月経前症候群(PMS)

《INDEX》
●東洋医学的な”月経前症候群(PMS)”とは・・・
”月経前症候群(PMS:premenstrual syndromeの略)”いうのは、”月経周期の黄体期に繰り返し出現し、種々な身体的、精神的あるいは行動的症侯により、対人関係日常生活障害されるもの”と定義されています。月経前2週間以内周期的に発症して、月経開始後まもなく消失するのが特徴で、下腹部痛、肩こり、頭痛、下痢、めまい、浮腫胸の張り、それから,、精神的なものでは、イライラ、憂鬱感、集中力の減退なとの症状などが起きます。女性の93%はこれらの症状を訴えているといわれています。より精神的な症状が強く日常生活が困難に状況になる場合は、”月経前不機嫌性障害(PMDD)”と言われ、おおよそ5〜8%の女性が、このPMDDと言われています。

【精神的な症状】
イライラ、憂鬱、怒りやすい、集中力低下、不安、疲労感、不眠、傾眠

【身体的な症状】
@疼痛・・・下腹痛、腰痛、頭痛
A乳房症状・・・乳房緊満感、乳房痛、乳頭過敏
B消化器症状・・・腹部膨満感、便秘、下痢、食欲不振、嘔気
C皮膚粘膜症状・・・喘息などの悪化、結膜炎、肌荒れ、かぶれ、にきび、蕁麻疹
Dその他の症状・・・めまい、体重増加、顔面四肢浮腫、尿量減少など

PMSの原因については、卵胞期黄体期ホルモン環境の変化といわれています、つまり、卵胞期はエストロゲン(卵胞ホルモン)が優位であり、黄体期はプロゲステロン(黄体ホルモン)がであるために、このホルモンの分泌異常が、上記の様々な症状を引き起こしていると考えれれています。

ただ、最近の研究では、PMSの方の血中のプロゲステロンエストロゲンの濃度は正常のことが多く、単にホルモンの異常ということでは説明ができないことが分かってきました。。もちろん、黄体期に症状が出現するわけですから、ホルモン分泌が関与していることは確かなようです。

病院の治療方法は、対症療法、ホルモン療法、ビタミン剤、向精神薬などの薬物療法が中心に行われているようです。原因がはっきりしないために、これといった決定的な治療方法は見つかっていないのが現状のようです。

【自分がPMSかどうか見極めるポイント】
@同じ体調の変化周期的に現れる。
A変化の現れる時期は、生理前の2週間の間。
B日常生活にある程度影響するくらい体調の変化が重い

東洋医学には、このPMSに該当する言葉は”経事不調”というのがあります。月経前後体調不良を言いますが、それぞれの症状に対して、”経行情志異常””経行頭痛””経行泄瀉””経行風疹塊””経行浮腫””経行乳脹””経行眩暈”などと表現しています。では、どんなタイプがあるか見ていきましょう。

肝気鬱結 精神症状 肝の疏泄機能が失調して起こる症状。長期にわたって気分が塞いだり、過度のストレスなどによって、肝気が鬱滞して気の流れが悪くなることによって引き起こされます。また、陰血が不足することによって肝が栄養されずに、機能低下が原因で肝気が鬱滞することによって引き起こされる場合もあります。
疼痛症状
乳房症状
肝腎陰虚 七情(怒・喜・悲・憂・恐・驚・思)の乱れ、長期にわたる病気などによって、精血不足が原因で引き起こさる症状。腎陰虚から肝に波及する場合、肝陰虚から腎に波及する場合、それから肝腎の陰液が同時に損傷される場合があります。
消化器症状
乳房症状
皮膚粘膜症状
その他症状
脾腎陽虚 消化器症状 虚弱体質、過労や長期にわたる病気によって、脾腎の機能が低下したために引き起こされる症状。また、生ものや冷たいものを過食したり、腹部を冷やすとことによって、腎気と脾気の機能が低下し、運化(栄養や水分を運ぶ機能)失調、水分代謝機能低下することでも起こります。
その他の症状
瘀血 疼痛症状 血液循環が緩慢になったり、停滞が起きる症状ですが、原因は様々。
@寒邪が体内を侵すことによって、血液の循環を妨げる。
A熱邪が血液を粘稠にする。
B痰濁(余分な水分が病理物質に変化したもの)が、血液の循環を妨げる。
C気虚や気滞によって、血液循環が低下。
瘀血は、全身どこにてでも起こります。血行不順になりますから、その部分の栄養不良、痛み、腫塊などの引き起こします。
精神症状
皮膚粘膜症状
気血両虚 精神症状 長期にわたる病気、長期の出血、虚弱体質、あるいは過労によって引き起こされる症状。気虚により、推動(血液や体液を体の隅々なで送り出す機能)・固摂(体液を漏出するのを防ぐ機能)・気化(血や栄養分を作り出す機能)機能が低下、あるいは血虚により、気が養えなかったり、体の隅々なで栄養することができなくなることによって、様々な症状が引き起こされます。
疼痛症状
消化器症状
その他症状
胃熱 消化器症状 日常的に辛いもの、味の濃いものを多食することによる場合、熱邪が胃を犯す場合、あるいは七情の失調により肝気が欝滞し、それが火熱して胃を犯すことによって起こる症状。
皮膚粘膜症状

●月経前症候群のタイプ別特徴・・・
肝気鬱結 精神的な抑鬱、よく溜息をつく、イライラ、怒り易い、胸部の苦悶、月経不順、月経痛、経血暗赤色・レバー状塊、乳腐の脹痛、胸脇部の脹痛、下腹部の脹痛、咽頭部の閉塞感(梅核気) 、
肝腎陰虚 腰や膝の重だるさ、目の乾き、顔・手足がほてる、眩暈、喉の渇き、口の乾燥、耳鳴り、不眠、多夢、寝汗、経量少、不正出血、便秘、乳房脹痛
脾腎陽虚 腰や膝の重だるさ、下痢(月経時になると下痢する)もしくは泥状便、腹部脹満、浮腫(顔面、眼瞼、下肢) 寒がり、四肢・腹部の冷え、眩暈、耳鳴り 無気力 疲労しやすい 倦怠(特に食後) 経量多、経色淡希薄
瘀血 下腹部痛、胃痛、頭痛、刺すような痛み、固定痛、胸部の苦悶、唇の色が青紫、あざが出来やすい、皮膚のかさつき、月経不順、月経痛、不正出血、経色暗紫色・レバー状の塊、子宮筋腫
気血両虚 眩暈、精神疲労、無力感、息切れ、話すのが億劫、唇や爪の色が淡白、皮膚の乾燥、無闇に汗をかく、動悸、不眠、目の乾き四肢の重だるさ・痙攣、経量少、月経後の下腹痛や頭痛
胃熱 上腹部の灼熱感・不快感、冷たいものを飲みたがる、消穀善飢(食べても食べても空腹感がある)胃液がこみ上げる、口臭、口が乾く、便秘、濃縮尿、月経過多、経色深紅、月経前〜月経時に口内炎ができたり、鼻血、吐血、歯茎血がある

●タイプ別治療方法・・・
肝気鬱結 治療部位 頚部 背腰部 腹部 下腿 前腕
治療方法 【疏肝理気法】
鍼治療は、強めの刺激を与え、鬱滞した気の流れを改善していきます。月経痛が強い場合には、温灸を多用していきます。
肝腎陰虚 治療部位 頚部 背腰部 腹部 下腿 
治療方法 【滋腎平肝法】
鍼治療は、頚部と下腿は、やや強めの刺激を与え、他の部分は軽めの刺激で、陰気を補います。熱症状が強くない場合は、併せて温灸をします。
脾腎陽虚 治療部位 背腰部 腹部 下腿
治療方法 【温補脾腎法】
鍼治療は、やや軽めの刺激で、脾気・腎気の充実をしていきます。また、灸を多用し、冷えの改善を図ります。
瘀血 治療部位 背腰部 腹部 下腿 前腕
治療方法 【活血化瘀法】
鍼治療は、やや強めの刺激で、瘀血を取り除いていきます。また、温灸や棒灸を組み合わせることによって、血液循環の改善を図ります。
気血両虚 治療部位 頭部 背腰部 腹部 下腿
治療方法 【益気補血法】
鍼治療は、軽めの刺激で、気血を補いようにし、併せて灸を多用します。眩暈などがある場合は頭部に刺鍼します。
胃熱 治療部位 背腰部 腹部 下肢 前腕
治療方法 【清胃瀉火法】
鍼治療は、やや強めの刺激で、胃熱を取り除くようにします。熱症状が強い場合には、灸じゃせずに、鍼のみの治療をします。

●治療期間と周期・・・
基本的に黄体期から月経初期にかけて起こる症状ですから、下記の図のように、排卵期から月経前に集中して治療をしていきます。

月経の3周期の治療を1クールとして、概ね3クールで、ほぼ今まであった辛い症状取り除いていきます。

1クール目 最も辛い症状を中心に治療(標治)していきます。余分なものは取り除き、足りないものを即席に補います。
2クール目以降 辛い症状が改善したら、次は体質改善(本治)です。じっくり足りないものを補充し、体をリラックスさせ、体全体の調和を図りますます。

治療の初期段階で、辛い症状は取れますので、最初1クールは、排卵期から週1回間隔で来院してください。その後は、症状や体質に合わせて排卵期から黄体期に1回〜2回程度のペースで来院することで、症状が再発しないような体質に改善してきます。

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