ザ・モンキーズ / The Monkees

 60年代アメリカで活躍したアイドル・グループ。元々は1966年アメリカのTV番組のためにオーディションで選ばれたメンバー4人で結成された架空のバンドである。

その番組タイトルは『ザ・モンキーズ』、コンセプトは1964年全米で公開され社会現象となったビートルズの初主演映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』のような音楽とコメディを合わせたドラマを制作することであった。

メンバーの選考基準もビートルズを多分に意識したもので、ジョンのような悪ガキっぽいキャラクターのミッキー・ドレンツ(D)、ジョージのような物静かで理知的なキャラクターのマイク・ネスミス(G)、リンゴのようなとぼけたキャラクターのピーター・トーク(B)、そしてポールのようなアイドル性を持ったデイビー・ジョーンズ(Vo)が選ばれたというわけである。ちなみにMonkee(s)はMonkey(猿)をもじったもので、これはBeatle(s)がBeetle(かぶと虫)をもじったのにヒントを得たものである。良く言うと「パロディ」、悪く言うと正に「猿真似」、いかにもアメリカ・ショー・ビジネス界らしい発想である。

4人ともショー・ビジネスの世界とは無縁ではなかったが、番組のためにキャラクター優先で選ばれたメンバーである。ビートルズのように後世に残るような名曲を作ることもできなければ演奏もできない。デビュー当初、演奏はすべてスタジオ・ミュージシャンによって行われ、楽曲もトミー・ボイス&ボビー・ハートをはじめ、キャロル・キング&ゲリー・ゴフィン、ニール・ダイアモンドなど錚錚たる顔ぶれがサポートにあたった。

ボイス&ハートが作ったデビュー・シングル「恋の終列車」はTV番組の開始と同時に大ヒットし、目論見通りモンキーズの4人は一躍ティーンエイジャーのアイドルとなった。その後も「アイム・ア・ビリーバー」「ステッピング・ストーン」、「恋はちょっぴり」、「プリーザント・ヴァリー・サンデー」、「恋の合言葉」、「デイドリーム・ビリーバー」、「すてきなバレリ」と数々のヒット曲を放っている。

しかし、グループが成功してくると操り人形である自分たちに反発する気持ちが出てきて、自分たちの考えがレコード制作に反映されない苛立ちから度々制作サイドと衝突することになる。TV番組の成功やグループの成功とは裏腹にこのプロジェクトは崩壊寸前の危ういバランスの上に成り立っていた。

そして1968年6月TV番組が終了するとグループの人気にも陰りがさし、やがてピーターがグループを去り、マイクもグループを去り、残されたミッキーとデイビーでモンキーズは活動を続けたが、以前の輝きを取り戻すことはなかった。

しかし彼らの残した数々のヒット曲は60年代ポップスの名曲として今もラジオから流れ、多くの人に親しまれている。

ビートルズと比較してうんぬんではなく、60年代に活躍し数々のヒット曲を放ったポップス・グループとして等身大の彼らを正当に評価すべきである。



ディスコグラフィー

恋の終列車
The Monkees
(1966)

A) 1.モンキーズのテーマ 2.サタデイズ・チャイルド 3.自由になりたい 4.明日の太陽 5.パパ・ジーンズ・ブルース 6.希望を胸に
B) 1.恋の終列車 2.今日は不利 3.ダンスを続けよう 4.アイル・ビー・トゥルー・トゥ・ユー 5.スウィート・ヤング・シング 6.ゴナ・バイ・ミー・ア・ドッグ

 全米No1ヒット「恋の終列車」をフューチャーしたデビュー・アルバム。「モンキーズのテーマ」や「自由になりたい」など日本でも人気の高い曲が収録されている。

モア・ザ・モンキーズ
More The Monkees
(1967)

A) 1.彼女 2.恋のノッキング 3.メリー・メリー 4.ホールド・オン・ガール 5.グリゼルダおばちゃん 6.ステッピン・ストーン
B) 1.ルック・アウト 2.最高の彼女 3.恋をした日 4.サムタイム・イン・ザ・モーニング 5.ラーフ 6.アイム・ア・ビリーバー

 第2弾シングル「アイム・ア・ビリーバー」をフューチャーした2作目。曲自体はファースト・アルバム制作時にとり貯めた曲の中からピックアップしたもの。キング&ゴフィン、ジェフ・バリー、ニール・ダイアモンドら強力作曲陣とハル・ブレイン、ラリー・ネクテル、グレン・キャンベル、ジェイムス・バートンなど当時の西海岸の名うてのスタジオ・ミュージシャンが総力を結集して作り上げた珠玉のポップ・ソング集。 

ヘッドクォーターズ〜灰色の影
Headquarters
(1967)

A) 1.ユー・トールド・ミー 2.君と共に人生を送ろう 3.あの娘を忘れろ 4.バンド6 5.君はひとりぼっち 6.灰色の影 7.忘れられない彼女
B) 1.ピートのために 2.ミスター・ウェブスター 3.サニー・ガールフレンド 4.ミスター・ゼルチ 5.ノー・タイム 6.アーリー・モーニング・ブルース・アンド・グリーンズ 7.ランディ・スカウス・ギット

 制作サイドとのごたごたの中で発表されたサード・アルバム。このアルバムからメンバー自身が演奏している。ただし、このアルバムからはシングル・カットはされなかった。

スター・コレクター
Pisces, Aquarius, Capricorn & Jones LTD.
(1967)

A) 1.セールスマン 2.シー・ハングス・アウト 3.ザ・ドアー・イントゥ・サマー 4.ラヴ・イズ・オンリー・スリーピング 5.カドリー・トイ 6.恋の合言葉
B) 1.ハード・トゥ・ビリーヴ 2.恋の冒険 3.ピーターの可愛い子豚 4.プリーザント・ヴァリー・サンデイ 5.デイリー・ナイトリー 6.ドント・コール・オン・ミー 7.スター・コレクター

 67年10月に発表された4thアルバム。「恋の合言葉」、「プリーザント・ヴァリー・サンデイ」などのヒット曲が収められている。サイケな雰囲気が時代を感じさせる。

小鳥と蜂とモンキーズ
The Birds, The Bees & The Monkees
(1968)

A) 1.夢の世界 2.アーンティーズ・ミュニシパル・コート 3.気の合うニ人 4.タピオカ・ツンドラ 5.デイドリーム・ビリーバー 6.ライティング・ロングス
B) 1.元気にスタート 2.ポスター 3.私書箱9847 4.マグノリア・シムス 5.すてきなバレリ 6.ゾルとザム

 彼らが68年に放ったビッグ・ヒット作。「デイドリーム・ビリーバー」、「すてきなバレリ」などいまだに色褪せない名曲が収録されている。

ヘッド
Head
(1968)

A) 1.オープニング・セレモニー 2.ポーパス・ソング 3.ディティ・ディエゴ〜ウォー・チャント 4.サークル・スカイ 5.サプリシオ 6.キャン・ユー・ディグ・イット 7.グレイヴィー
B) 1.スーパースティシャス 2.アズ・ウィ・ゴー・アロング 3.ダンドラフ 4.ダディーズ・ソング 5.ポール 6.ロング・タイトル 7.スワミ

 映画『HEAD』のサントラ盤。TV番組は終了しバンドはすでに分裂状態にあった。このアルバムを最後にピーターはグループを去った。

インスタント・リプレイ
Instant Replay
(1969)

A) 1.鏡の世界 2.リンダに耳をかすな 3.彼女なしには 4.ジャスト・ア・ゲーム 5.君なしの僕 6.待つのはおやめ
B) 1.君と僕 2.ホワイル・アイ・クライ 3.涙の街角 4.恋の思い出 5.夢のない男 6.ショーティー・ブラックウェル

 マイク、ミッキー、デイビーの3人で制作された7作目。一曲一曲がバラエティーに富んだものとなっていることがアルバムとしては寄せ集め的な印象を受ける。

プレゼント
The Monkees Present
(1969)

A) 1.リトル・ガール 2.すてきなブルーグラス 3.イフ・アイ・ニュー 4.バイ・バイ・ベイビー 5.“イエス”は禁物 6.幸福をさがそう
B) 1.レディース・エイド・ソサエティ 2.すてきなミュージック 3.フレンチ・ソング 4.マミー・アンド・ダディ 5.オクラホマ・バックルーム・ダンサー 6.ピロウ・タイム

 自らが曲を書き、プロデュースした意欲的な作品。このアルバムを最後にマイクがグループを去る。

チェンジズ
Changes
(1970)

A) 1.オー・マイ・マイ 2.渡し船の切符 3.君が好きだから 4.僕は幸せ 5.アカプルコの太陽 6.あの娘は99ポンド
B) 1.テル・ミー・ラヴ 2.恋のフィーリング 3.やっぱり君が好き 4.オール・アローン・イン・ザ・ダーク 5.ミッドナイト・トレイン 6.君の心は僕のもの

 とうとうミッキーとデイビーの二人だけになってしまった。こうして60年代を彩ったアイドル・グループが70年代の訪れとともに終焉を迎えた。



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