”過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndromeの略)”いうのは、簡単に説明すると”器質的な疾患ではない腸管、特に大腸の機能異常で、副交感神経系の持続的緊張亢進状態によって、腸管の運動亢進、分泌亢進が起こり、腹痛、下痢、粘液便、便秘、腹部膨満などを起こす症状をいいます。以前は過敏性大腸症候群といわれ、大腸に限られた症状と思われていましたが、最近の研究で、腸全体が関わっていることが分かってきたために、”過敏性腸症候群”と言われるようになってきました。
1999年にRomeUといわれる過敏性腸症候群の診断基準が出来て、積極的に研究、治療がなされるようになってきています。
【RomeU診断基準】
@腹痛あるいは腹部不快感が
A12ヶ月の中の連続とは限らない12週間を占め
B下記の2項目以上の特徴を示す
・排便によって軽快する
・排便頻度の変化で始まる
・便状の変化で始まる
IBSの診断をする前には、必ず除外診断をしなければなりません。つまり、重篤な疾患が隠されている場合があるからです。
【主な身体所見】
@発熱
A関節痛
B粘血便
C6ヶ月以内の予期せぬ3s以上の体重減少
D腹部腫瘤触知
E直腸指診による腫瘤の触知・・・など
これらの所見がないことが確認された上で、上記の診断基準に当てはまった場合に、IBSという診断がなされます。さて、IBSにはどのようなタイプがあるのでしょうか。
【便秘型】
腸運動・緊張の亢進による痙攣性の便秘で、便が兎糞状となり、残便感などを伴います。他に、腹痛があり、便意があっても便が出にくいのが特徴です。腸は、内容物を運搬する際に蠕動運動をしますが、この運動が低下するために兎糞状になり、また異常な収縮運動(痙攣性)が起こるために、便意があっても出にくくなってしまうのです。
【下痢型】
しばしば突発する腹痛とと伴に起こり、排便によって症状が消失します。便は粘液便であることが多い。青壮年層に多く、神経性下痢とも言われています。腸の動きが活発で、内容物が急速に運搬する蠕動運動が出現しやすいために、このような便になると言われています。
【下痢便秘交代型】
IBSのうち、便秘と下痢が比較的規則正しく交代して起こる、このタイプが半数いると言われています。2〜5日の便秘の後に下痢を起すパターンが一番多い。それ以外にも、お腹ゴロゴロと頻繁に鳴る、ガスが溜まる、吐き気、嘔吐、、疲労感、頭痛、発汗、動悸などの自律神経失調の症状、不安感や抑鬱感などの精神症状を伴うこともあります。
西洋医学的な治療は、確立されていないのが現状で、自律神経失調症と診断されたり、心療内科などで不安症や鬱病などと診断される場合があるようです。また、環境の変化やストレス、食事によって起こる場合が多いようですから、例えば、刺激の強い食品を避けること、日常生活のストレスを軽減して、規則的な生活を心がけるなどの指導がなされます。
薬物治療では、便の異常に対して止痢薬や緩下剤、あるいは高分子重合のポリフルやコロネル、痛みに対して抗コリン剤(ブスコバンなど)消化管運動を調整するセレキノンなど、下痢症状には乳酸菌製剤(ビオフェルミンなど)ストレスに対して抗うつ薬や抗不安薬などの薬剤を使います。
また、ストレス回避のため方法として、自律訓練などのリラックス法を行うのも有効です。他に絶食療法も効果があるという報告もあります。