ひだまり映画館


 このところホームページの更新がかなり滞ってしまっているので、とりあえず、某所にときどき書いていた映画日記の一部を転載します。すでにロードショーの終わった映画ですが、機会があればレンタルででもぜひご覧くださいね!

 

「縞模様のパジャマの少年」 2009/9/14

 ナチス将校の父を持つドイツ人少年が、父の任地に引っ越してきて、友達もなく学校にも行けない退屈な日々を過ごしていたとき、自分の部屋の窓の外に見つけたのは、昼間なのに縞模様のパジャマを着て、農場で働く人たち。 そして、行くのを禁じられていた裏庭から探検に出かけて発見したあの“農場”で、自分と同い年の少年と出会う・・・。

 そこがどんなところなのかも、なぜ”パジャマ”を着ているのかも知らず、親の目を盗んでは喜々としてフェンス越しの友達に会いに行く少年の無邪気さに、胸が痛くなるような映画でした。 それに、自分の家族を愛する一方で、任務として残虐な行為を指揮する父、夫の職務に勘づいて苦悩する母、父の部下に憧れて、軍国少女のようになっていく姉・・・。 ホロコーストのことを、ユダヤ人ではなくドイツ人の目から描いている作品ですが、ドイツの人たちにとっても、苦しみや悲しみがたくさん生まれた時代だったのかもしれないと思いました。幸せに暮らしていたはずの家族を、戦争が狂気に変えていく。どんな理由があろうとも、戦争は悲劇しか生まない・・・。
 それにしても、純真無垢な二人の少年の禁じられた友情が招いた結末は、あまりにもショッキングでした。映画の内容からして明るい結末ではないだろうとは思ってたけど、まさかあんなことになるとは・・・。

 ナチスの強制収容所と子どもを描いた作品では、以前、「ライフ・イズ・ビューティフル」というイタリア映画を見ました。息子を生き残らせるために、収容所での出来事をゲームだと言って、何も知らない息子に最後まで愛情のこもった嘘をつき続ける父親の姿が印象的でした。

「ホノカアボーイ」  2009/3/14

 ハワイ島の北、小さな日系移民の町ホノカア。忘れられたような町のつぶれそうな映画館で働くことになったレオという青年と、そこで暮らすちょっと風変わりな人々の物語。

 いたずら好きのおばさん、ビーさんが作るお料理がおいしそうでした。昭和レトロなお鍋やかき氷器が印象に残りました。
 ・・・もうそれ以上書くことがないくらい、大きな事件も起こらないし、ただゆったりと流れるホノカアの人々の毎日を描いていて、「めがね」のハワイ版って感じ? 南の島、なにげないお料理、それに、マンドリンは出てこないけど、ウクレレを弾く少年も出てきて、「めがね」で癒された人なら、好きになる映画かな。

 熱狂的ファンがいるという原作は読んでいないのですが、主役のレオは原作者の吉田玲雄自身のことらしく、お料理上手なビーさんをはじめ、実在の人物や場所も登場しているそうで、行ってみたいなーと思わせる町でした。ムーンボー(月の虹)も見てみたいです。 映画の舞台をめぐるツアーがあるみたい。行こうかな?(←この後、実際にロケ地めぐりのツアーに参加して、ハワイ島に行ってきました。その話は、またいずれ・・・。)

 ビーさん役の倍賞千恵子に、ホノカアの人たち・・・松坂慶子、喜味こいし、正司照枝がいい味を出していました。それから、マラサダという揚げパンみたいなお菓子がすごくおいしそうでした。
  ホノカアって、出会いも別れも、風のようにさらっと通り抜けていく町なのかなと思いました。

「天国はまだ遠く」  2008/11/15

 生きていることに疲れて、見知らぬ山奥の田舎にたどりついたOLと、そこで自給自足をしながら民宿をしている青年とのふれあいを描いた作品。 民宿の青年役がチュートリアルの徳井くんで、一見、お気楽でひょうひょうとした感じがテレビで見る徳井くんそのものだけど、実は彼も心に傷を抱えていて・・・。

 うまく言葉にできないけど、近所の人のさりげないあたたかさとか、おいしい食べ物、緑や海や星空・・・ちょっとしたことが人の心を幸せにするんだなーと思いました。 自殺しようとしていた彼女が彼に救われただけじゃなくて、田舎といっても車で30分で町に出られるような場所で、あえて自給自足の生活を送ることで傷を癒しているかのような彼も、その出会いによって何かがちょっと変わったのかなと思いました。 何年も客が来ないさびれた民宿だけど、青年の作る手料理がすごくおいしそうで、こっちまでいいにおいが漂ってきそうな焼き魚や、不格好な形の手打ちそばが印象的でした。
 ちなみに、チュートリアルの相方の福田くんほか、吉本の芸人さんもちょこちょこ出てます。バックに流れるピアノ音楽も、心に染み入るようなきれいな曲でよかったです。

 見終わってから、すぐ前の席に座っていたおばあちゃんに話しかけられました。 映画の舞台が宮津なのですが、宮津に住んでいる友達がいて、地元の人がエキストラ出演したり、一般公開より早く先行上映されたりしていて、いい映画だと聞いていたので、すごく楽しみにして見に来たそうです。 宮津に行ってみたいけどなかなか行けなくて、その景色が見られてうれしかったし、余韻が残る映画でよかったと言っていました。近くにいた映画館のスタッフの人にも、いい映画を見せてくれてありがとう、とお礼を言ってたくらい・・・。

 74歳のおばあちゃんなのですが、初対面でも、感じのよさそうな人がいるとすぐ話しかけてしまうそうで、なぜか私のこともパッと見て波長が合うと思ってくれたみたい。 映画を見た感動を誰かにもっと話したかったみたいで、映画館を出てからもしばらくお話ししてたのですが、この前は「ホームレス中学生」、その前には「崖の上のポニョ」を見たそうで、何十年も生きてきて、1ヶ月で映画を3本も見たのは初めてだったとか。 この映画の上映前には、今回で「おくりびと」を見るのが3回目という人と話してたそうで、そんなにいいんですか、と聞かれたので、すごくよかったです、とおすすめしておきました。
  私も、以前は映画を見に行くことなんてほとんどなかったのに、仕事帰りに見に行ける映画館ができてからはまってしまったのですが、そのおばあちゃんも、ほかにも予告編を見て見たくなった映画があったそうで、映画好きになって、これからどんどん見に来るようになるかも? シニア割引があるから、いつ見ても1,000円なんです、って喜んでたし。

 ひとり暮らしみたいで、もともと神戸に住んでたけど、阪神淡路大震災で家が半壊して、堺に引っ越してきたそうです。いつかは神戸に帰ろうと思ってたんだろうけど、移り住んでもう14年経って、こっちでも友達ができたからって、今はこっちでの生活を楽しんでるみたい。 偶然にも、私の家とも電車の駅で2駅のご近所の方でした。初対面なのにいろいろ話しかけてごめんなさいね、って先に行ってしまったので、名前も聞けずじまいだったのがちょっと残念・・・。
 昨日、仕事が終わってから見に行ったのですが、実は仕事でちょっとあって、むしゃくしゃしてて・・・。でも、いい映画と素敵な人との出会いがあったから、気分もすっきり爽快。
 そういえば、日本三景・天橋立も行ったことないなー。京都といっても、北のほうはすごく遠いイメージがあって、なかなか気軽には行けない・・・。でも、いろんな映画を見てると、映画のロケ地めぐりもしてみたくなりますね。宮津も、いつか行ってみたい場所の候補に加わりました。

「奇跡のシンフォニー」  2008/6/26

 施設で育った孤独な少年が、まだ見ぬ両親に会えると信じて、自分の音楽を奏でる・・・。11年間離れ離れだった少年と両親が、音楽の力によって結ばれるっていう、感動的なストーリーのはずなのですが、そんな偶然ないやろ、と思ってしまうくらいいろんなことがうまく運びすぎな気がしたり、結末も早い段階で読めてしまって、泣ける映画だと思って見に行ったのに全然泣けませんでした・・・。
 でも、心から沸きあがってくる音楽があるのに、それを表現する手段を持たなかった少年が、ギターに出あって、楽譜を書くことを知って、やっとそれを音にできた喜びは、すごく伝わってきました。 彼が初めてギターに触れたとき、弾き方もわからないまま、横たえたギターをドラムをたたくみたいにして奏でた音楽・・・あれは素晴らしくて、ちょっと感動的。

 ストーリーはともかく、音楽はよかったです。クラシック、ロック、ゴスペル、といろんな音楽が出てきて、もしナマで聴けたら、じーんときそう。 両親を自分のもとに導くことになる、少年の作ったシンフォニーにも、彼が出あったいろんな音楽のモチーフが取り入れられていて、もっとじっくり聴いてみたいなと思いました。
 それまでずっと、お互いの存在すら知らずに生きてきた少年と母親と父親。でも、少年の天才的な音楽の才能も、その両親がいたからこそ生まれたんだし、時を経て3人が出会えたこと、それは奇跡というより、3人の音楽の力があったからこそ、出会うべくして出会ったのかとも思えてきました。

「君のためなら千回でも」  2008/3/1

 1970年代のアフガニスタン。裕福な家庭の子アミールと、その家の召使いの子ハッサン、幼いころから兄弟のようにして育った二人の少年の絆を描いた作品。
 まだ平和だった時代の凧揚げ合戦の風景や、子どもたちの無邪気な姿が印象的でした。 でも、アミールのちょっとした過ちが、二人の永遠の別れになって・・・。

 忘れようとしながら心のどこかにひっかかっていた後悔の気持ちが、異国で平穏に暮らしていたアミールを戦禍の故郷に向かわせ、命がけでハッサンの息子ソーラブを救い出したこと、そして、かつてハッサンがアミールに言ってくれた「君のためなら千回でも」という言葉を伝えることができたこと・・・。裏切られても決してアミールに対する信頼を忘れなかったハッサンや、20年の時を経てやっとハッサンへの償いを果たしたアミールの思いに、悲しくもあるけど救われた気持ちになりました。

  とはいっても、アミールは大切な人の子どもを一人救うことができたけど、家族を亡くし自分の手や足を失っても、この悲惨な国で生きていくしかない子どもたちがたくさん残されていることを考えると、決してハッピーエンドじゃない気がします。 少年時代のアミールを演じた男の子もカブール生まれで、実際にタリバンに親を殺害された経験を持っているそうです。ソ連の侵攻やタリバンとの内戦など、自分があまりにも知らなさすぎるアフガニスタンという国の歴史のことも少し考えさせられて、心にずしんとくる映画でした。

「陰日向に咲く」  2008/2/11

 都会の片隅で、孤独でちょっと不器用だけど、いろんな思いを抱えながらも懸命に生きている人たちの姿に、泣けました。
 劇団ひとりの原作がベストセラーになって、読んでみたいなと思いつつ、まあ、買ってまで読まなくても、とか思って読まずにいたけど、映画もなかなか行く時間がとれそうになかったので、結局先に原作を買って読みました。
 原作を読んでから映画を見ると、自分の抱いていたイメージと違ってがっかりするときもありますが、今回は、原作には出てこない人物や設定も付け加えられてはいたけど、全然違和感なくて、本と映画、それぞれで楽しめる作品だなと思いました。

 いろんなタイプの人が出てくるのに、それぞれがすごく印象的。自分と同じ境遇というわけでもないのになんとなく共感できるところもあって、明るくふるまってても誰もが持っている孤独感みたいなのが、よく出ているように思いました。
  総勢数十名のキャラクターを演じる劇団ひとりの一人芝居は、テレビで少し見たことがあるだけですが、そういう芸風を持っている彼だからこそ書けたストーリーなのかなという気もしました。

 見終わった後、「劇団ひとり、やるやん!」と誰かが言ってるのが聞こえたけど、私もそう思いました。泣いてる人もけっこういたみたいだし。 お笑い芸人が書いた、とかいう先入観は抜きにして、とにかくおすすめ。