前回は便秘の「実証」について書きましたので、今回は「虚証」と日常の注意点について。
疲労などによる気の不足(気虚)、血の不足(血虚)、体液の不足(陰虚)によって起きる便秘を「虚秘」といいます。
気の不足による便秘は、余り腹が苦しくなく、便意があって力んでも便が出にくく、汗が出たり息切れがして、排便後にぐったりしてしまいます。脾肺に気力をつける「補中益気湯」に、気を降ろす作用のある「開気丸」少量とハチミツを使用します。
血の不足による便秘は、顔色は白くパッとしない。動悸・めまい・健忘があり、唇や舌色が淡い白色になっています。血を養い腸を潤す「婦宝当帰膠」に「麻子仁丸」を用います。
体液の不足による便秘は、体がやせて頬が少し紅く、めまい・耳鳴・動悸・腰やひざに力がない・舌色が紅く苔は少ない、などの症状があります。体液を増す「六味丸」や「八仙丸」に「何首鳥」を加え、また調子が良くなるまでは就寝前に「麻子仁丸」を用いてもよいでしょう。
このような虚の便秘には、ゴマ・松の実・クルミ・ハチミツを食べると、より効果的です。
また高齢者の冷えによる便秘(冷秘)は、便が出難く、小便は多く透明で、顔色は青白く、手足が冷えて腹が痛み、腰やひざが冷えて重くなりがちです。腎を補い温める「八味地黄丸」と「至宝三鞭丸」を服用するとよいでしょう。
【日常の注意点】
[1]肉等の高タンパク食品を減らし、野菜や根菜など食物繊維を多くとる事で、便の滞留時間を短くし、出す量を多くする。
[2]生活上、座る機会の多い人はよく体を動かして、気血の流れをよくしてやる事。
[3]1日1回、同じ時間での排便の習慣をつける事。
[4]精神をおだやかに保つように心がける事。
[5]原因になる事を取り除く事。実秘(実証)の人は酒や辛いものを控え、虚秘や冷秘の人はナマモノや冷たいものなど寒性の食物を控える事。
[6]朝夕コップ一杯の水分をとっていく事を心がけましょう。
便秘薬に頼るのはますます悪循環になるおそれがありますので、なるべく気をつけて下さい。