会誌に掲載された俳句
平成14年11月より原生林に投句
平成16年4月より地熱集に投句


平成二十年
踏生集


 岐阜の徳山ダム


巨大ダム村人追われ山緑


梅の雨ダム満水に半世紀


時移りダムは無用に梅雨曇


ダム底に田畑沈みて青田風


水清く人住まぬダム岩魚釣り


 草笛


あやめぐさ今も手刈りの重労働


山帽子昔の上司部下となり


雉つがい河川ゴルフのラフ深し


目線より高きすかんぽ空の青


草笛を作るいとまの釣り日和


平成二十年 地熱集


青田風乙女のほぐす髪豊か


ひたい付けおうなの会話青田道


母の忌を数え忘れて豆ご飯


夜泣きする赤子懐かしさくらんぼ


秒針の音の彼方や遠蛙


君の手の温もり肩に枸杞の花



榊の花

庭の浜木綿
平成一九年 地熱集


大門の清めの水や涼しかり


麨 の話題の尽きて回忌終う


望郷や指を広げて青みどろ


足そらす常磐木落葉君の影


大櫓吉野ケ里の立葵


榊咲くただそれだけの花なりき


割箸に替えて冷麦メール開け


些事多し飛ばす草矢の風任せ

平成一九年 原生林

  
 うぶすな
水槽に産土入れて敗戦日


コーヒーの花蜜売る児でいご咲く


なんばんの花の一畝庭木ごと


実を付けぬ夏桑の畑少子化に


灰色の空の広がり木槿咲く


船頭の語る人生花あやめ


縄文の黄帷子まといて古墳守


草いきれ商館跡の一石柱


殉教者皆教会に薊咲く


涙してジャガタラ文や走梅雨


クロンボー城(デンマーク)
ハムレットの舞台と言う

ベルゲン(ノルウエー)
その昔、ハンザ商人の街、幸運にも晴天だった
平成一八年 地熱集

真夜中の太陽白し涯の夏


ツンドラに数多のケルン丘うねる


オスロには故郷の香り花卯木


挨拶は通り一遍蝉の穴


岩塩の塊ぺろり花とべら


遠郭公帰心忘るる野の朝餉


採血の下手な看護士けし坊主


添う人は訪問看護あやめ咲く


安穏の一日終わる上り鮎


新じゃがの並ぶ店頭新社長


平成一八年 原生林


森林の北限越えて夏日差し


ツンドラの表土は薄しケルン積む


丈越ゆる帰化の夏草平和な日




耳栓を越ゆる葭切露の宿


睡蓮の先がポイント高望み


小粉團の花は錆色えにしふる


ツンドラの表土は薄しケルン積む


変わらぬやあやめ祭りの無人駅


あっさりと捨てる生き様更衣


短夜や読めぬ悩みのキリル文字



   利根大堰、埼玉県側より
 
  ポーランド、ワルシャワのヴィスワ川
平成一七年 地熱集


母と子の意見の違い天瓜粉


大川の分かつ過疎の地青田風


水音や炎暑忘るる洗堰


押しつけの善意の派遣さるすべり


仕放題気兼ねなき日日榊咲く


通院は独りに限る花菖蒲


「人形の家」になるらん鰻釣り


熱弁にコーヒー冷める桜の実


平成一七年 原生林


もう止そう民族浄化夏日差し


徘徊の人の名連呼大西日


蜩の告げる終章又の生


ひとはひと我が人生の川蜻蛉


青鷺の間合い五十歩妥協無し

ひ と
丕図抱きぽとりと落ちる沙羅の花


満開の紅い薔薇剪る電子音


柏餅知恵なき旅の土産かな



旧王宮の建物、ワルシャワ、ポーランド

ヴァヴェル城、クラコフ、ポーランド
平成一六年
地熱集

養鰻の池の今様蓮の花


夏木立返す言葉のなかりけり


飼犬は主見上ぐる酷暑かな


余所者の訛となりぬ帰省子よ


読み悩む芥川賞梅雨曇


駆け引きのタンゴの踊でいご咲く


梅雨曇着信音はくぐもりぬ


田植着の隠しきれずや若き肌


空木の数多につける桜の実


平成一六年
原生林

骨付きの焼き肉でんと花デイゴ


尊厳を問うは天蓋夏木立


限りある命美し夏揚羽


青田守る農夫は独り無人ヘリ


入れ墨に募る暑さやピザ食らう


お茶の間に数多のEメール五月雲


無冠なる日々の営み榊咲く


万緑や残す言葉のなかりしを




 これは、リンデンバウムと称する洋種菩提樹です。
 初夏に、ヨーロッパ各地で開花が見られ、街路樹に多いため、街中に芳香が漂っています。

 この蜂蜜も珍重され、ねっとりとして美味しいです。

 釈尊が樹下で悟りを開いたと言われる菩提樹は、クワ科の別種です。熱帯以外では生育しません。

平成一五年
原生林


知らぬ児が挨拶返すころもがへ


でいご咲く深紅の誘う旅心


ベネチアの肉厚鰻レモン添う


登美子書くクレオパトラと夜の釣り


懸命に自転車出す子梅雨晴れ間


戦災の炎を知るや立葵


職人の手順は不要鰻焼く


リュック背に終着駅の夏を行く


股上の浅きジーンズ夜の秋


旧友と話の尽きず蚊食鳥


著莪の花香は少し砥石研ぐ


機関車の向こうも若葉空を吸う



炎暑のコロラド
駅馬車が、岩陰から、ひょいと飛び出すことを連想させられる光景

平成一四年

原生林

銅鑼の音泰山木の花咲けり


養殖の鮎のもてなし村の魚簗


川風に肌のほてりや月見草


去年の道なほ残りけり鰻釣り


鞦韆の子等の声枯る暮の夏


泥鰌鍋なお四キロの道遠し


街の灯と鵜篝競う川原席




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