2009/01/17
加点主義のアメリカ人
アメリカで旅客機をハドソン川に不時着水させた機長が国民的な英雄になっています。双発機の離陸上昇中、両方のエンジンが同時に止まるという滅多にない事故に見舞われたのに、その機を住宅街に墜落させることもなくグライダーのように滑空して安全な川の上に不時着水させるなんて、素人から見ても神業であることが解ります。素晴らしい機長です。しかし私はこのニュースから強い違和感を受けました。同じことが日本で起きたら機長は国民的英雄になったでしょうか。羽田を離陸して上昇中、大森か蒲田上空で両エンジン停止、一つ間違えば山王の高級住宅街か蒲田銀座が火の海になるところ、冷静な機長は事故機をグライダーのように滑空させて多摩川の水面に着水させ、人身被害を事実上ゼロに収めた、しかし高価な旅客機は失われ、多摩川および東京湾はジェット燃料の流出で大きな環境破壊を受けた、といった事件だったとします。まず日本では機長は英雄にならないでしょうね。原因はどうであれ事故を起こした第一当事者は機長である、人的被害がなかったのは不幸中の幸いに過ぎない、として航空会社が陳謝することになったはずです。
このニュースを見て、日本人とアメリカ人ではものの考え方が見事に正反対であることを痛感します。このニュースは明らかに加点主義の考えで成り立っています。全てが減点主義を基調に成り立っている日本人社会と綺麗に正反対です。で、オマエはどっちなんだ?とお尋ねですか。私は100%の日本人ですが、この機長は英雄であり、それを素直に称えられるアメリカ社会は活気のある社会、オバマさんも勇気ある人だと思います。日本は未来に於いてもアメリカに敵わないでしょう。ま、こんなこと言ってるから私も少し変っていると思われているのですが。。。。
【ニューヨーク支局】「奇跡のパイロット」−−。米ニューヨークのハドソン川に旅客機が不時着水した事故が大惨事とならなかったのは、USエアウェイズのチェスリー・サレンバーガー機長(57)が冷静、沈着な判断で操縦できたためだ。米国のメディアやネット上のブログでは「真の英雄」との称賛の声が広がった。
AP通信によると、サレンバーガー機長が機体の異常に気づいたのは離陸直後だった。管制官に無線で「ダブル・バードストライクだ」と、左右のエンジンに鳥が巻き込まれたことを報告、いったんはラガーディア空港に引き返そうとした。眼下に見えたニュージャージー州北部の別の滑走路への緊急着陸も要請した。だが、エンジンは出火、炎上し、機体はみるみる降下を続けた。機長は機体を左旋回させ、ハドソン川に沿って南下した。「衝撃に備えて踏ん張ってください!」−−。機長が機内放送で叫び、不時着水した。
CNNによると、カリフォルニア州に住むサレンバーガー機長の妻ロリさんは、夫からの電話で事故を知ったという。ロリさんによると、夫は日ごろから「パイロット人生で事故に遭うことはまれだよ」と話していたといい、今回、電話連絡を受けた際は「ささいな事故」かと思ったという。
乗客の一人はCNNに対し、「機長は驚異的な仕事をした。あの不時着は絶賛ものだ」と話した。
AP通信によると、オバマ次期米大統領は16日、サレンバーガー機長と電話で話し、「英雄的で立派な仕事ぶりを誰もが誇りに思っている」とたたえた。
毎日新聞 2009年1月17日 東京夕刊