従業員の大量解雇を断行すれば、株価の急騰が期待できる。そしてそれは企業のトップにとって全員ではないにせよ、高い報酬が得られることを意味する。この例が物語るようにニュー・エコノミーは、大部分が一時的な流行で成り立っている。人員削減に人気が集まることがその象徴である。 これまでも、大企業が何千人という従業員の解雇を発表すると、その企業の株価が急騰した。だがその後の業績は惨憺たる結果に終わるケ−スがおおかった。それでもなお、最高責任者が困ることはない。彼らはたいていの場合、大量の自社株を持っている。たとえ自分の会社を一部、経営破綻させたとしても、その前に持ち株を売却してリッチになれる。市場を最良の審判者として仰ぐビジネス環境が登場してきた、と言えるだろう。賃金の引下げ時期や解雇すべき従業員数までも、市場が決定すべきだと信じられている。特に重要なことは、他の企業の例に見習わなければ、生存競争に勝つことが不可能であるという風潮である。このようなビジネス環境では、企業が従業員教育を伴う基礎研究などのような公共利益につながる事業に投資することなど、市場のいくつもの要因が許すはずもないことは容易に想像がつくだろう。こうして、グローバリゼーションが生み出す混乱と矛盾は、次第に現実の変化とともに大きな対立と分裂の様相を現し始めている。
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