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     時間外労働の要件、限度時間、労働時間の適正な把握について

従業員のリストラなどの一方で、長時間労働が大きな問題となっています。長時間労働が慢性化してくると、毎日の疲労やストレスが徐々に蓄積され、最悪「過労死」につながることも予想されます。ひろく世間では、時間外労働はやって当然 と考える向きがありますが、時間外労働を行うためには、法令上、次の手続きを踏まなければなりません。

1.時間外労働について労使協定(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出ること
2.就業規則に時間外労働をさせることがある旨の規定をおくこと

ただし、使用者の時間外労働命令について権利の濫用にあたるとした判例があります。つまり、@業務上の必要性がない時間外労働には拘束力は認められず、A有効な命令であっても労働者に正当な理由があれば、強制できないということになっています。

また、時間外労働は、労使協定(36協定)を提出すれば無制限にできるわけではなく、以下の厚生労働大臣が定める「限度時間」を守らなければなりません。

【時間外労働の限度時間】
期間 限度時間 ◎限度時間を超えて時間外労働を行う場合
   特別条項付き36協定の締結、届出
◎限度時間が適用されない業種
@建設・土木・電気工事・機械据付等の事業
A自動車の運転業務
B新技術、新商品等の研究開発の業務
C郵政事業の年末・年始における事業、ガス
  事業等

1週間 15時間(14時間)
2週間 27時間(25時間)
4週間 43時間(40時間)
1か月 45時間(42時間)
2か月 81時間(75時間)
3か月 120時間(110時間)
1年間 360時間(320時間)
(注)( )内は、3か月を超える期間の1年単位の変形労働時間制をとる場合の限度時間


労働時間の規定の適用を受けない人
次に該当する人は労働時間の規定の適用を受けません。ただし、深夜労働や年休に関する規定は別です。

@農水産業従事者
A監督もしくは管理の地位にある者または機密の事務を取り扱う者
監督もしくは管理の地位にある者とは、職務内容や権限、待遇などから見て「経営者と一体的な立場にある者」とされ、単に役職名がついているだけでは管理監督者とはいえないことになっています。
B監視断続的労働に従事する者で行政官庁の許可を受けた者

労働時間の弾力的運用(変形労働時間制)
日々の業務量が一定しない事業場では、以下の勤務体制にすることにより、法定労働時間(1日8時間または1週40時間)を超えて労働しても、時間外労働にならないようにすることが可能です。(ただし、就業規則の定めや労使協定の締結・届出が必要となります。)

@1か月単位の変形労働時間制
1か月以内の一定期間について、1週間あたりの労働時間を平均して法定労働時間を超えないように設定したもの
Aフレックスタイム制
1か月以内の一定期間(清算期間)の総労働時間を予め定めておき、その範囲で各日の始業、終業時刻を選択して働くことを可能にしたもの
B1年単位の変形労働時間制
1年以内の一定期間について、1週間あたりの労働時間を平均して法定労働時間を超えないように設定したもの
C1週間単位の非定型的変形労働時間制
労働者数30人未満の小売業、旅館、料理店および飲食店において適用可能で、1週間の労働時間が40時間以内ならば、1日について10時間まで労働させることを可能にしたもの

労働時間の算定が難しい職種の管理(みなし労働時間制)
労働時間の算定が難しく、また仕事のやり方などもある程度労働者自身の裁量に任せた方がよい職種については、「一定の時間働いたものとみなす」ことができる『みなし労働時間制』を適用することができます。(労使協定の締結・届出、労使委員会の設置などが必要となります。)

@事業場外のみなし労働時間制
事業場外で業務に従事し、使用者の指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務
A専門業務型裁量労働制
a)新商品、新技術の研究開発の業務、b)情報システムの分析、設計の業務、C)取材、編集
    の業務など19業務
B企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する企画、立案、調査、分析の業務に従事するホワイトカラー

労働時間の適正な把握について
労働時間がきちんと管理されていないと、賃金不払い残業(サービス残業)や長時間労働による健康障害などの弊害が起こってきます。労働時間を適性に把握するためには、次の点を考慮して行うことが重要です。

『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準』(一部)
@労働時間の把握は客観的な方法で行う。
 ・タイムカードやICカードの使用、使用者の現認など。
 ・自己申告の場合は・・・・
  a)適正な申告をするように事前に労働者に十分な説明を行う。
  b)定期的に調査などを行う。
  C)労働者の正確な申告を妨げるような要因を作り出さない。
A使用者は労働時間の状況を踏まえ、その問題点の把握とその解消を図るようにすること。
B労働時間に関する記録(タイムカード、帳簿など)を3年間保存すること。

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