
2000年9月号掲載分
二瀬の薬局は産婦人科の隣にあります。産婦人科はほとんど処方せんが出ないので、薬局は今にも傾きそうです。そのかわり患者さんさえ急いでいなければ、十分にお話を聴くことができます(^-^)。
Hさんは、処方箋を持っておいでになると小一時間ほども話して行かれます。孫の自慢話や
"嫁の悪口"です。孫の自慢話なら良いのですが、あからさまな嫁の悪口を延々と聞かされるときにはさすがに閉口します。さて、今日はHさん、湿布薬が出てます。
「今日は湿布が出てますね。どうされました?」
「肩がこっちゃってねぇ〜。今日はね、朝からず〜っと拭き掃除をしてたの。それで昼過ぎたら肩が痛くなって、それでS先生に湿布を出してもらったの。家の嫁ときたら家事が下手で、久しぶりに2階に上がったらホコリだらけなのよ。しかたないから、階段から上をぜ〜んぶ雑巾がけしたら肩がガチガチになちゃって。ホントに家の嫁ったらね…」
ああ…、やっぱり嫁の悪口になってしまった(泣)。Hさんは風邪を引いても、便秘になっても、肩や腰が痛くなっても、8割方は嫁の悪口へと話が移っていくのでした。だけど、ナニユエにそこまで嫁の悪口を言うのでしょう?
で、聴いてみました。
「肩がガチガチになるくらい、朝からず〜っと雑巾がけしてるとどんな気持ちになります?」
「そうねえ、やっぱりこの家には私がいなくちゃ!って思うのよ。」
Hさんは「この家にとって、私はなくてはならない存在なのだ。」ということを確認したいし、他の人にもそう認めて欲しいのでしょう。そのためには「良い嫁」ではダメで、「ダメな嫁」が良いのです。嫁の悪口を言ってるように見えても、ホントは自分のことを認めて欲しいだけなんだってのがわかりました。
「なるほど。やっぱりこの家には私がいなくちゃ!って。そう思うと、掃除にも力が入りますよねぇ。ホントにお疲れさまでした(^-^)。」Hさんはニコニコと帰って行かれました。
「Hさんってそんなに悪い人じゃないじゃん」と思うと、ちょっと得した気分(^-^)。