しげちゃんの里山観察記・その19

photograph & illustration by SHIGE
里山はワンダーランド!


★ ヘイケボタル (Luciola lateralis)
 とにかく尊延寺地区では極端に数が減っています。数年前までは住宅地のすぐそばでもたくさん見ることができたのに、国道307号線のバイパス道路開通の影響か、それとも農薬の影響か、今ではほとんどおらず、一部の場所で少数が見られるだけになってしまいました。
 ヘイケボタルはゲンジボタルと違って、幼虫は流れの穏やかな小川や水田、湿地等に生息しており、山間部の渓流にはいません。稲作と密接な関係を持っており、農薬の使用や耕作の方法などで大きな影響を受けます。ですからヘイケボタルの保護には農家の人たちの協力が不可欠なのです。
 水田の減少等でゲンジボタルよりヘイケボタルの方が減っている地域も多いと聞きます。
 水系の環境保護のシンボルともなっているホタルを守ることは大切なことです。
 しかしながら、保護には注意しなければならないこともあります。
 ゲンジボタルでは雌雄認識の光の点滅が「関西型2秒」と[関東型4秒」に分かれていることが判っています。(関西の方がせっかち?)
 ホタルの移植で他の地域の幼虫を放流しているケースがあります。そこでは在来種との競合や交雑が起こっており、地域固有の生態系の存続に大きな影響を与えています。
 ここに日本ホタルの会が提案する「ホタルの保護・復元における移植の三原則」を記載します。

A.生物地理学上、本来生息していない地域には移植しない。生息しているホタルを保護していく。
B.数を増やすために他地域から移植するのではなく、本来生息しているホタルを保護していく。
C.自生のホタルが絶滅し移植を試みる場合は、最も近い水系のホタルを導入する。


★ ウスバキトンボ (Pantala flavescens)
 初夏からお盆にかけて飛んでいるトンボで、アカトンボとよく間違われますが、成熟しても赤くならず黄色いままです。
 実はこのトンボ、冬の本州では生息できずにすべて死んでしまいます。
 海を渡るトンボで、春に南から(おそらく琉球列島)から渡ってきたトンボが水溜り等に産卵し、驚異的な成長速度で6月下旬ごろ羽化。そしてまた移動し、産卵します。第3世代の羽化がお盆前後になり、この時期に非常に数が増えて街中や墓地等、どこでも見られます。そのため、「ボントンボ」「ホトケトンボ」とも呼ばれます。
 近年は初夏にも多く見られるようになったと感じますが、地球温暖化の影響でしょうか。季節は流れてお盆の頃、このトンボは大量に飛び回るのです。在来種のアキアカネは減っているので対照的です。
 しかし、ウスバキトンボは秋には羽化できずに死滅してしまいます。
 海を渡るだけあって非省力は強く、エサを捕って食べるのさえも空中で、ほとんど休憩をせずに飛んでいます。
 滅多に見られませんが、休息のときはアカトンボと違って枝などにぶら下がって止まるので、他のアカトンボとの識別ポイントになります。

★ ヒシバッタ (Tetrix japonica)    
★ ハネナガヒシバッタ (Euparatettix insularis)
 どちらも1cm前後で、足元で飛び跳ねても小さすぎて、注意して見ないと何が跳ねたのかわからないような小さなバッタです。でも、ヒシバッタは胴体を上から見るときれいなひし形をしています。
 ヒシバッタの仲間は大きく分けて「ヒシバッタ」「ハネナガヒシバッタ」、そして以前に紹介した「トゲヒシバッタ」の3種類がおり、その中でもさらに分かれています。
 しかし、それぞれに体色に変異があり、細かくは素人には識別できません。
 これ以上はバッタの専門家にまかせることにして、ハネナガヒシバッタはトビケシバッタと同様、湿気のある草地にいて名前のとおり羽がヒシバッタより長く、目玉が魚のハゼのように飛び出しているのが特徴です。
 どこにでもいますが、明るい体色のものは乾燥した草地に、暗い体色のものは湿気のある草地に多いと言われています。
 また、ヒシバッタにはまれに長翅型が出現するとのことで、これまたハネナガヒシバッタとの識別がややこしくなります。

-ミソサザイ-
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