ボルボ購入顛末記
1995年の6月、カーセンサーを読んでは中古車屋へ出向き、安いボルボ240ワゴンを探していました。当時の相場は90年式フル装備で200万を下回るものはほとんどありませんでした。しかし当時の家計では200万を捻出するのは難しかったのです。88年式まで遡ればかなり安いものがありましたが、人気色の赤や紺になるとカーセンサーに載った頃には既に売れてしまっていて、実車を見ることすらできないことが多々ありました。
そんな時、いつものようにカーセンサーをチェックしていると、91年式なのに150万という激安240ワゴンを発見。誤植だろうと良く見ると、それは修復歴車だったのです。いわゆる事故車というやつです。「あ、こらあかんわ」と思って最初は無視していました。
一般的に中古車選びでは「事故車だけは避けろ」といわれます。事故を見分けるためにはあーしろこーしろという話が自動車雑誌によく載っています。しかし、それは事故車と知らずに事故車を掴まされてしまうのが問題なのであり、事故車と知って「安いから買う」というのなら本人が納得しているから問題はないはず。そう考えるとがぜん先の激安240が気になってきました。
以前にも実家の車などで事故車の悲哀を味わっている私は少し躊躇しました。しかし、こんな激安車は下手をするとすぐに売れてしまいます。早速翌日早起きして中古車屋へ見に行きました。すると・・・

このような状況で展示場の片隅にひっそりと置かれていました。値札の他に、きちんと修復箇所についての説明書きがあり、前後フェンダーについて修復した旨記載されていました。バンパーはやや曲がっていて塗装されており、修理したのが見え見え。リアゲートは建て付けが悪くなってる様子で、またウィンドウモールにも凹みがありました。しかし全体的に板金の痕は言われないと判らないほどであり、内装も綺麗でした。これでこの値段は確かに安い、と思えました。
さっそく嫁はんに相談。一緒に店に見に行くことにしました。中古車屋の店員は「うちは信頼が第一ですから」といいながら修復箇所についてきちんと説明してくれました。どうやら前オーナーは、雪道でスリップしてスピンし、前と後ろをドカンドカンとぶつけたようです。走行距離は58,000km、エンジンルームはまぁまぁ綺麗でエンジンの吹けにも問題はなさそうでした。
一通り説明を聞き、やはりこれは大変お買得だということが解り、あれほど「赤でないと嫌」と言っていた嫁はんもグラグラッと来てる様子でした。「他からも引き合いがありますから決めるならお早めに」という誘いにグッとこらえ、一晩じっくり考えることにしました。なにしろ当時はワゴンRを売る気は全くなかったし、何も不自由してなかったからです。買い急ぐ必要はありません。
帰ってから当座の資金繰りおよび維持費について綿密に試算してみました。ガソリン代、高速代、車検費用その他駐車場を含め、果たして本当に維持できるのか?延々とシミュレーションした結果、「なんとかなる」という結論になりました。そして、「いざとなればどっちかを売ればいいのだから気楽に考えよう」ということになりました。
気楽とは言っても、今まで軽自動車しか買ったことのない私がいきなり「3ナンバーの外車」を購入するのは非常に勇気のいることでした。まさに清水の舞台から飛び降りる(略してキヨブタ)心境。いざ仮押さえの電話を掛けるにあたって、緊張してオロオロしてしまいました(もともと電話を掛けるのは苦手)。
そして7月、つい納車(といってもディーラーに引き取りに行く)の日が来ました。駐車場が自宅からかなり離れた所にしか見つからず、ワゴンRを遠くに置いて、アパートの駐車場にボルボを置くことにしました。帰りはそれぞれを運転して帰ることになります。土地勘がない嫁はんは、マニュアルシフトのワゴンRを運転するのを渋りましたが、いざ実車のボルボを見てその大きさに圧倒され、結局私がボルボを初めて運転することになりました。
各部の説明を受け、いよいよキーを渡されて、エンジンを掛けます・・・??掛からない。セルの音がむなしく響くだけで一向にエンジンは動きません。これはおかしいということでメカニックが出てきてほどなく燃料ポンプのヒューズ接触不良と判明しました。「外車は電気系が弱いから、スペアヒューズを買っておいた方がいいですよ」ということでした。
気を取り直してもう一度。今度は一発始動です。さぁ出ようかと思いシフトレバーをPからRへ・・・??動かない。ボタンもしっかり押し込んでいるのに、ロックが引っかかっているようでレバーが動きません。シフトゲートの中のシフトロックリリースレバーを解除しないと動かせません。いちいちそんなものを操作するわけにはいきません。エンジンを掛け直しても駄目で、またしてもメカニックのお世話になります。3人がかりであーでもないこーでもないとやっているのに解決する気配なし。とうとう店の中で待つはめになってしまいました。
結局30分ほどまって、ようやくわかったとのこと。原因はなんとまたヒューズ切れ。メカのトラブルではなく、シフトロックリリースのソレノイド用のヒューズ(そんなものがあるとは!)が切れていたのです。これは、その前にリアゲートからぶら下がっていたハイマウントストップランプを外した際に、その配線を放置していたためにそこがショートし、回路を共有しているシフトロックリリースソレノイドが働かなくなったと言うわけです。まぁ原因がわかったからいいものの、さすがに事故車だけあってのっけから不安なことです。メカニックも、ボルボ専門ではないのでなかなかわからなかったということです。
おそるおそる走り出しましたが、ワゴンRとのあまりの感覚の違いに驚き(当たり前)、ウィンカーのレバーを間違えないように気を使いながらもなんとか家にたどり着きました。ついに自宅の駐車場にボルボが停まりました。その何とも言えないクラシカルなサイドビューを眺めながら、嫁はん共々「ええもん買うたなぁ」と悦に入っていました。
その時はまさかリアゲートがあんなことになっていようとは・・・
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T.Sueishi Last updated 1997.01.15