臨場感
音楽鑑賞時は部屋を暗くします。明るい状態だと、脳がコンサートホール環境に入るのを拒否します。同じ音が出ていても、感性が驚くほど異なります。
3次元音場が再生されると、
目の前にコーンサートホールの空間が出現します。メインスピーカーの間隔一杯にオーケストラの楽器音像が展開し、さらに奥深いステージ上に配置された楽器群の奥行きが、はっきりと感じ取れます。
ナマ演奏では楽器の響きが、空間に飛び散っているのがわかりますが、HSSで再現した3D音場は、この感覚を見事に再現してくれます。これまでに世の中に登場した再生システムの中で、この感覚が再現できるのは唯一HSSのみです。まさに実像出現です。
オーケストラ以外の楽器演奏では、収録した録音状況に応じて、実に鮮明な音像が出現します。不自然な残響が付加されることはありません。HSSによる3D音場は残響を付けて響きをよくすると言う理屈ではなく、収録時の環境を再現する働きをしています。残響の程度は、収録された残響の程度に従います。
標準ステレオは、現実のリスニング空間と、スピーカーの後ろに出来る仮想演奏空間とをつなぎ合わせて、つまり二つの異次元の空間を組み合わせて聴いているため、いかに機器のクォリティをあげようと、自然には聴こえません。HSSで聴いてみると標準ステレオがいかに不自然な再生方式であるかがわかります。
5.1チャンネル再生は、標準ステレオに比べればまだマシですが、前方空間での音場再生が不十分で実像再生には至りません。HSSで5.1チャンネルをはるかに凌ぐ空間表現が出来ることが証明された現在、5.1チャンネルは、ピュアオーディオにとっては無用の長物といえましょう。今後はAV世界でのサラウンド再生に
活路を求めることになるでしょう。
いや、サラウンド再生用の方式を、安易にピュアオーディオの世界に持ち込んだだけですから、「元に戻す」と言った方が正しいです。
低音再生
スーパーステレオでは低音がよく出ます。しかも質感が自然です。言葉だけで伝えることは、なかなか難しいことですが、標準ステレオで聴こえてくる低音とは本質的に質感が異なります。実際の演奏会を聴きに行かれる方は感じておられると思いますが、通常のステレオ再生で最も異質に思えるのは低音の質感です。実演ではド〜ンと弾力性が感じられる低音が、標準ステレオ再生では、圧迫されたような硬い音に聴こえます。スーパーステレオでは、実演さながらに弾力性が感じられます。
弦の低音もさることながら、ティンパニーが一発鳴り響いただけで、標準ステレオとは別世界の音であることを悟ります。これこそ実演の音だと膝を叩くことになります。
さらに低音の雄パイプオルガンに関しては、後述の試聴記のように、標準ステレオでは逆立ちしても叶わないほどの圧倒的な違いがあります。
ダイナミックレンジ
3D音場再生の効果はさらにあります。pppの再生です。標準ステレオではpppは色褪せて力を失い、演奏の興をそぎますが、スーパーステレオでのpppは力を失うことなく息づいています。どんなに小さな音でもはっきりと聴き取ることができ、あの演奏会場での息を飲み込むような静寂の緊張感を再現することが出来ます。
またfffも圧倒的です。あまり音量を上げていなくても、圧倒的な音量感を得ることができます。これは、音が1方向からだけ聞こえてきた場合と、周囲をぐるりと囲まれた状態で聞こえてきた場合とでは、単なる音圧ではなく、生理的、心理的に感じる度合いが大きく違うからだと思います。標準ステレオのfffがいかに現実の音とかけ離れ、うるさく感じるかを思い知らされます。
このようにスパーステレオは動的な聴感上のダイナミックレンジを向上させ、生の演奏に近い感触が得られます。
立体音像
3D音場が再生されると、立体音像が再生されると述べてきました。立体音像再生の意義についてもう少し述べさせていただきます。
聴覚は全方向性ではありますが、意識することによって特定の音のみを選別的に聞き分ける能力を持っています。この能力は音色と方向を識別することによって可能なのだと思います。
たとえば、大勢が勝手に雑談をしているときでも、特定の人物の発言を注力して聞けば、その内容を把握できますが、これをモノラル録音したもので聞くと、雑音に埋もれた形になり、聞き分けることが極めて困難です。これはテレビのバラエティショー等でも時々体験します。数名の人間が一度に発言すると何を言っているのかわかりませんが、現場に居る人間はそれぞれの発言を聞き分けているのだと思います。
音源の識別能力は音像の定位がクリアだとより鋭くなります。定位とは単なる方向判断ではなく、距離判断が加わるとより明確になります。スーパーステレオでは、立体音像が現れるので、この距離判断が可能です。
音楽の聴取時も同じことが言えます。無意識のうちに音源を求めて聴いています。大規模の管弦楽曲を聴く場合でも、だんご状になった音群と、
個々の音像がはっきりする音群を聴いた場合とでは、心理的なインパクトが全然違います。
室内楽曲の場合は楽器の数が少ないので、標準ステレオで聴いても、定位判断は出来ますが、この場合、方向情報だけに頼るため、無意識のうちに脳が働いて、立体情報に置き換えようとしています。これが不自然さを生み、聴いていて疲れる感じがします。
立体音像を聴くと言うことは、人間の本性である音源探知能力を満足させることで、心理的な安心感が得られるのだと思います。標準ステレオに対し、立体音像を聴くと、深い音楽的感動が味わえるのは、それが人間の生理に叶った聴き方であるからだと思います。
聴感満足度
再生音楽はこの程度の品質であって欲しいと思う尺度を100%とすると、HSSでの満足度は97%前後でしょう。つまり、これまでの再生方式に比べぶっちぎりで、満足感が得られます。良質なソース
が続々と出るのを期待するのみです。
一部のマニアの中には、生演奏の音とは何だ?生演奏だって、席によって全然音が違うではないか!ましてや、ディスクに入っている生の音などわかりゃしないんだから、生演奏の再現なんて論外だ!生演奏の再現なんてナンセンスだ!と論陣を張られる方がいます。
それは、その通りでしょう。
しかし、自然な音か、不自然な音かは一聴して判断できます。再生音楽を楽しむ立場としては、生演奏の再現でなくても、そこに再生される音が自然に聞こえ、音楽的
の深い感動が味わえれば良いわけです。機械のことを忘れて演奏を堪能できれば良いわけです。それ以上を望むのは酷というものでしょう。その意味で、標準ステレオとスーパーステレオでは、明確な音の差があると言えます。
上記のような論陣を張られると“空しい言い訳”としか受け取れません。
立体音像が再生されたとき、そこに自然な音楽の流れが聴こえてきます。