head_img

未払い残業代請求と回収のポイント

未払い残業代とは、所定労働時間を超えて労働したにも係わらずいまだ支払われていない賃金をいいます。

photo未払い残業代が発生する理由は様々あります。

賃金算定の基礎となる労働時間を管理するのは使用者側の責務ですが、そもそも労働時間の解釈に誤りがあったり、また管理の仕方に問題がある場合など、中には儲けることばかり考えて法律を軽視し、意図的に残業代を支払おうとしない使用者もいます。

未払い残業代の請求において一番重要なことは、まず自分にはこれだけの残業代を受け取る権利があるということを、請求者自らが証明できるような証拠となる資料をどれだけ集めることができるかということにつきます。

一般に、未払い残業代のトラブルが訴訟に発展したような場合には、以下のような証拠資料が必要になってきます。

①雇用契約の存在
未払い残業代の請求に関して、まず請求者と使用者との間に雇用契約が存在していたことが前提になければなりません。その証拠書類としては、一般に雇用契約書(労働契約書)があります。

ただし、使用者によっては労働者にこのような契約書を交付していないケースもありますので、そのような場合には、給与明細書や業務報告書(日報)などがその証拠となります。

②時間外労働(残業)を行なった場合は、残業代の支払いについての取り決め
時間外労働(残業)を行なった場合の残業代の支払いについての取り決めについては、その会社の就業規則や賃金規程、あるいは個別の雇用契約書又は労働条件通知書等に記載されています。また、実際の残業代の支払額等については、給与明細書で確認ができます。

icon 就業規則とは…(労基法第89条)
就業規則とは、労働者が事業場において就労する上で守らなければならない職場規律や、賃金、労働時間などの労働条件について定めた規則のことで、常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合は、これを作成し、管轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。

就業規則を作成する際は、賃金や労働時間に関する事項については、必ず記載しなければならないことになっています。

icon 労働条件通知書とは…(労基法第15条第1項、労基則第5条)
使用者が労働者と雇用契約を結ぶ際には、口頭でも契約は成立するため雇用契約書(労働契約書)の作成までは義務づけられていませんが、使用者は、労働者に対して労働条件を明確に示さなければならず、雇用契約の期間や就業の場所、賃金や労働時間に関する事項については、書面によって明示しなければならないことになっています。

③現に時間外労働(残業)を行なったこと
実際に時間外労働(残業)を行なった証拠となる資料については、タイムカードやIDカード、業務報告書(日報)、その他パソコンのログ、メールの送受信履歴やファックスの送受信記録などがあります。

icon タイムカードの証拠としての価値
タイムカードは、労働者の出社の時刻と退社の時刻を示すものであり、必ずしも仕事の開始時刻と終了時刻を示すものではありません。

したがって、実際の労働時間はタイムカードの打刻時間よりも短いものとなるのが普通です。

ただし、実際の裁判においては、タイムカードの時間が労働者の労働時間と完全に一致するものではないにしても、タイムカードの時間と実際の労働時間が異なることについて、(会社側からの)特段の立証がない限り、タイムカードの記録に従い、労働時間を認定するのが妥当であるとして、タイムカードの証拠としての価値を認めているものがありますので、労働時間を認定するうえで、タイムカードは強力な証拠のひとつとなると考えられています。

icon タイムカードがない場合の対応
タイムカードがない場合は、業務報告書(日報)や、業務日誌、シフト表などが証拠として考えられますが、そのような書類もない場合は、個人的な手帳などの記録となります。

個人的な手帳などの記録は、労働者がただ記しただけのものですので、証拠としての能力は低くなりますが、一応証拠となりうるものです。

ただし、個人的な手帳などに労働時間などの記録を残す場合には、「○月○日 ○時~○時」というような簡単な記録だけではなく、「その日に行なった仕事の具体的な内容」だとか、「その日の出来事」、「上司や同僚の発言内容」なども記載し、第三者に対して「これは信用できる」と思われるように、記録の信用度を上げるような記載をすることが重要です。

賃金関係のトラブル、特に未払い残業代の事案では、「労働時間を証明する資料、証拠」を確保できるかできないかが、解決の大き分かれ目となります。

労働時間を証明できない場合には、未払い残業代のトラブルを早期に解決することが難しくなります。

icon 使用者側との交渉と専門家の活用
一般にトラブル解決の基本は、相手と直接交渉することです。

未払い残業代のトラブルで使用者側と相対で交渉するときは、極秘裏にICレコーダーを使用することをお勧めします。使用者側の考え方を検討したり、後の証拠となる場合があるからです。

ただし、使用者側と交渉してもなかなか成果が得られない場合は、専門家等の助言を得たり、実際に活用することなどが考えられます。

労働関係に関する専門家には、弁護士、社会保険労務士、司法書士等の専門士業のほか、労働基準監督署等の役所関係、合同労組(ユニオン)と呼ばれる企業の枠を超えて誰でも加入することができる労働組合などがあります。

それらを利用する場合は、特徴点などを事前に収集して、状況にあった活用をすることが重要です。



ページトップに戻る