2006/02/10
未定稿
社民党宣言第2次案を論じる
渡辺秀美
はじめに
社民党は05年11月13日「社会民主党宣言(第2次案)」(以下「第2次案」という。)を発表した。
同党は大会直前の2月2日、同案で「自衛隊の改編・縮小、日米安全保障条約の平和友好条約への転換、在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進めます」となっていた箇所を次のように変更した。A060203
「明らかに違憲状態にある自衛隊は縮小を図り、国境警備・災害救助・国際協力などの任務別組織に改編・解消して非武装の日本を目指す」
福島党首は同日の会見で変更に関して次のように説明した。
「「周辺事態法の成立、有事法制の整備、海上自衛隊のインド洋派遣、イラク多国籍軍への参加など、自衛隊の『状態』について憲法の枠内というわけにはいかない」と述べ、自衛隊の存在ではなく、現状を「違憲」と判断していると説明した。」ibid
この変更は、同党首の以前の会見(04年6月)での見解を引き継いだうえで、それを党の綱領的文書で規定しようとするものである。これは、村山内閣時の社会党第61回大会(94/09)での決定「現在の自衛隊は憲法の枠内にある、との新しい認識に立ちます。」を状況の変化を根拠としつつも正式に変更することになる。
同党第10回定期大会(06/02/11-2)ではこの問題が議論されることになろう。
「社会民主主義宣言2005(第1次草案)」(同党第9回大会承認 04/04/10)(以下「第1次案」という。)直前には宣言をめぐる基本的論点について既に私見を述べた。Watanabe0401
つづいて本サイトではBBS「福島党首「自衛隊は違憲」発言(04/06)をめぐって」において議論してきた。
また、第2次案についてはG.T.氏の意見を当サイトに掲載している。GT0511
第2次案が提案される同党次大会(06/02)を直前にしながら、一般には同案に対する積極的な討論がほとんど行われていない。「社会民主主義宣言」策定の方針が第7大会(01/10/27)で決められてから4年余を経ている。この間、県連を通じて意見が寄せられ、東京、大阪の都府連合(試)案がつくられ、いくつかの県連で討議され、それらが第2次案に集約されたということになっているのであろう。しかし、同案は一般紙の注意を引くこともなく、内容が党員の関心を呼ぶことも少ない。これでは案を採択したとしても同宣言が党員の確信とパトスを高めることも、まして国民の共感と賛同を呼ぶこともないであろう。それを小政党になったせいにすることはできない。そうだとしても少なくとも党員には訴える内容をつくれるはずである。
党の歴史と伝統の評価
社会党・社民党の伝統についての評価は第1次案では次のようになっていた。
「前身である日本社会党が培ってきた歴史と伝統を踏まえつつ、自己改革と検証を繰り返しながら直面する課題に積極的にチャレンジし、…」
これが第2次案では「平和と民主主義、人権尊重、福祉の拡大を目標とした日本社会党以来の伝統を継承・発展させる」と、第1次案の「自己改革と検証」がなくなり、歴史と伝統全体を肯定するととれる表現となった。これは過去の総括に基づく確信ではないから、欠陥や情勢変化への対応点を軽視または無視する傾向があり、党を誤った路線に導く危険がある。実際はこの間の党の後退、分裂、国民からの批判については正確な総括こそが必要である。
この点についてはG.T.氏等の意見表明に期待したい。
打開の方向は総括の上に、ある程度完結した将来日本の社会像を提示することである。「日本における社会主義への道」を廃棄した後ずっと描けていない。その理由は、社会の基本的関係である体制(特に下部構造)の規定を欠如、あるいは不明確にしていることにある。この点について論ずる。
下部構造は生産力(または生産水準)と生産関係であるが、前者は経済成長を1つの指標とすることができる。したがって経済成長をどのように位置づけるかは基本政策において重要な要素となる。
経済成長目標の経緯
「新宣言」(1986)は曖昧さはあるが、次のように市場経済の成長が目標に入っていた。
「社会と生活の質を重視し、世界に貢献する社会的成長の実現。この目標をめざし、市場の有効性を生かしつつ、同時に、その弊害を除去するために民主的な経済計画にもとづき社会的な規制と誘導をおこない、量と質、効率と公正を達成する。」
「93宣言案」は次のように持続可能な成長を掲げていた。
「私たちは効率と量の経済から生活と質の経済へ転換して、持続可能な内需主導型成長を実現する。環境は経済の基礎であり、環境に非合理なものは経済にも非合理である。」
「2010年への政策ヴィジョン」は次のように経済成長が目標に入っていない。
「自由放任でもなく国家統制経済でもない、環境倫理や社会正義といった社会的ルールに基礎を置く混合経済、しかも大量廃棄型ではない循環型社会を創ることが、21世紀初頭の私たちの責任です。その第一歩は、公共事業の大幅削減と質的変換、環境税の導入、労働時間の大幅短縮など、身近な政策に求めることができるのです。」
第1次案は次のように持続的成長を目標としていた。
「目先の企業利益と成長、競争と効率化だけを追い求める産業優先社会から、人間と自然を重視した生活優先社会への転換を目指します。…人間と自然が尊重され、共生できるよう必要に応じて公的な規制によって市場をコントロールし、安定した持続的成長を目指します。」
第2次案は次のように直接には経済成長が明示していない。
「生活条件の向上と自然環境との共生を経済活動の主眼におき、公正な交換や取引き、分配が行なわれるよう市場の民主化や監視、規制に取り組み、福祉や医療、教育など人々が共同で社会生活を営む分野で公共サービスの役割を充実させます。」
このように経済成長は、社民党にとって政策の基本目標に入ったり、入らなかったりし、慎重に検討されていないことが表れている。
経済政策についての吟味
第2次案は経済について「政策の基本課題」で次のように述べている。
「生活条件の向上と自然環境との共生を経済活動の主眼におき、公正な交換や取引き、分配が行なわれるよう市場の民主化や監視、規制に取り組み、福祉や医療、教育など人々が共同で社会生活を営む分野で公共サービスの役割を充実させます。」
同案はこれを具体化して社会保障の水準について維持・向上を次のように掲げている。
「福祉と社会保障制度の充実は、誰もが安心して人生をおくるために不可欠であり、…税方式による基礎的暮らし年金の創設を始め、税と応能負担を原則とした保険料拠出によって、持続可能な制度へと社会保障全体の抜本改革を図ります。」
この財源を同案は次のように歳出振替と税の累進強化、企業負担に求めている。
「特定の企業・階層の利益や巨大公共事業に偏重した財政構造から雇用や福祉、教育、子育て支援など生活重視型に転換し、…所得税・住民税の最高税率の引き上げや累進性の強化、企業に応分の社会的責任を求めた法人税の見直しに取り組みます。」
また次のように完全雇用と均等待遇を目標にしている。
「同一労働・同一賃金といった均等待遇の保障の下で、多様な働き方を尊重し、働くことを望むすべての人々が完全雇用されることを社会の大きな目標とします。」
同党の社会保障と教育政策だけでも歳出や税制の変更だけで実現することは困難である。実際には2%前後の実質GDP成長が必要である。また、完全雇用や均等待遇をワークシェリングなどの労働配分の変更だけおこなうのか、雇用者所得全体の引上げのなかで行うのかは明示していないが、これも経済成長下で行うのが現実的である。
国民所得向上の必要性
生活向上の多くは所得引上げと直接関連している(物価上昇はこの議論ではゼロ、あるいは実質所得を対象とする)。上記年金の充実はもちろん、低所得世帯への支援は所得向上が重要な内容であり、完全雇用の実現と雇用格差の是正は生きがいとして意義以上に所得の確保・引上げである。公的な医療・介護給付、教育の充実は間接的な所得の追加である。
こうした所得の総和が国民所得(NI)になる(公的給付などは計算上組替えを要する)。2004年確報によると、NIは386兆円、主な内訳は、雇用者報酬255兆円(うち賃金・俸給が218兆円、雇主社会負担37兆円)、営業余剰73兆円、混合所得(個人企業所得)20兆円、間接税42兆円である。なお、固定資本減耗(原価償却のこと)は105兆円である。1
非金融法人企業は、営業余剰55兆円に財産所得(受取り利子など)11兆円を加えた全利益65兆円を、利子支払い11兆円、配当11兆円などに27兆円をあて、残り39兆円が社会内留保等でなっている。
家計の財産所得は、保険運用益によるもの10兆円、利子4兆円、配当5兆円など23兆円であるが、利子支払いが14兆円あるので、純財産所得は9兆円である。
付言すると、剰余価値の生産が資本主義の本質であり、それは搾取された労働だとかという主張がされるが、国内で生産された価値総量、それの賃金と剰余価値への分割の近似的数量を認識しておくべきである。これらは、それぞれNI、雇用者報酬、営業余剰で近似される。原理論だけを言う人は、ブルジョア統計は信用できない、雇用者報酬には警察官などの給与も入っている、労働者に株の配当など無縁だなどと言って、理論と現実との照合を忌避する。これは経済原理論を搾取のからくりを暴露するためのものとする位置づけによるのであるが、市場経済を改革して生活向上を図ろうとするなら、国民所得とその「配分」について知って政策を立案する必要がある。
国民総生産への留意
国民所得は、三面等価の原理2によって国民総生産(-原価償却)と国民総支出(-原価償却)に等しい。つまり、国民の所得総額に等しい額の生産がされ、同額が消費または投資されている(インフレは無いとして)。国民所得400兆円(2004年、概数で示す)と同額の物(サービスを含む)が生産されている。
生産を産業連関表(2000年、108部門)の国内最終需要への算出(生産者価)額で見ると、耕種農業(米など)3兆円、衣服・その他の繊維既製品5兆円、石油製品4兆円、民生用電子・電気機器6兆円、電子計算機7兆円、通信機械5兆円、乗用車7兆円、建築(住宅など)36兆円、公共事業22兆円、商業59兆円、金融・保険10兆円、鉄道輸送4兆円、道路輸送7兆円、航空輸送2兆円、通信7兆円、放送1兆円、公務36兆円、教育23兆円、研究1兆円、医療・保健34兆円、社会保障5兆円、介護4兆円、広告・調査・情報8兆円、娯楽サービス10兆円、飲食店24兆円、旅館等10兆円等となっている。
これらの生産は、そのための生産力(機械、設備、原材料、労働力、技術、インフラ等)があるから実現していることは言うまでもない。
問題はこの生産力と生産水準は維持・発展させることができるかという点にある。生産なくして所得はありえず、所得なくして所得(再)分配もありえず、社会保障、雇用、教育、医療などの政策も成り立たないからである。
生産力の評価と政策
第2次案の「政策の基本課題」の多くは経済成長なしには実現できないにもかかわらず、成長についての目標を明示していないのは不可解である。推測される理由らしきものを挙げてみよう。
1 資本主義では生産力は制御できないほどに発展している。さらに企業間競争と国際資本間競争によって生産力は高まらざるをえない。したがって生産力(の成長)について心配する必要は無い。とくに日本は高い生産力をもっている。
2 社会保障の充実、生活不安の解消などで国民の需要が拡大することによって必要な生産が拡大し、経済成長が図られ、生産の拡大にともなって生産力も高まり、次の成長が可能になる。したがって経済成長や生産力の拡大は結果として生ずるから目標として掲げる必要は無い。
3 社民党は社会保障、福祉、平和、環境、人権等の課題に重点的にとりくむ「専門店」なのだから、これらの課題について目標を明確にするのが党の基本政策であり、経済、産業などについては強いて示す必要は無い。これらについては例えば将来協力して政権をになう他党が担当することを期待する。
4 第2次案は国民生活(条件)や平和などの目標を明らかにしたが、それらを支える経済などについてはこれから作業する。
5 連合戦線党だから生活条件や平和などの目標で一致し、それを実現する方法である経済成長などについては党内で種々の見解があってよい。これについての共通見解をつくることは困難である。
6 資本主義には解決できない矛盾があるので国民生活の安定向上を実現する整合的な経済政策はありえない。そうであっても国民生活に必要な要求、目標は政策として掲げざるを得ない。この目標が資本主義において実現できななら、資本主義を打倒するしかない。
このように理由は幾つか推測されるが、基本的に大きく異なるものがあり、それによって経済政策、したがって体制の改革する方向が違ってくる。読むものは理由が何であるかの判断はできない。戸惑いと不安に陥らせる。ここにも社民党文書の分かりにくさと訴える力の不足がある。
政党は生活水準などの目標だけでなく、その目標を実現するための条件と方法をも示して国民の判断を仰がなければならない。第2次案は生活目標を実現するための経済的条件と方法を示していない。資本間競争で生産力が高まり、需要拡大では生産が拡大するから心配ないと判断するなら、そうはっきり言う必要がある。そうすれば(当否は別として)日本の将来像がより明確になるのだ。
経済規模を決めるものは何か
必要な経済規模(GDP)とその成長が資本間競争と社会保障などの需要によって得られると想定しているのなら、社会党時代に党内で言われていた国家独占資本主義論との関係も整理しなければならない。同論によれば現代資本主義は、インフラの整備、公共投資などの需要拡大、企業への直接・間接の補助金などによって国家が積極的に生産関係に介入しなければ立ち行かない状態になっているとした。
とくに最近(バブル崩壊後の90年代以降)では短期的にある条件で有効ケインズ政策(需要拡大)は下支えとして適用され、ファンダメンタルズとして中期的に生産性(生産力)の向上・拡大政策が強く求めらてきた。国民に犠牲を強いる規制緩和、ビッグバンなど「改革なくして成長なし」をスローガンとする小泉内閣の構造改革は、高い生産性を追求したものである。
市場経済においては、競争と需要供給のバランスで(経済資源の限界によって)経済規模(GDP)決まるというのは(新)古典派の理論である(マルクスの時代はそうであった)。これが現実に合わないことは世界恐慌の経験にもとづいてケインズが明らかにした。この根拠は貨幣には支払い手段、価値尺度としての機能に加えて(価値)退蔵の機能があることである(これに関してはマルクス『資本論』第1巻第1篇第3章第3節を参照のこと)。つまり、セイ法則が成り立たず、貯蓄が投資に(事後的に)等しくなるところまで経済規模はシュリンクするのである。市場経済においてこの法則(理論)が成り立つ以上ケインズ政策は少なくとも下支えとして採用せざるをえない。
次に経済の規模・成長(の上限)は中長期的には生産性(生産力)によって決まることは自明の理である。放置しておいたのでは非効率が除去されない、あるいは新規投資先が開拓不足に陥るなどが生じた、成長のネックとなっている場合(現に10年余にわったって生じた)、サプライサイドに対する政策を講じる必要がある。
現在の市場経済を運用するには、ケインズ・サプライサイド・ミックス政策・理論を採用せざるをえない(他のよりよい政策・理論があれば別であるが)。この上に社会保障、雇用などの生活目標を追求していくことになる。第2次案はこうした経済理論・政策を明示していない。社民党は市場経済において目標を達成しようとしているのであるから、市場経済の運営に責任を持ち、そのために経済理論・政策(上記ミックスしかない)の採用を明確にすべきである。
国 |
国民1人あたりの GDP 1000$ |
住宅1戸当り 床面積 m2 01 - 03年 |
|
| レート換算 2003年 |
購買力評価# 0002年 |
||
| 日本 |
30 |
27 |
96 |
| 米国 |
37 |
36 |
162 |
| 英国 |
30 |
28 |
87 |
| ドイツ |
29 |
26 |
90 |
| フランス |
29 |
27 |
90 |
| ロシア |
3 |
- |
|
| スイス |
45 |
30 |
|
| スウェーデン |
34 |
27 |
|
| デンマーク |
39 |
29 |
109 |
| ノルウェー |
49 |
35 |
|
| オーストラリア |
26 |
28 |
|
| 中国 |
1 |
- |
|
| 韓国 |
13 |
17 |
|
| 台湾 |
13 |
- |
|
| フィリピン | 1 |
- |
|
| ベトナム |
0.5 |
- |
|
| 英国 |
30 |
- |
|
| イタリア |
26 |
- |
|
| アルジェリア |
2 |
- |
|
| エジプト |
0.9 |
- |
|
| アルゼンチン |
3 |
- |
|
| ブラジル |
3 |
- |
|
| # 「購買力平価(PPP: Purchasing Power Parities)」: 「同じ財貨・サービスの組合せ(バスケット)を購入するのに必要な金額の比率として,1米ドル当たりの各国通貨で表される。」 「直近の1999年を基準年とするOECD購買力平価の算定プロジェクトでは, 約2,500の商品・サービスが比較対象となった」MIAC-W05 | |||
第2次案の構造
第2次案は社会民主主義を名乗っても、市場経済を運営し改革する意思を一貫させるのではなく、次のように「解放」を期待し、想起させるなのだ。
「人々が貧困や抑圧、偏見から解放され、生涯を通じて安心して生活を営むことが可能となるよう、社会のすべての分野で民主主義を不断に拡充し、あらゆる
差別を廃し、格差と不平等の解消に取り組みます。」
ここには暗に現在の日本が解放を必要とする「貧困、抑圧、偏見」状態にあるという現状規定がはいっていることである。ここの「人々」とは、前後の文脈から主に日本人と考えてよい。しかし、貧困について言えば、日本は1人当たりGDPは27,0000$、世界でトップクラスにある(表1)。全体水準を「解放」されるほど引上げるのとは何をいみするのであろうか。全体水準でなく、格差や質のことなら、そう言う必要がある(表2)。抑圧、貧困についてもブルジョア民主主義が破壊され、専制になっていたり、カースト制度などが残っているのに対して「解放」が必要であるが、日本においては改革、充実が必要なのではないか。
「解放」とは、束縛からの解放という意味を持ち、具体的には階級支配による貧困と抑圧を廃止し、階級の無い社会へ移行する質的転換(量から質への)転換点を指しうることである。この理論に立つならば、解放までの主に階級闘争、抵抗であって、解放後に飛躍的な生活向上が実現するという展望になる。ここにおいては、責任をもって市場経済を運営し、改革するよりも、高い生活要求の突きつけて闘い、相手(階級敵)を譲歩させ、追い詰め、打倒するという方針になる。第2次案がこのような階級闘争をも含意したり、それへの明確な回帰を容認しているかは全体として不明である。これは市場経済に責任をもつことと裏腹の関係にある。政党としては明白にすべきことである。
容易ならざる国際環境
日本の生産水準を考える時、国内の設備や労働力だけでなく、有する資源、海外市場についても十分検討する必要がある。
平和外交で友好的になどというだけではすまない。
石油・天然ガス、漁業資源までの争奪が始まっている。途上国が経済発展し、資源をより多く必要とすることは認めなければならない。しかし、そこで原材料の価格高騰と購買力の海外移転すること、場合によって原材料の入手難になりうることへの対処もしなければならない。
途上国の発展によって生産される商品に対して日本市場が原則として解放されているなかで、日本の産業がどの部門でどのように発展してくについても政策を必要とする。
財(商品)だけでなく、資本と技術と労働力が移動することに対しても、対応しなければならない。途上国と日本との大きな賃金格差にも配慮し、遅れた汚染対策に協力する必要がある。
これらの問題に対して国際的資本間競争、帝国主義政策などといった旧来の理論、視点では対応できないであろう。もちろんリカードの貿易理論でも不可能である。こうした問題についても理論と政策が求められている。
第2次案はこれに関して次のように述べている。
「成長と発展の恩恵が先進国や特定の企業にだけ還流することのないよう、通貨・貿易・信用取引きの公正なルール、国境を越えた労働者の権利の保障、多国籍企業の活動に対する国際的な規制の実現に努力します。」
| 区分 |
世帯人員 |
有業人口 |
世帯主の 年齢 |
年間収入 |
貯蓄 現在高 |
負債 現在高 |
純貯蓄 額 |
|
| 平均 |
3.48人 |
1.83人 |
46.4才 |
723万円 |
1273 |
655 |
618 |
|
| 収入別5分 位階級 |
T 452万円未満 |
3.18 |
1.42 |
44.3 |
347 |
670 |
273 |
397 |
| U 452 - 593 |
3.40 |
1.51 |
44.1 |
522 |
878 |
548 |
330 |
|
| V 593 - 747 |
3.50 |
1.59 |
45.5 |
665 |
1068 |
693 |
375 |
|
| W 747 - 958 |
3.61 |
1.71 |
48.0 |
845 |
1565 |
829 |
736 |
|
| X 958万円以上 |
3.75 |
1.92 |
50.2 |
1234 |
2182 |
929 |
1253 |
|
| 収入別10分 位階級 |
T 359万円未満 | 3.06 |
1.39 |
45.4 |
285 |
|||
| ] |
3.68 |
2.03 |
51.1 |
1425 |
||||
| 家計調査04年分による。MIAC-H04年間収入とは税込み実収入である。 | ||||||||
しかし、ここからは国際環境のなかで、諸国と有効を保ちながら日本経済がすすむ道筋が具体的には見えてこない。
注
1 減価償却の意味については『資本論』の次の箇所前後を参照されたい。
「ここで、さらに他の興味ある現象が、われわれの前に現われる。ある機械が、たとえば1000ボンドに値し、そして1000日で磨損し了るものとする。このばあには、毎日機械の価値の1000分の1が機械そのものから、その日々の生産物に移行する。同時に、斬減する生活力をもってであるとはいえ、つねに機械全体が労働過程で作用する。」Marx1867V1S2p51
2 三面等価とは、国民所得+原価償却 = 総生産 = 総支出 をいう。これについては、『資本論』第2巻第1篇をも参照されたい。Marx1885V2S4pp41-223
資本の循環は、表式 G ― W <A + Pm> ... P ... W' ― G' で表される。A は賃金、Pm は原材料+減価償却費、W'
= W + w であり、w は生産された剰余価値である。Pm は価値(量)としてはそのまま製品に移行するだけであるから、Aを消費して価値(量) A + w =
W' - Pm を生産したことになる。これは、労働者の所得 A と資本家の所得wを和した量は生産された価値(量) W' - Pm に等しいことを示している。さらに原論的には、Aは全て(生活必需品に)消費として支出され、wは奢侈品消費と投資として支出される。すなわち、生産された価値(量)
W' - Pm は、消費と投資の和(C + I)に等しい。1企業について成立つこの等式は両辺々を一国全体について総和した量についてもなりたつ。つまり、国民所得+原価償却
= 総生産 = 総支出 である。
A060203 朝日新聞 06/02/03
GT0511 G.T. BBS
「Social Democracy 2」、The Socialist Consortium
Marx, K 1867, Das Kapital V.I, 向坂逸郎訳『資本論』第1巻1969 岩波書店
― 1885, Das Kapital V.II, 向坂逸郎訳『資本論』第2巻1969 岩波書店
MIAC-W05 総務省「世界の統計 2005」
MIAC-H04 総務省「家計調査 2004」
SDPJ040410 社民党「社会民主主義宣言2005(第1次草案)」同党第9回大会(04/04/10)承認
SDPJ051113 社民党「社会民主党宣言(第2次案)」発表 05/11/13
Watanabe 0401 「社民党の宣言にむけて論じる」, Socialist Cosortium