シカゴ / Chicago

 70年代一世を風靡したジャズ・ロック、ブラス・ロックの代表的グループ。4リズムに3管が加わったメンバー構成。

グループ名が示すように、イリノイ州シカゴ出身。ギターのテリー・カスとサックスのウォルター・パラザイダーが中心となったミッシング・リンクスを母体とするザ・ビッグ・シングがシカゴの前身にあたり、このグループは1967年初めに結成された。

グループは1967年にバッキンガムスやチャド&ジェレミーのプロデューサー、ソングライターとして有名なジェームス・ウィリアム・ガルシオと知り合ったのを機にプロ・デビューが現実的なものとなり、1969年4月、コロムビアからデビュー作ながら異例の2枚組『シカゴの軌跡』で大いなる一歩を踏み出した。

この時点でグループ名はシカゴ・トランシット・オーソリティーだったが、その後まもなくシカゴと改名。彼らのブラスをフューチャーした大胆なサウンド、さらにはメッセージ色の濃い歌が大きな話題を呼び、またたく間にメジャー・ロック・バンドの仲間入りを果たした。

彼らの人気を決定づけたのはデビュー・アルバムから約1年後に発表されたセカンド・アルバム『シカゴと23の誓い』の中からシングルカットされた「長い夜」の大ヒットであった。このヒットにより日本でもシカゴの名は広く知れ渡り、ブラス・ロックの一大ブームを巻き起こすことになった。

4枚組ライブ・アルバム『シカゴ・アット・カーネギー・ホール』を発表後、それまでの若さに任せたエネルギッシュなサウンドから、リラックスした大人のサウンドへと脱皮を計り、5枚目のアルバム『シカゴV』からは「サタデイ・イン・ザ・パーク」のヒット曲が生まれている。

その後もソウル、ジャズ、クロスオーバー、そしてアメリカン・ポップスなどあらゆる音楽を吸収して多面的なサウンドを発展させていった。

しかし、どんなに多様な音楽を演奏しようとも、テリー・カスのロック・スピリット溢れるギターとボーカルがシカゴのロック・バンドとしての根幹を支えていた。

そんなシカゴにとって重要な存在であったテリー・カスは、1978年1月23日ピストルの暴発により、突然この世を去ってしまった。

テリー・カスの死は残されたメンバー達に深い悲しみを与えた。デビュー以来、シカゴを育ててきた名プロデューサー、ジェームス・ウィリアム・ガルシオも彼らのもとを去り、シカゴの迷走はここから始まることになる。

残されたロバート・ラム、ピーター・セテラ、ジェームス・パンコウ、ウォルター・パラザイダー、リー・ロクネイン、ダニエル・セラフィンの6人はシカゴを存続させることを決断し、テリー・カスの穴を埋めるべく新ギタリストとしてドニー・デイカスを迎えた。しかしテリー・カスの代わりが勤まる訳もなく、アルバム・セールスも不調に終わり、アルバム2枚を残して解雇されてしまう。

このままシカゴは過去の存在として忘れ去られてしまうのかと思われていた1982年、敏腕プロデューサー、デビッド・フォスターの全面的な協力を得て制作された「シカゴ16」が大ヒットし、奇跡の復活を遂げた。シングル「素直になれなくて」がAORスタンダードとして永遠に歌い継がれる名曲となったのはロック・ファンならずとも、多くの音楽ファンの知る由であろう。

しかし、そこにデビュー当時のロック・スピリット溢れるエネルギッシュな演奏を聴くことはもはやなかった。

 


ディスコグラフィー

シカゴの軌跡
Chicago Transit Authority
(1969)

Disc1
A) 1.イントロダクション 2.一体現実を把握している者はいるだろうか 3.ビギニングス
B) 1.クエスチョンズ67&68 2.リッスン 3.ポエム58

Disc2
A) 1.フリー・フォーム・ギター 2.サウス・カリフォルニア・パープルズ 3.アイム・ア・マン
B) 1.1968年8月29日シカゴ、民主党大会 2.流血の日 3.解放

 デビュー・アルバムにして異例の2枚組。ジミ・ヘンばりのテリー・カスのギターが大胆にフューチャーされている。

シカゴと23の誓い
Chicago
(1970)

Disc1
A) 1.ぼくらは何処へ 2.ぼくらの道 3.ぼくらの詩 4.ぼくらの国
B) 1.朝日よ輝け 2.ぼくらに微笑みを 3.言いたいことが沢山 4.不安の日々 5.ウエスト・バージニアの幻想 6.ぼくらの世界をバラ色に 7.今こそ自由を 8.愛は限りなく

Disc2
A) 1.空想の色 2.長い夜 3.夜明けのプレリュード 4.朝の祈り 5.午後の祈り 6.愛の記憶
B) 1.栄光への旅路 a.第1楽章 b.第2楽章 c.第3楽章 d.第4楽章 2.約束の地へ

 デビュー・アルバムに続いてまたも2枚組。弦楽器を導入するなど、ジャズに留まらず、クラシックの影響も見られる幅広い音楽性が魅力のヒット・アルバム。「長い夜」収録。

シカゴ III
Chicago III
(1971)

Disc1
A) 1.僕等の歌を 2.孤独なんて誰のことば 3.朝の光 4.欲しいのは君だ
B) 1.フライト・ナンバー602 2.火星へのモーターボー 3.自由になりたい 4.自由の祖国 5.僕等の夜明け 6.ハッピー・コウズ・アイム・ゴーイン・ホーム

Disc2
A) 1.母なる大地 2.ロウダウン 3.朝食ぬきのつらい朝 4.仕事に出よう 5.墜落 6.ドリーミン・ホーム 7.再び朝のブルースを
B) (エレジー) 1.すべての笑い声が悲しみに消される時 2.聖典 3.むかし、むかし 4.遍歴 4.近づく嵐 5.人間対人間、終局

 前々作、前作に続いてみたび2枚組。モダンジャズの影響を受けた、ブラス・アンサンブルとソロ・プレイがカッコいい。「自由になりたい」、「ロウダウン」などのヒット曲を収録。

栄光のシカゴ
The Great Chicago
(1971)

A) 1.イントロダクション 2.一体現実を把握している者はいるだろうか 3.クエスチョンズ67&68 4.アイム・ア・マン 5.1968年8月29日シカゴ、民主党大会 6.流血の日
B) 1.ぼくらの詩 2.ぼくらに微笑を 3.長い夜 4.フライト・ナンバー602 5.自由になりたい 6.ロウダウン

 シカゴの初来日を記念して日本で編集されたベスト・アルバム。シカゴの本質が凝縮されていてシカゴ入門には打ってつけの内容になっている。

シカゴ・アット・カーネギー・ホール
At Carnegy Hall
(1971)

Disc1
A) 1.ぼくらの国 2.空想の色 3.一体現実を把握している者はいるだろうか?(フリー・フォーム・イントロ) 4.一体現実を把握している者はいるだろうか?
B) 1.サウス・カリフォルニア・パープル 2.クエスチョンズ67&68

Disc2
A) 1.ぼくらの歌 2.ビギニングス
B) 栄光への旅路 1.第1楽章 2.第2楽章 3.第3楽章 4.第4楽章 5.第5楽章

Disc3
A) 1.イントロダクション 2.母なる大地 3.ロウダウン
B) 1.フライト・ナンバー602 2.火星へのモーターボート 3.自由になりたい 4.約束の地へ 5.欲しいのは君だけ

Disc4
A) 1.ハッピー・コウズ・アイム・ゴーイング・ホーム 2.ぼくらに微笑を 3.言いたことが沢山 4.不安の日々 5.ウェスト・バージニアの幻想 6.ぼくらの世界をバラ色に 7.今こそ自由を 8.愛は限りなく
B) 1.リチャードと彼の友人達に捧げる歌 2.長い夜 3.アイム・ア・マン

 2枚組アルバムが3作続いた後は驚愕の4枚組ライブ・アルバム。荒削りではあるが、エネルギッシュな演奏が堪能できる。

シカゴ V
Chicago V
(1972)

A) 1.バレーズに捧げる歌 2.今は自由さ 3.お前が去って 4.ダイアログ(パート1) 5.ダイアログ(パート2)
B) 1.街が眠りについて 2.サタデイ・イン・ザ・パーク 3.俺達のアメリカ 4.グッドバイ 5.俺達の見た未来

 前作までの若さで押し切るサウンドから、落ち着きと余裕が感じられるようになった作品。シカゴの代表曲となる「サタデイ・イン・ザ・パーク」収録。

シカゴ・ライブ・イン・ジャパン
Chicago Live In Japan
(1972)

Disc1
A) 1.ダイアログ 2.バレーズに捧げる歌 3.ロウダウン(日本語) 4.俺達のアメリカ 5.サタデイ・イン・ザ・パーク
B) 1.ぼくらに微笑を 2.言いたいことが沢山 3.不安の日々 4.ウエスト・バージニアの幻想 5.ぼくらの世界をバラ色に 6.今こそ自由を 7.愛は限りなく 8.ビギニングス 9.ミシシッピー

Disc2
A) 1.リチャードと彼の友人達 2.一体現実を把握している者はいるだろうか?(フリー・フォーム・イントロ) 3.一体現実を把握している者はいるだろうか? 4.クエスチョンズ67&68(日本語)
B) 1.長い夜 2.アイム・ア・マン 3.自由になりたい

 2度目の来日公演の模様を収録したもの。まとまりの良さでは「At Carnegy Hall」を上回る。日本語で歌う「ロウダウン」や「クエスチョンズ67&68」が当時の日本でのシカゴ人気を物語っている。

遥かなる亜米利加
Chicago VI
(1973)

A) 1.お気に召すまま 2.君とふたりで 3.愛しいお前 4.ジェニー 5.輝ける未来
B) 1.誰かが僕を 2.ハリウッド 3.明日への願い 4.自由への扉 5.愛のきずな

 それまでのシカゴとは明らかに異質な印象を受ける。良くも悪くもロックという範疇から脱皮した作品。

市俄古への長い道
Chicago VII
(1974)

Disc1
A) 1.エアーへのプレリュード 2.エアー 3.悪魔の甘い囁き
B) 1.ニューヨークのイタリア人 2.ハンキー・パンキー 3.愛の女神 4.ハッピー・マン

Disc2
A) 1.遥かなる愛の夜明け 2.モンゴヌークレオイス 3.ソング・オブ・エヴァーグリーンズ 4.思い出のビブロス
B) 1.渚に消えた恋 2.君は僕のすべて 3.女のお話 4.ママが僕にいったこと

 2枚組としてリリースされた。Disc2は前作の延長線上にあるアメリカン・ポップス然とした曲が収められているが、Disc1の方はインストゥルメントの比重が高く、その後のクロスオーバーと呼ばれるサウンドを聴くことができる。プログレッシブ・ロックの専売特許であったメロトロンも導入されている。

未だ見ぬアメリカ
Chicago VIII
(1974)

A) 1.高鳴る心 2.明日のラヴ・アフェア 3.愛することの素晴らしさ 4.逃亡者 5.今度逢うまで
B) 1.拝啓トルーマン大統領 2.安らぎの朝の光 3.君は負け犬 4.淋しくなんかないさ 5.追憶の日々

 デビュー当時のモダン・ジャズの影響はまったく影を潜め、ブラス・セクションは曲に彩りを与えることに専念している。テリー・カスの荒削りなギターとボーカルがシカゴのロック的な部分を一身に背負っている。

偉大なる星条旗 オリジナル・グレイテスト・ヒット
Chicago IX
(1975)

A) 1.長い夜 2.一体現実を把握している者はいるだろうか? 3.ぼくらの世界をバラ色に 4.君とふたりで 5.サタデイ・イン・ザ・パーク 6.愛のきずな
B) 1.ぼくらに微笑みを 2.渚に消えた恋 3.君は僕のすべて 4.遥かなる愛の夜明け 5.ビギニングス

 オリジナル・ベスト・アルバム。「ぼくらに微笑みを」は独自に編集されたバージョンを収録。

カリブの旋風
Chicago X
(1976)

A) 1.ロックンロール・シカゴ 2.君の居ない今 3.スキン・タイト 4.愛ある別れ 5.再び君と 6.雨の日のニューヨーク
B) 1.いとしい人 2.想い出のスクラップ・ブック 3.僕だけの君に 4.君はセクシー 5.愛の終りに

 ジャケットのチョコレートのシカゴ・ロゴがこのアルバムを物語っている。甘く、切なくどこか懐かしいアメリカン・ポップスの名盤。名曲「愛ある別れ」収録。

シカゴ XI
Chicago XI
(1977)

A) 1.ミシシッピー 2.朝もやの二人 3.永遠の愛 4.孤独なポリスマン 5.シカゴへ帰りたい
B) 1.僕の公約 2.無情の街 3.今度こそは 4.ある男の苦悩 5.前奏曲(愛しい我が子へ) 6.愛しい我が子へ

 6作目「遥かなる亜米利加」から続いた路線の最後の作品。突然この世を去ったテリー・カスの遺作アルバム。「シカゴへ帰りたい」ではチャカ・カーンが客演している。

ホット・ストリート
Hot Street
(1978)

A) 1.アライヴ・アゲイン 2.グレーテスト・ラヴ・オン・アース 3.リトル・ミス・ラヴィン 4.ホット・ストリート 5.テイク・ア・チャンス
B) 1.ゴーン・ロング・ゴーン 2.エイント・イット・タイム 3.ラヴ・ワズ・ニュー 4.ノー・テル・ラヴァー 5.ショウ・ミー・ザ・ウェイ

 テリー・カスに代わり、ドニー・デイカス加入第一弾。佳曲揃いの秀作。しかし、内容とは裏腹に世間の評価は低かった。やはりテリー・カスの存在は大きかった。

シカゴ 13
Chicago 13
(1979)

A) 1.ストリート・プレイヤー 2.ママ・テイク 3.マスト・ハブ・ビーン・クレイジー 4.ウィンドウ・ドリーミン 5.パラダイス・アレイ
B) 1.アロハ・ママ 2.リランス 3.ルーザー・ウィズ・ア・ブロークン・ハート 4.ライフ・イズ・ホワット・イット・イズ 5.ラン・アウェイ

 「ストリート・プレイヤー」ではハイトーン・トランペッター、メーナード・ファーガソンを招いて当時流行のディスコ・サウンドに挑戦しているが、内容、世間の評価ともにいまいち。

シカゴ 14
Chicago 14
(1980)

A) 1.マニピュレイション 2.アポン・アライヴァル 3.ソング・フォー・ユー 4.愛は何処へ 5.バースデイ・ボーイ
B) 1.ホールド・オン 2.オーヴァーナイト・カフェ 3.サンダー・アンド・ライトニング 4.憧れのリッチマン 5.アメリカン・ドリーム

 トム・ダウドをプロデューサーに迎え、起死回生を狙ったが・・・・。コロムビア時代最後のアルバム。



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