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ということである。また、そのための方法として、単なる感情論でなく
と現実の資本主義社会を踏まえた思考をしているのは鋭いといえよう。 |
| 302 12/23 『逆境ナイン(2)』島本和彦 徳間書店 ☆☆☆ 不屈が赤点による出場停止を免れたと思ったら、他のメンバー6人が赤点で出場停止。急遽「七人の侍」ばりにメンバーを集めることになる。そして不屈には女難(?)が。女を振り切って宿敵・日の出商業との対決を向かえる。 部員集めでは王、長嶋を始めとする冗談のようなキャラが連続して登場し、笑える。なかでも猫と犬とライダー(フルフェイスヘルメット顔!)の校内レースが最高。無意味に燃える。 |
| 303 12/23 『マンガ夜話vol.6』 キネマ旬報社 ☆☆ NHK「BSマンガ夜話」を単行本化したものテーマはそれぞれ『SLUM DANK』『幽★遊★白書』『北斗の拳』である。いずれもジャンプ黄金期の長期連載マンガ。それぞれの絵の変遷とそれに関係する作者の心理や画力に触れた部分はなかなか面白い。なかでもマンガ評論家として今では名の通った夏目房之介氏の「夏目の目」のコーナーはさらに突っ込んだ分析/批評であり、これだけでも充分この本を買った価値はあるといってもいいかもしれない。 他はTVなのでバカ話の比重がかなりあり、この辺りは編集してもらってもよかった。だが、本書の編集者は基本的にバカ話も含めた内容をそのままVTRを起こす変わりに大量の注釈を加えることによって本として成立させることを選んだ。そのバカ丁寧さから、NHK出版かと思ったのに、どうしてキネ旬なんだ? |
| 304 12/23 『西田哲学を学ぶ人のために』大峯顕編 世界思想社 ☆☆ 哲学というとギリシアやヨーロッパの人で、東洋の哲学者というと釈尊や孔子、老子のような昔の人しか思い浮かばないのは、高校までに習わないからだろうが、日本の三哲というのは三木清、倉田百三そしてこの西田幾太郎である。その一人の哲学を学ぼうと比較的安くて(1950円)概略が分かるもの、ということで読んだのだが、入門書というよりも、西田哲学に関する論文集で、もうひとつ分からなかった。 キーワードとして「絶対弁証法」「絶対矛盾的自己同一」そして、西田自身キリスト教や仏教に造詣が深いものの、特定の宗教に偏らず、それでいて宗教を哲学的に語ろうとした、というのは分かった。もっとも神という概念は哲学上の大きなネックでもあり、その取り組み自体はデカルトの時代から行われてきてはいるが、西田は自身がキリスト教につかってしまっているという西洋哲学者とは異なる東洋人の視点を活かして、一歩引いたところから思索を進めたというところが大きなポイントである。 ただ、やはり背骨となる思想が掴みきれないので、「盲人、象をなでる」に陥ってしまうような感じがする。この、西洋哲学者の入門書はいくつもあるのに、日本の三哲と言われる人の入門書が(気付かなかっただけかもしれないが)ない、ということ自体が自分の国を卑下してしまっている現状を表しているのだはないだろうか。 |
| 305 12/24 『逆境ナイン(3)』島本和彦 徳間書店 ☆☆☆☆ 全力学園対日の出商業の試合は、前代未聞の109点差で、ピッチャー返しを喰らった不屈が9回に目覚める。不屈はその絶体絶命の危機で男球(おとこだま)を編み出し、そして「やる気パルス」を燃やして怒涛の反撃が始まる。さらに草野球では使うものの、「透明ランナー」というのが本当にあった(本当にあるのか?)というのも驚きだが、それで50点差を逆転してしまう、ラストに増長する不屈というおまけはあるものの、最高に燃える巻である。これでラストにしてもいいくらい。 全編これ迫力に充満して燃えまくっているが、中でも白眉は不屈のやる気パルスの共振によって燃えた新屋敷がホームランを打つフルスイングは、その見開きに顔のアップに流線だけだが、その震撼するほどの勢い、はもう真似できないだろう。これを筆頭に、見開きにアップにここまで勢いと迫力を込めることができるのは島本和彦くらいである。熱血マンガ、野球マンガファンは絶対見るべし、という一冊! |
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308 『厨子家の悪霊』旧家にまつわる因縁や呪いなどという設定は横溝正史や初期の高木彬光と似た設定ではあるが、そんなありがちな設定にとらわれず、解題で日下氏が書いているように、あくまでもストーリー自体でミステリの醍醐味を存分に味合わせるという、その意味ではミステリの本道を行く作品。
ここまで前代未聞なミステリを作っておいて、なおかつこのような諧謔を入れる余裕があるというのが凄い。また、この記述こそが本作品のテーマ、読者に対する挑戦状となっているのだ。 『殺人喜劇MW』ある評論家戸倉氏夫婦が殺されるに至る過程を描いたもの。風太郎的ニヒリズムとパラレルな描写が楽しめる。殺人者を誘惑する場面が男と女でそれぞれ描かれるが、両者はほぼ同一のコンテクスト。これは山風が度々使う手法で西洋の物語(たとえば「ブレーメンの音楽隊」でメンバーを集めるところ)でも出てくるものである。それを、男に対しては女が、女には男が当たるという図式に、さらに男が女言葉を使い、女が男言葉で喋るというちょっと頭がこんがらがるような遊びが仕掛けられている。ミステリというよりブラックユーモア小説といえる。 『旅の獅子舞』兵庫県の山中で起こる旅芸人の一座で起こる殺人事件。目の前で自殺した筈の男がじつは殺されていた、というところから始まる。殺人のトリックも山風らしいとえいる。短短編。その郷土色ある舞台は横溝正史というより古き日本映画的な郷愁。 『天誅』象皮病のじいさんの大睾丸というインパクトだけでこのショート・ショートは勝ち、という感じもする(まともな小説家でこんな設定を考えつく人がいるだろうか!)。トリックなどはあまりに短すぎる(14ページ)こともあって状況説明が不充分で、意外さがあまり伝わる暇もなく終わってしまうのが残念。 『眼中の悪魔』ごく初期の小説の1つ。手紙、遠隔操作、人間心理、という山風独自の要素が既に固まっていたことが見て取れる。
この文章は高木彬光氏の『呪縛の家』と同様の内容であり、両氏が友人関係にあることと思い合わせ、興味深い。 『虚像淫楽』昇汞(しょうこう。毒のことか?)を飲んだといって義弟に運び込まれる女。義弟が女の夫で兄である男を呼びに戻ると、夫は自殺していた。なぜ女は以前看護婦として働いていたこの病院を指定したのか、夫が自殺したのは、女や義弟にあるみみず腫れの意味するところは?一見『D坂の殺人事件』のようでありながら、それを遥かに越えるどんでん返し。 『使者の呼び声』山風得意のアイテムである手紙を最大限に駆使した意欲作。始まりは現実からだが、そこから封筒を開け、探偵小説が始まる。さらにその中で手紙が重要な意味を持つ探偵小説が朗読される。三重構造がそれぞれ手紙をテーマとしてあり、手紙がテーマといってもいい。単なる小説内小説ではなく、現実舞台まで含めそれらが相互いに関連し合っている構成は全く巧みである。山風ミステリの基本要素はこれまた全て入っているといっていいが、中でも大きなウェイトを占めるプロットは動機であろう。 |
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このように、拷問の公開は抑止力と同時に、受刑者(?)を英雄にしてしまうというマイナス面を持っている。これは一見奇妙なようだが、現実として異端摘発や魔女刈りなどでは多くの自主者を生んだそうだ。
と、記録されている記述や図が全て実際に行われたかどうかについては疑わしいとはいえ、中世ヨーロッパの拷問の殆どがキリスト教関係、魔女と異端審問のために行われていた、という事実は避けることのできない問題である。近年のカルトの現状を見るまでもなく、宗教は狂信的行動に走る要素となる。これはキリスト教といえど、例外ではない。わずかであるが、東洋、中国とインドの事例ついても描かれている。とはいえ、こちらは拷問のもう一つの側面、嫉妬と復讐の意味合いが強い。
3つ引用した内の1つめは、重要なポイントである。我々は死刑反対などといいつつも、極悪非道な犯罪者に対しては、それを是としていることが少なからずあるのではなかろうか。3つめで著者が言うように、そのケースに応じて立場が変わっていることがよくある。それを総合的に判断して臨機応変であるとするのか、首尾一貫していないとするかは、難しいところだ。人命と人権がかかっているだけに、慎重に考慮すべき問題である。 |
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その後にもう一個所ほどあるのだが、クールな文章だけに逆に面白い。 |