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「宇宙基本法」による宇宙の軍事利用(第2条と第14条)

石附 澄夫
2007年7月29日
2007年11月21日更新
2008年6月3日改題、最終更新


 宇宙基本法第2条は、次のようになっています: (宇宙の平和的利用) 第二条 宇宙開発利用は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約等の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする

 さらに、宇宙基本法第14条は、
(国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障) 第十四条 国は、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進するため、必要な施策を講ずるものとする。 となっています。

 第2条は一見平和主義です。しかし、これは、第14条と同様に宇宙の軍事利用を許容する条文です。

 まず、「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」とは、いわゆる「宇宙条約」と呼ばれる国際連合の決議(1966年採択)です。この条約「等の宇宙開発に関する条約その他の国際約束の定めるところ」というのは、推進側の主張によると、 「防衛的、非攻撃的」ならば宇宙の軍事利用は認めると解釈するのが国際標準 ということです。

 しかし、我が国は、日本国憲法の「平和主義」に従って、「宇宙条約」よりもさらに厳しい枠をはめました。これが、1969年の「我が国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」(1969年5月9日衆議院本会議で全会一致で可決)です。国会の議論で、「平和利用に限る」というのは「防衛的な利用」も禁止しているという解釈になっています。

 この「防衛的な宇宙の軍事利用」には、偵察衛星はもちろん、ミサイル防衛(日本版弾道ミサイル防衛構想[BMD]、および、米国のミサイル防衛[MD])も含まれます。というより、ミサイル防衛を制限なしに推進するために宇宙基本法案が構想されたという面が強いです。注意しなくてはならないのは、これらの防衛システムが直接護るものは、日本国民ではなく、日米の軍事基地(近年「日米一体化」が進んでいることに注意)を含む米国の世界戦争システムを「防衛」することも含みます。この世界戦争システムを「ネットワーク中心型戦争」ともよびます。これは、宇宙を利用してイラク戦争での殺戮に大活躍しました。いわば、「攻撃のための防衛システム」と言っても過言ではありません。

 明文改憲あるいは解釈解釈改憲により、集団的自衛権を認めようという動きがあります。実際に、湾岸戦争やイラク戦争でのイージス艦によるインド洋での共同作戦行動、および、アフガン戦争やイラク戦争での兵站活動(給油・物資の補給・米兵の輸送)を自衛隊が行っており、国際法の上では、日本はすでに「参戦」しています。

 こういう状況の中では、この第2条は、1969年の衆議院本会議での「宇宙の平和利用決議」を廃棄し、「攻撃システムの防衛」を中心に宇宙の軍事利用を許容するものです。

 第2条は1969年決議の全文: 「我が国における地球上の大気圏の主要部分を越える宇宙に打ち上げられる物体及びその打ち上げロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉を図り、あわせて産業技術の発展に寄与すると共に、進んで国際協力に資するためにこれを行うものとする。」 とすべきですし、第14条は削除すべきでしょう。