オープンスチームランチ「アンナ」の製作


今度はランチを

 一昨年の模型タグボート「ガーノック」の製作ですっかり模型船作りにはまり込み、今度はオープンランチを作ってみようと、ドイツのクリック社の「アンナ」のキットを買い込みました。
 大きさは縮尺1:10全長61センチです。

船体の組み立て

 「アンナ」のキットは、さすがドイツ製という感じで、ABS樹脂製の船体はきれいに成型されており、合板製のパーツも精確にレーザーカットされています。それだけに各パーツ間には一分の隙も無く、場所によっては組み立てに苦労します。とくに大変だったのは、説明書にも断ってありますが、船体への甲板のはめ込みでした。
 甲板と床板を張ったところで、次はスクリューシャフトの取り付けなのですが、その位置は使うスチームエンジンとのつながりを考慮しなければならないので、船体作りはここで休止し、エンジン製作に取りかかることにしました。

スチームエンジンの製作

 「アンナ」の指定エンジンはチェダーモデルズのピピットかピンテールなのですが、どちらも持っていませんし、作りたくても図面がありません。
 そこで、以前にネクサス社のプランサービスから買ってあった2気筒複動の首振りスチームエンジンの図をもとに作ることにしました。
 ところがイギリスのこの図は、ドイツのアンナの図とは大違いで、かなり大雑把な上に、寸法ミスがあったりするので、読み解くのが大変でした。
  図面にのせてあるのは、厚さ6ミリの真鍮角板から切り出したエンジンフレームです。

 追記
 このエンジンの設計図は、リンク集に挙げたMy Hobby Store の Model Engineering Plans → Steam Engines and Steam plant Plans → Victoria Oscillator です。 

スチームエンジンの完成

 スチームエンジンの製作は、構造が簡単な首振り式とは言え、なかなか手こずりました。
 エンジンの大きさは、ボア8ミリ、ストローク12.8ミリです。ストロークの寸法が半端なのは原図がインチ寸法のためです。
 シリンダーは、12ミリ角の真鍮角棒に穴をあけリーマ通しをしたもので、見かけを良くするために、角を落としてあります。角は丸めて蒲鉾形にしたかったのですが、手数がかかるのでやめました。
 ピストンロッドが通る下のシリンダーカバーの穴は、リーマを通して仕上げてあるだけですが、蒸気は漏れません。
 
 2気筒スチームエンジンの利点は、自己起動と逆転が出来ることです(「首振りスチームエンジンのしくみ」の頁参照)。

 ピストンとシリンダーとの気密性のために、初めてグラファイトヤーンを使いました。しかし、どの程度の固さで詰めればよいのかがわからず、試行錯誤を繰り返しました。

注 グラファイトヤーンについては「お答えと参考資料の画像」のページをご覧ください。

 追記
 グラファイトヤーンは、渡辺精一著「ライブスチーム」の「ピストン」の項にある記述を念頭に置いて巻いてみたのですが、最初はきつすぎてエンジンは回りませんでした。
 その後何台かの首振りエンジンを作ってみて思うのですが、あの本の記述は高い蒸気圧で動くミニSLのエンジン向けのものであって、1気圧そこそこの低圧で回っている簡単な首振りエンジンには当てはまらないようです。
 首振りエンジンのピストンでは、シリンダーへしっくりとはまるように出来さえすればグラファイトヤーンは必要なく、油溝を彫っておくだけで十分ではないかと思います。
 

ボイラーの製作(1)

 ネクサス社の設計図のスチームエンジンと組になっているボイラーは、アルコール焚きの横型なので「アンナ」には合いません。
 そこで、「アンナ」の設計図に描かれているピンテールボイラーの外観図と、チェダーモデルズのカタログの写真とを手がかりに縦型ボイラーを作ることにして、2ミリ厚の銅板からボイラー胴と鏡板用の素材を切り出しました。
 2ミリという厚さは、ミニSLボイラー用にと買ってあったものなのですが、このよう小さくて使用蒸気圧が低いボイラー用としては厚すぎ、1.5ミリの厚さで十分のようです。

ボイラーの製作(2)

  切り出した銅板はガストーチで焼き鈍し、ボイラー胴は自作した曲げロールで丸め、継ぎ目は裏打ち板をリベット止めし、プロパントーチで銀ロウ付けしました。
 鏡板のほうは桜材の型板ではさみ、ナイロンハンマーで叩いてフランジをつけました。

ボイラーの製作(3)

 丸め加工がすんだボイラー胴とフランジをつけた鏡板とを旋盤で仕上げ削りし、胴パイプで炎管と煙管とを作り、燐青銅の棒材からブシュ類を削り出します。そして、そろったパーツを銀ロウ付けしてボイラー本体の出来上がりです。
 銀ロウ付け不良による水漏れもなく、水圧テストも無事パスしました。
 耐熱塗料で塗装し、マホガニー板のラギングを巻き付け、水位計や安全弁、圧力計(これだけは既製品)を取り付けて完成です。
 次はガスバーナーの製作ですが、これが難物でした。

ボイラー用ガスバーナーの製作

 出来上がったボイラーはガス焚きですので、ガスバーナーを自作しました。
 参考にする図面などは全くないので、チェダーモデルズ製の丸形セラミックバーナーの構造を真似て作りました。
 しかし、ガスという燃料は扱いが大変なうえに、バーナーも構造が簡単な割にはかなりのノウハウが必要らしく、なんとか実用になるバーナーが出来るまでにはいろいろと苦労しました。
 ガスマントルにはホームセンターなどで売られているセラミックボードを利用しました。

チェダーモデルのガスバーナー用セラミック

 イギリスのポリーモデルエンジニアリング(リンク集参照)のインターネットカタログを眺めていたら、チェダーモデルのガスバーナーに使われているセラミックガスマントルがあるのを見つけました。名前は Ceramic Plaque for Burners というものです。
 え?プラークって歯垢じゃないの?と辞書をひくと飾り板とか記念銘板などの意味もあるようです。
 さっそく注文して届いたのがこれで、横においてあるのは使い残りのセラミックボードです。
 今までに作ったガスバーナーのセラミックボードをこのプラークに交換してみようと思っています。

 ここで参考までに、どうやってイギリスから取り寄せたかについてお話します。
 インターネットカタログの終わりのほうにあるオーダーフォームをプリントアウトし、それに品目・数量・価格を記入します。カタログに載っている価格はイギリスのVAT(付加価値税)込みのものですが、そのまま記入しておけば向こうで税抜き価格に直してくれます。荷造り送料は向こうにお任せです。
 支払いはクレジットカード利用が一番簡単で、ポリーモデルはマスター、ビザ、スイッチ、アメックスを取り扱っています。オーダーフォームには記入欄がないので、欄外にカード名、番号、セキュリティコード、有効期限を記入します。
 そして氏名、住所を記入し、航空便用封筒に入れ、110円切手を貼って投函します。航空便はだいたい一週間ほどで届くようです。
 私は今回こんなものを注文しました。

セラミックプラーク  £12.77
銀ロウ(イージーフロ2 太さ1.5ミリ長さ600ミリ 10本組) £18.72
同上用フラックス 250グラム   £ 5.53
圧力計(直径19ミリ 0-6バール) 3個で £56.17
ロックタイト 290 10cc    £ 5.87
ロックタイト 603 10cc    £ 5.87
      計           £104.93
  送料(航空便)      £ 16.00
          総計       £120.93
 
 注文書を送ってから16日目に20センチ角ほどのダンボール箱詰めで届きました。
 銀ロウはホームセンターなどでも売られていますが、私は使い慣れているイージーフロbQが好きなのです。
 なおこのところの円安ポンド高は困ったもので、引き落とされたとき(2007年7月)の為替レートは1ポンド251.6円でした。

動力部の完成

 出来上がったエンジンとボイラーに、置換式給油器と復水器兼オイルトラップとを組み合わせ、共通の台座に載せて動力部が出来上がりました。
 ところが、これを船体へ搭載すると、奥まった手の届きにくいところになってしまうガスバーナーへの点火方法をどうするかという問題が生じました。
 そこで、安価なガスライターから取り出した圧電素子を利用することにしましたが、高圧電流は大変漏れやすく思わぬところで火花が飛んでしまったり、絶縁物には高温に耐えるものが必要であるなど、何かと大変でした。

注 圧電素子による点火装置につきましては「パッフインボイラーの製作」のページもご覧ください。

めでたく進水

 この船は、構造が簡単なオープンランチなうえに、スケールモデルでもないので細かい艤装品もなく、船体の製作は、ラジコン装置の組込み以外、さほど手はかかりませんでした。
 しかし、オープンランチはそのまま浮かばせたのでは主無しで漂流しているみたいに見えますから、フィギュアを乗せることにしました。
 本当はシックな中年の紳士淑女のペアにしたかったのですが、ちょうどよいサイズのものが見つからず、セサミストリートのバートとアーニーという、爆笑問題を思わせる、とぼけた二人組になってしまいました(^^;)。
 なお、「アンナ」の大きさは全長610mm,全幅255mm,総排水量3.74kg(フィギュアを含む)です。
 さて、船のキットはあと3艘あるのですが、次は一気に大物のタグボート「イマーラ」にしようかなと思案中です。

スクリューを取り替えてみました

 その後何回か「アンナ」を走らせてみたのですが、どうも進みかたが遅すぎるようです。エンジンは快調に回っているので、スクリューが原因ではないかという気がしてきました。
 使っているのは写真右の、キットに入っていた直径40ミリのプラスチック製のものなのですが、少し大きいものをと写真左の直径45ミリの真鍮製のものを買ってみました。
 こちらは直径だけでなくピッチもずっと大きいので、さっそく交換して走らせてみましたが、効果は抜群、以前の倍ぐらいの速さで進みます。その快走ぶりをご覧いただこうとデジカメを構えたところ、ヘマなことに電池切れでした。

 なお、スクリューはイギリスのウエストボーンモデルセンター(リンク集参照)のインターネットカタログで見て注文したのですが、届いたのはオランダの Rivabo というメーカーの製品でした。

スクリュー交換の効き目

  今回はデジカメの電池切れなどというヘマをしないように、充電したての電池を詰めて沼へやって来ました。
 しかしコンパクトデジカメというカメラは、明るい屋外では液晶モニタがさっぱり見えず、シャッターが切れたという手応えも微かで、実に使いにくいということを改めてつくづく感じました。一眼レフタイプのデジカメが欲しいところですが、高いんだよなぁ・・・

 追記
 その後とうとう一眼レフのデジカメを買ってしまいました。
 ファインダーの見え方、シャッターの感触、やはりカメラはこうじゃなくっちゃねぇ。
 しかし、いい値段するんだからファインダーの視野率は100%にしてほしかったなぁ。


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