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近年、解雇をめぐるトラブルが増加しています。背景には、事業の縮小や合併等によるリストラなどもありますが、中には解雇は自由であるとか、なんらかの理由があれば、常に解雇の措置がとれると考えている使用者(事業主)の方も一部にはいるようです。
解雇は、労働者にとって生活の基盤を失うことになる反面、会社にとっても他の労働者のモラルの低下を招くなどの影響が考えられます。解雇を考える前に、できるだけ解雇によらない対応策を探るなど、慎重に対応することが必要です。
【解雇が有効とされるための要件】
(1)客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められること
(2)就業規則や労働協約に定めた解雇の事由に従っていること
(3)労働基準法、その他の法律に定められている解雇禁止事由に該当しないこと
(4)解雇の予告を30日前にするか、それに代わる解雇予告手当を支払うこと(例外有り) |
(1)について (客観的合理的理由と社会通念上の相当性)
客観的に合理的な理由については、能力、技術、適格性などの欠如、傷病などによる労働能力の喪失や低下、規律、秩序、勤務義務などに違反する行為、業績悪化等による経営上の理由などが該当します。社会通念上の相当性とは、解雇することが厳しすぎないかどうか、使用者側の注意、指導、管理などとのバランスを欠いていないかどうかということを指しています。
過去の裁判例においては、正当な理由のない解雇は無効であるとされており、これを『解雇権濫用の法理』といいます。平成16年1月からの改正労基法で条文に明記されましたが、その後平成20年3月1日施行の労働契約法に移行しました。(労働契約法第16条)
『解雇権濫用の法理』
「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」
(昭50.4.25日本食塩製造事件)
「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は解雇権の濫用として無効になるものというべきである。」(昭52.1.31高知放送事件)
(2)について(解雇事由の就業規則等への記載義務とそれに従った解雇であること)
就業規則への記載義務については、平成16年1月からの改正労基法で条文に明記されました。(労基法第89条第3号)また、労働契約締結時にも書面の交付により、明示しなければなりません。(労基則第5条第4号)
(3)について
法律に定められている解雇禁止事由とは、次の場合などをいいます。
@業務上の負傷・疾病による休業期間とその後の30日間、産前産後の休業期間とその後の
30日間(労基法第19条)
A労基法、安衛法違反事実の行政官庁等への申告を理由とする解雇(労基法第104条第2
項、安衛法第97条第2項)
B国籍、性別、信条、社会的身分による差別解雇(労基法第3条)
C労使協定の過半数代表者になること、なろうとしたこと、また過半数代表者として正当な活
動をしたことを理由とする解雇(労規則第6条の2第3項)
D企画型裁量労働制の不同意を理由とする解雇、企画型裁量労働制の労使委員会の労働
者委員になること、なろうとしたこと、また労働者委員として正当な活動をしたことを理由とす
る解雇(労基法第38条の4第1項第6号、労規則第24条の2の4第6項)
E不当労働行為となる解雇(労組法第7条)
F女性労働者が婚姻したことを理由とする解雇(均等法第9条第2項)
G妊娠、出産、産前産後休業の取得・請求、妊娠・出産に起因する能率の低下・労働不能を
理由とする解雇(妊娠中及び出産後1年)(均等法第9条第3項、同4項)
H育児・介護休業の申出、取得を理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、同16条)
I労働者派遣の一般派遣業務の派遣可能期間決定の際の意見聴取等の労働者の過半数
代表になること、なろうとしたこと、また過半数代表として正当な活動をしたことを理由とする
解雇(派遣法規則第33条の4第3項)
J個別労働紛争解決促進法に基づき労働局長に対して助言・指導を求めたこと、紛争調整
委員会にあっせんを申請したことを理由とする解雇(同法第4条第3項、同5条第2項)
K公益通報をしたことを理由とする解雇(公益通報者保護法第3条)
L裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと等を理由とする解雇(裁判員法第100条)
(4)について(解雇予告制度(労基法第20条)) @解雇の意思表示の方法
口頭で申し渡しても、文書で通知しても差し支えない。(できるだけ文書が望ましい。)いず
れの方法であっても被解雇者が確実に了知し、または知り得る状態にしなければならない。
A効力の発生時期
使用者が労働者に解雇の意思表示をしたときに、その効力が生じる。(民法第540条)
隔地者に対して郵送で解雇通知を行った場合は、相手方に到達したときにその効力が生じ
る。(民法第97条)
B解雇予告手当の支払時期
解雇の申し渡しと同時に支払うべきものである。(昭23.3.17基発第464号)
C解雇予告制度の例外 (予告手当を支払うことなく即時解雇が可能な場合:労基法第20、
21条)
(a)日雇その他の短期雇用者の場合
(b)天災事変、その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合、労働
基準監督署長の認定を条件とする。(経営不振、金融難などによる倒産などは、認定の
対象とはならない。)
(c)労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合、労働基準監督署長の認定を
条件とする。(除外認定が受けられないときは、予告手当を支払う必要性有り)
なお、「整理解雇」が有効とされるためには、上記(2)、(3)、(4)を遵守した上で、次の要件が必要となります。
【整理解雇の四要件】
@人員削減の必要性があること
人員削減をしなければならない理由が現に存在すること
A解雇を回避するための努力がなされていること
役員報酬のカット、労働時間の短縮、賃金、ボーナスのカット、出向、希望退職者の募集など解雇を回避するための措置がとられているか?ということ
B解雇する人選が妥当であること
客観的に合理的な選定基準を設定し、公正に適用しているか?ということ
C労使協議等を実施するなど手続きが妥当であること
事前に、整理解雇の必要性や内容について納得を得るために、労働組合や従業員個人に対して十分な事情説明をしているか?ということ
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