硬券切符の歴史と資料/茜堂
硬券切符の大きさ四つの秘密

国内では一般的に切符は、板紙(厚紙)の硬券と薄紙の軟券とに分けられています。
硬券の印刷は一般的には活版印刷ですが、近年の記念硬券等では平版(オフセット)印刷の物も登場しています。
通常の硬券切符については、次の4つのサイズに分けられます。
A(型)券、B(型)券、C(型)券。D(型)券の四種類。
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A型券
A券は切符の原点で国際的にエドモンソン型として広く使用されています。
国内ではそのサイズを3×5.75cmと規定しています。
清里驛/5銭入場券
昭和8年8月3日.鉄道省
特急券/800粁.1等.つばめ印
昭和12年5月12日.鉄道省
昭和8年、鉄道省5銭赤線横一条引入場券。昭和12年、鉄道省赤線斜二条引特急券1等つばめ印付。

B型券
B券は我国独自の物で、2.5×5.75cmに規定。
有楽町印刷場の場長であった、武井伝次郎さんが用紙節約の為に考案したものです。
韓国(現在は使われていません)や中国にも伝わりました。
旧様式.入場券.表/ソウル駅
通用5列車12時13分/150ウォン
韓国国鉄.裏/ソウル駅発売
1985年1月5日
1985年1月5日、韓国・ソウル駅入場券(旧様式、表裏)、通用5列車12時13分、150ウォン。

C型券
C券はA券を二段に重ねた大きさで、6×5.75cmの希少な券。
補充往復券に使用されていました。
播鐵中村から加古川経由の岡山行きの往復乗車券ですが、
復券が岡山より加古川経由で有るべき所が、
加古川より岡山経由と誤記入されています。
播丹鐵道/播鐵中村駅発行
播鐵中村〜岡山.加古川経由往復乗車券(ミス券)
播丹鐵道(昭和18年6月1日に官営化)、JR鍛冶屋線として平成2年4月1日廃線。

D型券
D券はA券を横に延ばした、3×8.7cmの大きさ。地紋は凸版印刷。
特急券や急行券等の指定関係の券、一様式券、100km以上の往復券等に使用されていました。
新幹線指定席特急券/こだま号
昭和47年8月14日.国鉄
昭和47年、国鉄新幹線、赤線縦一条引こだま号指定席特急券(裏面に指定席表示)。
明治の創世期からJRまでの硬券切符の歩み


明治時代の鉄道創世期からJRまでの官営鉄道発行の硬券切符の歴史と様式を、年代順にまとめて記述しています。
特記の無い物は乗車券の事を表しています。皆様方の切符整理の参考にでもなりましたら幸いです。

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■明治5年5月頃■
裏面に「英、独、仏」三ヶ国語の表示が付く。

■明治9年12月1日■
裏面に「和、英」二ヶ国語の表示が付く。


■明治21年11月頃■
自至駅名は「漢字表示」から「ひらがな表示」に転換される。


■明治30年11月頃■
裏面に「英」一ヶ国語の表示が付く。

入場券(右書表示)の裏面(券番は表)で英文字一ヶ国表示。

■明治30年11月5日■
主要10駅にて入場切符が販売される。A型弐銭縦型券。

■明治35年頃■
鉄道作業局(中期)、券面に鉄道作業局五文字波状網目模様の地紋が付く。

■明治35年6月頃■
新橋駅の入場券のみ入場者抑制のため、五銭に値上げ。A型五銭横型券。

■明治39年4月16日■
二地帯制の急行券が登場。

二地帯制時代の百五拾哩以上の三等急行券流用の大正2年の往復乗車券(上野〜田端.巣鴨)の表裏、マット調の色合いがとても鮮やかです。

■明治39年10月1日■
官割断線が入る。


■明治40年4月1日■
帝国鉄道庁、券面に帝国鉄道庁五文字波状網目模様の地紋が付く。

■明治41年12月5日■
鉄道院、券面に鉄道院三文字波状網目模様の地紋が付く。

■明治44年頃■
鉄道院、券面に「てつだうゐんGIR」の地紋が付く。
年間入場者10万人以上の一等駅の入場券も五銭に値上げ。A型五銭横型券。

■明治45年6月15日■
特急券が登場。
急行券は二地帯制から均一制となる。

均一料金時代の仙臺驛(仙台駅)発行の東北線用二等急行券(右書表示)の表面、英語表記の裏面。




大正元年より大正15年の間では、日露戦争の大勝利の影響等もあり軍や官吏の力が大きくなり官職割引き制度が登場します。
日本文字の横書きが右書きから左書きへと転換され、切符表記も左書きへと転換されます。

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■大正初期■
大正期のみ官公断線入り(線形からエックス断線とも言われている)。

■大正4年頃■
自至駅名は「ひらがな表示」から「漢字表示」に転換される

■大正7年8月1日■
東京、上野、大阪の三駅の入場券が十銭に、その他の駅の入場券が五銭に値上げされる。

■大正9年2月1日■
書式が「右書表示」から「左書表示」に転換される。(ダッチングによる日付も同様)
特急券、急行券が三地帯制となる。
入場券に日付を入れない無日付券となる。(実施日不明)

■大正9年5月15日■
鉄道省(過度期GIR表示)、券面に「てつだうしゃうGIR」の地紋が付く。


■大正10年頃■
断線の表示が「官」から「公」に変換される。

■大正後期■
鉄道省、券面に「てつだうしゃうGJR」の正式地紋に変換される。

■大正12年7月■
特急券、急行券が地帯別に応じ「赤線斜引」が入る。
501哩以上(三条)、500哩迄(二条)、250哩迄(一条)の三地帯制。哩(マイル)券とも言う。

左から昭和3年の哩表示(算用数字)と大正14年の哩表示(漢数字)の急行券、右は大正13年の哩表示(漢数字)の特急券で裏面に列車指定あり。

■大正14年2月20日■
書式が「漢数字」から「算用表示」に転換される。(等級は除く)

■大正15年頃■
断線より「公割」が廃止される。




昭和元年より昭和64年の間には我国最後の大戦を迎えます。
戦中戦後の物資が困窮する中にあって、幾多の制度変革や切符様式の簡略化等から当時の英知と苦労を伺い知る事ができます。

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■昭和初期■
乙片に集束用の黒点(綴り穴)が付く。


■昭和5年4月1日■
特急券、急行券が「哩表示」から「粁表示」に変換される。
801粁以上(三条)、800粁迄(二条)、400粁迄(一条)の三地帯制。
主要都市の一等駅の内、27駅の入場券を10銭に値上げ。

左から昭和16年と10年の粁表示の3等急行券、右は昭和7年の粁表示の二等特急券(富士号)。

■昭和7年8月1日■
等級を「算用数字」に変換する。
全ての一等駅の入場券を、10銭に値上げ。(8月中に値上げ、開始日不明)


■昭和16年頃■
入場券は徐々にB型券に移行。
特急券、急行券の地帯別赤線斜引き最終期券。
401粁以上(二条)、400粁迄(一条)の二地帯制。

昭和17年6月(戦時中)の地帯別最後の赤線斜引様式(昭和18年7月1日、赤斜線廃止)。


■昭和17年4月1日■
入場券は最低運賃と同額となり、全駅10銭に値上げされる。

■昭和18年7月1日■
特急を第1種急行、急行を第2種急行と改め列車指定制とする。
特急、急行の近距離乗車制限のため、401粁以上の料金均一制となる。
この頃には乗車券、特、急行券等も徐々にB型券に移行。
赤斜線引きが廃止される。

■昭和19年10月頃■
無地紋券が発行されるなか、広島局の簡易地紋「工」の地紋券が発行される。



■昭和22年7月7日■
特急券、急行券が料金均一制から「三地帯別」制へ変換される。

■昭和24年6月1日■
日本国有鉄道が発足。地紋の設定は無し。

■昭和25年頃■
特急券、急行券の「地帯別(距離別)」が、名称下の黒線引きに変換される。
601km以上(黒線横四条)、600km迄(黒線横三条)、300km迄(黒線横二条)、150km迄(黒線横一条)。
特別二等車券が登場。

進駐軍の提言で設けたリクライニングシートの二等車に、
従来の二等車との設備格差から別料金(後のグリーン料金)を設定。
昭和27年8月の特別二等車券、略して特ロ券(トクロケン)とも言われています。

■昭和25年6月頃■
日本国有鉄道、一部の券面に「こくてつJNR」の地紋が付く。

■昭和26年4月1日■
日本国有鉄道、入場券を除く全ての券面に「こくてつJNR」の地紋が付く。

■昭和26年11月1日■
特急券、急行券の赤線斜引きが復活。「地帯別(距離別)」から「列車種別」に変換される。
特急(三条)、急行(二条)、準急(一条)。

左から昭和33年(縦引時代で斜引流用券)の特急券、昭和29年の急行券、昭和29年の準急券。


■昭和33年10月1日■
特急券、急行券、準急券の「赤線斜引き」から「赤線縦引き」に変換される。

左から昭和39年の特急券、昭和41年の急行券、昭和39年の準急券。

■昭和35年6月1〜30日■
この期間のみ1等が廃止される。

■昭和35年7月1日■
3等級制から2等級制へと変換される。
旧2等が新1等へ旧3等が新2等へ、これにより3等が廃止される。

■昭和39年10月1日■
新幹線開業に伴い、新幹線特急券B、C文字入A型券が登場。

ひかり号にはB表示、こだま号にはC表示がなされる。このBC表示は一年間の限定使用となります。


■昭和40年6月1日■
東京駅のみ赤線横一条引の10円入場券が、無地の赤字印刷入場券となる。

赤字印刷の初日入場券。国鉄史上初の通常配備赤線無し赤字入場券。

■昭和41年3月4日■
入場券から特例を除いて赤線横一条引が本日を最後に消える。10円入場券最終日となる。

最終日の赤線引10円入場券、天理駅、原町駅、嵯峨駅。中央の原町駅(篠栗線、券番0081)は珍しくA券で最終日を迎える。
嵯峨駅は平成6年9月4日、嵯峨嵐山駅に改称。

■昭和41年3月5日■
赤線横一条引の10円入場券が4日限りで終了し、翌5日から無地の20円入場券となる。
一部の駅では料金変更印や無修正10円券を20円で販売。
初期の頃は余剰赤線の流用券として赤線20円入場券が一部の駅で流通する。


次の六箇所の印刷場管内の各駅等にて希少な20円赤線入場券が限定発行されています。
東京印刷場では平版での赤線刷り帳付け台紙の印刷調整を行い、
使い切ると同時に定形での赤と墨の二色刷り活版に切り換えた為、赤線台紙の余剰は無かったようです。
駅=自は自動券売機券を表しています。
駅=両は自動券売機券と窓口券を表しています。

 謎の久大本線田主丸駅赤線20円券 



■札幌印刷場
留萌本線(留萌駅)、宗谷本線(風連駅・和寒駅)、石北本線(丸瀬布駅・遠軽駅・相ノ内駅・北見駅=両・美幌駅)、
釧網本線(網走駅・斜里駅・弟子屈駅)、根室本線(根室駅・茶内駅・釧路駅=自・白糠駅・豊頃駅・池田駅・帯広駅・芽室駅・新得駅
島ノ下駅・上芦別駅・芦別駅・赤平駅)、広尾線(更別駅・広尾駅)、日高本線(様似駅・西様似駅・浦河駅・新冠駅・厚賀駅)、
富内線(振内駅・富内駅・穂別駅・豊田駅)、室蘭本線(栗山駅・追分駅・苫小牧駅・竹浦駅・登別駅・東室蘭駅・室蘭駅・
伊達紋別駅)、夕張線(沼ノ沢駅・清水沢駅)、岩内線(岩内駅)、胆振線(新大滝駅)、函館本線(旭川駅=自・納内駅・滝川駅・砂川駅・
茶志内駅・岩見沢駅・豊幌駅・苗穂駅・琴似駅・小樽築港駅・南小樽駅・塩谷駅・小沢駅・狩太駅・蘭越駅・黒岩駅・八雲駅・
掛澗駅・大沼公園駅・大沼駅)、 江差線(木古内駅・湯ノ岱駅)、松前線(松前駅)等。

札幌印刷場の自動券売機は通常地肌の券ですが、窓口取扱いでは北海道特有の雪の様な白い地肌の硬券が使われていました。

■仙台印刷場
大畑線(川代駅・田名部駅)、大湊線(大湊駅・近川駅)、八戸線(八戸駅・陸奥湊駅・種市駅・陸中夏井駅)、花輪線(大滝温泉駅・
八幡平駅)、山田線(大志田駅・浅岸駅・区界駅・箱石駅・蟇目駅・宮古駅=自・豊間根駅・鵜住居駅)、釜石線(矢沢駅)、
大船渡線(陸中松川駅・摺沢駅)、北上線(黒沢駅・陸中大石駅・江釣子駅)、陸羽東線(堺田駅・川渡駅・池月駅・陸前古川駅)

仙山線(熊ケ根駅・奥新川駅・高瀬駅)、奥羽本線(赤岩駅・笹木野駅)、東北本線(小川原駅・三沢駅・北高岩駅・小鳥谷駅・小繋駅・
好摩駅・盛岡駅=両・花巻駅・北上駅・一ノ関駅=両
・塩釜駅・岩切駅・仙台駅=自・松川駅)、石巻線(石巻駅・陸前稲井駅)、
仙石線(陸前高砂駅・松島海岸駅・下馬駅・宮城野原駅)、磐越東線(舞木駅・磐城常葉駅)、磐越西線(喜久田駅・安子ヶ島駅)、
会津線=只見線(会津若松駅・会津本郷駅・塔寺駅・会津川口駅)、会津線(上三寄駅・弥五島駅)等。

仙台印刷場の硬券では裏面4桁の券番には大きな数字が付記されています。これは循環符号で1万単位の組番号を表しています。

■新潟印刷場
羽越本線(秋田駅=自・新津駅=自)、信越本線(東三条駅=自・柏崎駅=自・直江津駅・高田駅=自・新井駅=自)、八高線(明覚駅)等。

■名古屋印刷場
中央西線(千種駅)、高山線(飛騨一ノ宮駅)、東
海道本線(蒲郡駅)、小浜線(東小浜駅)等。

■高松印刷場
高徳本線(高松駅=自・栗林駅・三本松駅・板東駅)、徳島本線(徳島駅=自・府中駅・阿波山川駅
・江口駅・辻駅)、牟岐線(牟岐駅)、
土讃本線(
琴平駅・祖谷口駅・小歩危駅・大田口駅・大杉駅・安和駅)等。

■門司印刷場
鹿児島本線(小倉駅)、筑豊本線(桂川駅)、勝田線(上亀山駅)、筑肥線(鹿家駅)、長崎本線(肥前白石駅)、佐世保線(永尾駅)

久大本線(南由布駅・庄内駅)、日豊本線(日向長井駅・南宮崎駅・田野駅)、日南線(青島駅・串間駅)、志布志線(岩川駅)、
古江線=大隈線(鹿屋駅)、肥薩線(大隈横川駅・霧島西口駅)等。
20円赤線入場券の有名コレクターでいらっしゃる永田博昭氏、中島英明氏よりの情報を参照の元に編集追加、修正削除をさせて頂きました。
20円赤線入場券情報更新(永田氏監修)/2007.6.23
20円赤線入場券情報更新(中島氏監修)/2006.6.30

20円赤線入場券の関連情報は 北海道20円赤線入場券販売状況 のページにてご覧になれます。

実券未確認ながら、運輸情報センター「鉄道入場券図鑑」昭和56年10月25日初版発行には、
上記記載に加え以下の発行駅の記載が有りますので追記致します。
■札幌印刷場
宗谷本線(永山駅)・天北線(浅茅野駅)・羽幌線(羽幌駅)・留萌線(増毛駅)・富良野線(富良野駅)・池北線(陸別駅)
■仙台印刷場
陸羽東線(鳴子駅)・東北本線(品井沼駅)
■高松印刷場
徳島線(小島駅)・土讃線(善通寺駅)




■昭和44年5月10日■
等級制が廃止される。


■昭和62年4月1日■
民営分割、券面に「JR」の地紋が付く。
一部の入場券に、「JR」の地紋が付く。(赤券とも言われている)

乗車券と同じ地紋付きの入場券。平成元年の後半頃には無地紋券に戻る。




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