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元気の出る館 > 神秘的なサイエンス > 爆薬と心臓の話 パワ−スト−ンショップ
 ニトログリセリンは狭心症の特効薬ですが、これはもともと有名なダイナマイトの原料なのです。実は、火薬工場の従業 員が休み明けの月曜日になると頭痛がしたり、休暇を取ると心筋梗塞など血管が収縮する病気になることから、ニトログリセリンには、逆に血 管を拡げる作用があるのではないかと古くからいわれていました。ニトログリセンリンは、この特性からやがて狭心症の特効薬になるわけですが、そうなるまでには長い議 論がありました。1853年にはすでにアメリカのヘリングという研究者がニトログリセリンの舌下錠を作っていたのですが、これが臨床的に 認められるようになるには、さらに20年くらいかかっているのです。これは、投薬の方法が問題だったわけで、ニトログリセリンは飲んでし まうとまったく効果がないのです。当時薬効を試していたグループは飲み薬としての発想しかなく、当然ニトログリセリンは効果がないと 主張していました。ところがイギリスの医師ウィリアム・ミユーレルが、舌下の粘膜から吸収させるようにす ると劇的な効果を得られることを発見し、その研究成果を「ランセット」という有名な雑誌に載せたことで、ニトログリセリンの効果が広く認 められるようになってきたのです。いまではあまりにもポピュラーなニトログリセリンの舌下錠というのは、こんな経緯ででき上ったのです。医学では、こんなふうに薬が効く、効かないという結論がでるまでに、20〜30年とかかることが結構多いのです。これも薬というものが、投 与の仕方ひとつ薬効がまるで違ってくるというデリケートなものだからでしょう。ニトログリセリンは人工的に作られたものですが、最近、人間の血管の内側からそれに似た構造の体内ニトロともいうような一酸化窒素が分泌され、強力に血管を拡げる作用のあることがわかってきました。血管の中で血栓ができると体内ニトロが分泌され、血管を拡げて、血液の流れを保とうとするわけです。さらに心臓の筋肉からも同じょうな物質が分泌されていることが判明し、ますます注目を洛びるようになってきました。爆弾の原料が人間のからだに作用して発症を抑える、というのは実に不思議な気がしますが、ケシから取れるモルフィネが脳の中でも同じように分泌されていることを考えると、人間のからだに有益に作用する物質や、いわゆる特効薬となるものが、まだまだ自然界に存在しているのではないかと想像してしまいます。 メインイメージ
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