| INDEXページ(目次) | 小説創作広場 | 小説の書き方基本編 | 『文藝激烈伝』Vol-2 |
| 小説筋トレ | 時代・自分とはかけ離れた主人公 |
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| 創作小説 | ホラー小説夏の海・純文学作品『鍵』・Theサスペンス小屋に舞う白い雪 |
| 投稿小説 | 『予報』 著 エドワード佐野 氏 |
| エッセイ | 腐った文藝界に頼るな |
自転車に乗った少年が、土埃の舞う道をかなりの勢いで走って来る。人の迷惑など考えもしないようで、力の限りにべダルを踏むのが分かる。それは彼の視線にも表れていて、自分の進む方向ばかりを見ているようだった。
年の頃は十二、三だろう、息子と同じぐらいに思えた。 不思議な気もする、日曜日の早朝、場末の飲み屋街で少年はどんな目的があり急いでいるのだろう。
右手を広げ、少年の進むべき道をふさぐ。
「こんな時間にどこに行く?」
そう聞くつもりだった。なのに少年は答を返すことなく、まるで風のように私の広げた腕をすり抜けて行った。
振り返ると少年は、自転車から降りて父親らしき人物と手をつないでいた。三十歳を超えたばかりに見える男性は、頑丈そうなブーツを履き、くたびれた軍服を着ている。少年を見る目つきに優しさを感じる。
東の空から太陽が顔を出した。明るさを取り戻そうと、くすんだ街に光があったる。バラックともいえる木造の建物が、いまはやけに綺麗に感じてしまう。
夜ともなれば妖しげに光る街がもつ、もうひとつの顔を見た。私は配給を受けたばかりのピースを胸ポケットから取り出し口にくわえ、ズボンのポケットに手を入れてマッチを探した。
歩を大通りに向けて進める。アメリカ軍の落とした新型爆弾が作り出した閃光と、猛烈な爆風に耐えた建物の横を過ぎる。崩れかけた屋根が今にも落ちてきそうなのに、その建物の軒先には、店仕舞をした数台の屋台が並んでいる。
酔い覚ましに一杯引っ掛けるか。馬鹿なことを考える、この時間に客を呼ぶ店などありはしない。
焼け焦げた街並に人影が戻る事はないだろう。多くの人にそう言われて既に半年が過ぎた。街に活気が戻る、あと数時間も経てば。
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