タイトル プリンセスチュチュ
名言 「私と踊りましょう」  
感想

映像の世紀第三回は「プリンセスチュチュ」です。

「プリンセスチュチュ」は、2002〜2003年に放映されました。
この番組、放映パターンが少し特殊でした・・・

まず、「キッズステーション」で前半13話が30分枠で放映され、後半は「動画大陸」内で残り13話を1エピソードにつき15分ずつの前・後編という形で放映されました。

どうして、このような放映パターンだったのかは分かりませんが、放送局・放送枠・放送パターンの急激な変更は、せっかくの名作を埋もれさせることになったのではないかと残念に思っています。

さて、まずは、あらすじですね。

 とある町のバレエ学校の落ちこぼれ生徒「あひる」は、まるで童話の王子様を思わせるような美形の先輩「みゅうと」に憧れ、といっしょにパ・ド・ドゥ(男女がペアを組んで踊ること)を踊ることを夢みます。
  しかし、「みゅうと」は人の心を持たず、いつもさみしげ・・・
  そこに、謎の老人ドロッセルマイヤーが現れ、「あひる」に不思議な力を授けます。
  魔法の力で、「あひる」はプリンセスチュチュに変身し、「みゅうと」に失った心のかけらを返してあげることができるようになります。
  ところが、「みゅうと」の親友「ふぁきあ」、ガールフレンドの「るぅ」は、なぜかチュチュを妨害し、みゅうとが心を取り戻すのを邪魔します。
  ついにドロッセルマイヤーの眠っていた物語「王子とからす」が目覚め、彼らは否応なくその物語の渦に巻き込まれていく。
  実は、「みゅうと」は、「王子とからす」の主人公「王子」であり、そこに王子を狙う大鴉の娘「プリンセスクレール」が登場して、チュチュと対決する。

主人公「あひる(左)」は「みゅうと(王子様 右)」にあごがれる

 

まず、この話を見て、驚くのは中世ヨーロッパを思わせる町並みの美しさです。
原案者の伊藤郁子さんはヨーロッパを何度も旅したといいますが、その経験を遺憾なく発揮した名美術(背景などの絵)です。

背景の美しさも見所

そして、キャラクターの愛らしさも大したもので、デフォルメも効果的、ある意味、日本アニメの集大成のような作画です。

愛らしいキャラ

デフォルメもOK!

この確かな作画に支えられて、各キャラクターが踊るバレエの動きの美しさ!

たしかなバレーシーン

 

う〜ん、TVアニメにしとくのはもったいない!

この「絵」に与えられる音楽は、もちろんクラシックです。

各主要キャラクターは、それぞれのライトモチーフ(注1)を与えられ、その楽曲とキャラクターの一体化により、物語はさらなる深みを与えられます。

もう、これでもか!
という程の本格的作品です。

ああ、なんで、この作品が大ヒットしねぇんだよ〜

まあ、理由はいろいろあります。

まず、話が難しい!(以下、ネタバレあり注意!)

このお話の世界は現実と夢の入り交じった幻想世界です。
ドロッセルマイヤーは、大昔に死んだ作家なのですが、彼は、自分が書いた小説を現実化させる能力を持っています。
ドロッセルマイヤーは、死に及んで、自分が未完のまま残した「王子とからす」を現実世界で完結させたいという妄執から、現世に干渉し続けるのです。

ドロッセルマイヤー・・・彼は他人を歯車にしか見ていない

この設定は、お話が進むにつれて明らかになっていくのですが、当初は伏せられているので、視聴者は、どこまでが現実で、どこからが(「あひる」の見ている)夢なのか混乱します。

また、人間関係も二転三転し、敵だと思っていた人間が味方になり、味方と思っていた人間が敵になり、あげくに守るべき「王子」が鴉の操り人形として、チュチュに立ちはだかるのです。

ふぁきあが! るぅが!
 
みゅうとが!  
敵味方が入れ替わり立ち替わる、目を離せない展開!

結構、ついていくのが大変です。

とはいうものの、こういった複雑な謎が解かれていく展開は、かなりエキサイティングですけどね。

この作品、子供向けの魔女っ娘アニメに見せかけて、かなり本格的な「芸術」アニメです。

全26話と、やや長いお話ですが、秋の夜長に見てみるのもいいかも知れません。

壮大で華麗な新作オペラとして・・・

注1 ライトモチーフ:オペラ・標題音楽などの曲中に繰り返し現れる特定の楽句で、楽曲の主要な想念や感情・物事・特定の人物などと結びついているもの。特にワグナーが楽劇中に活用した。主導動機。示導動機。

この作品を見るなら

(2005.10.30)

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