フリー / Free

 

 FREEのサウンドを一言で形容するならば、ブリティッシュ・ブルース・ロック・バンドである。しかし、60年代後半の他のブリティッシュ・ブルース・ロック・バンドがギタリストを中心とした演奏主体の音楽スタイルだったのに対して、FREEはロック界有数の名ヴォーカリスト、ポール・ロジャーズを中心とした歌を聴かせるバンドであった。それが当時のロック界に新鮮な印象を与えた。

1968年初頭、ギタリストのポール・コゾフとドラマーのサイモン・カークは、ブラック・キャット・ボーンズ というセミプロ・バンドで演奏しながら、自分達自身のバンド結成を模索していた。二人はブラウン・シュガーというバンドのヴォーカリストであったポール・ロジャーズを誘い、バンド結成の話を煮詰めはじめた。そこに当時まだ15歳という若さでジョン・メイオール&ブルースブレイカーズで演奏をしていたアンディ・フレイザーがベーシストとして加わりFREEが誕生した。

1968年後半、アイランド・レコードと契約。1968年11月ファーストアルバム『Tons of Sobs』をリリース。ブルースを基調としたポール・ロジャーズの卓越したボーカルと虚飾を廃したシンプルな演奏により、人気を集め、サードアルバム『Fire And Water』の大ヒットで大物グループの仲間入りを果たした。

1971年に4作目『Free Live』を発表するが、このアルバムリリースより一ヵ月ほど前に、オリジナル・フリーは空中分解してしまっていた。コゾフとカークは、日本よりもヨーロッパで成功を納めたバンド「サムライ」出身の山内テツ、それにアメリカ人オルガニストのラビットを加えコゾフ、カーク、テツ、ラビット名義でアルバムをリリース。しかし、コゾフのいないフリーがフリーらしくないなら、ポール・ロジャーズのいないフリーもフリーらしくない。周りの期待は、やはりフリーとしてのアルバムだった。結局、ロジャーズのバンドも、フレイザーのバンドも上手くいかず、再度、オリジナル・メンバーが結集して『Free At Last』をリリースしたが、また解散。

その後、1972年7月、急遽、ロジャーズ、カーク、テツ、ラビットの4名でFREEとしてEL&Pのサポートというかたちで来日公演を行った。その年の秋からコゾフも加わり5人編成で最後のFREEがスタート。しかし、コゾフがドラッグの使用による体調不調で中途脱退し、ギタリストが曲ごとで違うアルバム『Heartbreaker』をリリース。最後に傑作アルバムを残して、ツアー後、そのまま永久にバンドを葬った。73年春のことだった。

ポール・ロジャーズはその後バッドカンパニーを結成。より多くの音楽ファンにその名を知らしめることになる。



ディスコグラフィー

トンズ・オブ・ソブス
Tons Of Sobs
(1968)

1.オーバー・ザ・グリーン・ヒルズ・パートT 2.ウォーリー 3.ウォーク・イン・マイ・シャドウ 4.ワイルド・インディアン・ウーマン 5.ゴーイン・ダウン・スロー 6.アイム・ア・ムーバー 7.ハンター 8.ムーンシャイン 9.スイート・トゥース 10.オーバー・ザ・グリーン・ヒルズ・パートII

 メンバーは全員まだ10代という時期のファースト。ブルースに根ざした粗削りなロックンロール作品。

フリー
Free
(1969)

1.アイル・ビー・クリーピン 2.ソングス・オブ・イエスタデイ 3.ライイング・イン・ザ・サンシャイン 4.トラブル・オン・ダブル・タイム 5.マウスフル・オブ・グラス 6.ウーマン 7.フリー・ミー 8.ブロード・デイライト 9.モォウニング・サッド・モーニング

 ポール・ロジャースの男気あるソウルフルなヴォーカルとアンディ・フレイザーの特徴的なうねるベースが格好良い。

ファイア・アンド・ウォーター
Fire And Water
(1970)

1.ファイアー・アンド・ウォーター 2.オウ・アイ・ウェプト 3.リメンバー 4.ヘヴィロード 5.ミスター・ビッグ 6.ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー 7.オール・ライト・ナウ

 大ヒットとなったシングル「オール・ライト・ナウ」を収録した3rdアルバム。ロジャースの男気哀愁度の高いヴォーカルも素晴らしい1枚。全英2位を記録した代表作。

ハイウェイ
Highway
(1970)

1.ザ・ハイウェイ・ソング 2.ザ・スティーラー 3.オン・マイ・ウェイ 4.ビー・マイ・フレンド 5.サニー・デイ 6.ライド・オン・ポニー 7.ラヴ・ユー・ソー 8.ボディー 9.スーン・アイ・ウィル・ビー・ゴーン

 前作から早くも3ヵ月という間隔で発表された4枚目。脂の乗り切ったグループの絶頂期の音源で、ブルース、ロック、ポップなどを消化し枯れた味わいのバンド・サウンドが聴ける。 

ライヴ
Free Live
(1971)

1.オール・ライト・ナウ 2.アイム・ア・ムーヴァー 3.ビー・マイ・フレンド 4.ファイアー・アンド・ウォーター 5.ライド・オン・ポニー 6.ミスター・ビッグ 7.ザ・ハンター 8.ゲット・ホエア・アイ・ビロング

 卓越したテクニックと熱いブルース心、咽び泣くギターとソウル・フィーリングあふれるヴォーカル、といったすべてが堪能できる、フリー唯一のライヴ・アルバム。

フリー・アット・ラスト
Free At Last
(1972)

1.キャッチ・ア・トレイン 2.ソルジャー・ボーイ 3.マジック・シップ 4.セイル・オン 5.トラヴェリン・マン 6.リトル・ビット・オブ・ラヴ 7.ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース 8.チャイルド 9.グッドバイ

 人気絶頂期に突如解散してしまったフリーだが、1年とたたずロジャース、コゾフ、フレイザー、カークのオリジナル・メンバーで再結成。全英9位の本作発表は72年5月。

ハートブレイカー
Heartbreaker
(1973)

1.ウィッシング・ウェル 2.カム・トゥゲザー・イン・ザ・モーニング 3.トラヴェリン・イン・スタイル 4.ハートブレーカー 5.マディー・ウォーター 6.コモン・モータル・マン 7.イージー・オン・マイ・ソウル 8.セヴン・エンジェルス

 コゾフとフレイザーが脱退し、ベースに日本人の山内テツ、キーボードに米国人のラビットが加入し、新生フリーの唯一のアルバムで本当のラスト・アルバム。



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