、“親子といえども現金払い”の店へ行くたび、不思議な気分になります。 そこで21世紀も8年目の今、私は個人レベルでも何とか1週間をキャッシュレスで暮らせないものかと、工夫しています。そのためVISA付きのPASMO、QUICPay付きのnanaco、VISA Touch、そしてJCB付きのiD、今のところ4種類のクレジット(注1)を持ち歩いています。殆ど趣味ですね(笑)。 |
注1.QUICPay、VISA Touch、iDはクレジットカードではなく電子通貨ではないか、といった話はまた別途。私にとって「後払電子通貨」と「クレジット」の区別はありません。区別する意味があるとお考えの方は是非ご教示の程を。敢えて言うならクレジットカード「接触型」と「非接触型」という分け方なら多少の意味はあるでしょう。非接触型はカード自体を店員に渡す必要がありませんから安心とも言えます。しかしサークルKサンクスのように接触型クレジットカードでも客自身が直接挿入する、つまり店員にカードを渡す必要がないレジもありますので、利用者に取ってこの分け方の意味も今後減っていくでしょう。
またPASMOはクレジットではなく前払いの電子通貨ですが、VISAからのオートチャージができますので、一応クレジットのようなものとして付き合っています。実際は“残高を気にしなければならない”という弱みがあり、クレジットつまり後払電子通貨と同列には入れられません。
できれば1枚のカードで全部済ませたいのですが、現実に4枚になってしまうのは次のような訳です。
非現金決済の導入に比較的熱心なのはコンビニエンスストアです。深夜の強盗に遭う危険性が高いですから、現金管理コストが最も高い業種なんでしょうね。思えば1990年代前半、ローソンが系列のオレンジカード(現在のOMC)で決済できるようになったのが、大手コンビニエンス・ストアでクレジット決済が始まった最初でした。擬人化された人参がサングラスを掛けてビーチパラソルの下に寝そべっているという派手なデザインのカードを私も愛用しました。その後ミニストップも系列のイオンカードが使えるようになり、こちらは擬人化されたソフトクリームのデザインだったと記憶しています。その後ローソンもミニストップも決済可能カードを自社系列だけでなく一般のカードに拡大し、いつの間にかサークルKサンクスも各社カードに対応し、am/pmはID+Pasmo、ファミリーマートは自社ブランドカード+Suica/Pasmo+iDが使え、最後に残ったセブンイレブンはQUICPayが使用可能になり、これで事実上全てのコンビニエンスストアで非現金決済ができるようになったのです。
できれば現金というものを全く持たずに1週間を過ごしたいと思っている私にとって、まずコンビニエンスストア全社が対応してくれて一歩前進でありました。しかしファーストフードは最大手のマクドナルドが上にも書きましたとおり一部店舗でiDだけの対応、スターバックスは接触式クレジットカード/一部店舗でiDに対応していますが、その事実を積極的には公表していません。ドトール・ヴェローチェなど他のセルフ式喫茶店は全滅、ファミリーレストランも最大手のすかいらーくグループが完全未対応と、キャッシュレス外出が可能になるためには、外食産業が最後の関門です。駅周辺は立ち食い蕎麦屋までPASMO/SUICAに対応しているのですが、駅を離れると急激に現金限定割合が増えます。現金を持たずに外出できるようになるのはまだまだ先のことのようです。2009/02/08