「愛犬がくれたもの」
             

ペキニーズはシーズーと違い、年に一度か二度、cutに行く。
詩保温ちゃんは、父を完全に変えた。
この変化は凄まじい。

以前、父の友人が愛犬を子供のように可愛がったり、その死に落ち込んでいる姿を見ても、父は理解できないようだった。

家で犬を飼うというのも、信じられないことだった。
だけど、詩保温が来てから、父は犬という存在を認めるようになった。いずれ、孫は成長し、離れていく。犬(ペキニーズは気紛れな面もあるが)はいつも傍にいる。裏切ることなく。そこにいて微笑んでくれる。

「子供のようだ」と言い、風呂に入れたり、ビックリするほど、おもちゃを買って帰ったり、散歩に興味を示したり、おやつを真剣な眼差しで選んだり....する。

仕事一筋、お金大好きだった父に、詩保温はプライスレスなものをプレゼントしたようだ。

「詩保温ちゃん、我が家に来てくれてありがとう」

動物嫌いの父がここまで変った。
お金の絡まないことに興味を示さなかった父が、だ。

綺麗にカットされた詩保温を、母に何度も、「可愛くなったろ?」と訊く。母も最初は笑って頷いていたが、何度も同じことを訊くので苦笑する。

「詩保温ちゃん、サマーカット、綺麗だのう。良かったのう。今まで暑かったもんのう」

詩保温を抱き締めるが、なにせペキニーズなもので、父の手を離れ、冷たい床の上にゴロンと寝ちゃった。