「水車って あのおそば屋さんによくある水でクルクルまわるのだよね!?」 若い世代の方にはそう言われることが多くなりました。
最近ではあまり見かけることが少なくなったため、ほとんど水車に縁がない方多いことでしょう。

だからこそ、水車=水で回る伝統工芸品というぐらいで、その構造や用途など意識してみている方はかなり少ないのではないでしょうか。しかし水車に興味を持たれた方、または看板・鑑賞用などで、必要としている方にとってはちょっとした初歩知識は必要ですよね。

そこで、水車の構造と名称を簡単に解説してみます。 水でまわるだけの水車ですが、作り手の職人としてはこだわればキリがない奥深いものなのです。

ですから、ご注文を受け製作していくにあたり、仕様や価格、納期等は依頼者の方の御要望と職人としてのこだわりをきめ細やかに打ち合わせさせていただいています。
 
 水車をまわすのに、どこから水を掛けるかでその呼び名が異なります。

水車に対し水を掛ける位置が上、中、下の順で、うわ掛け、むね掛け、した掛けと呼ばれ、それぞれの特徴があります。
基本的に、水の掛け方は水車の設置される環境で決まるものでした。 その設置場所における水の流れは自然のものであったためです。そのため水の掛け方が先に決まり、あとはその水量と落差で水車をまわす力=動力が得られました。

しかし今日の水車に要求されることは、動力を得るためではなくて鑑賞用や看板としての 見た目 が重視されているため、電動ポンプを使い、水をくみ上げることによって設置場所のいかんに係わらず、水の掛け方を選ぶことができます。 この中でも、水を上から掛ける
上掛け
 が最も少ない水量で水車をまわすことができ、効率がよいと言えます。
くも手・カラミは水車の棒の部分です。 水車は組みあがった状態は丸いのですが、各部品はくも手とくも手の間ごとに分割されています。
そのくも手をつなぎあわせる役目をしているのが、カラミになります。

水車が回転すると遠心力によって外側への力が発生します。その力を受け止めているのが、くも手とカラミの構造体です。このつくりがスカスカだと水車自体が弱くなります。

もう一方で、このくも手とカラミは、見栄えに影響するといえるでしょう。くも手の本数、幅等の組み合わせによって水車に豪華さを与えることができます。まわるだけの水車に、依頼者と職人のこだわりを持たせる部分の一つといえるでしょう。

水車の大きさ、直径が同じでもその迫力は、この部分で異なります。また水車の価格を左右するのもこの部分のこだわり度によります。見るものを楽しませる水車であれば、依頼者の方にこだわって頂きたいポイントです。
水車の大きさによって、水車の荷重が異なるのは当然ですが、水分を含んだ水車はかなりの重量となります。それを支えるのが心棒であり、心棒を含め水車全体を受け止めるのが、軸受けの部分になります。 

基本的には、心棒をそのまま受け止めた作りが昔ながらの工法ですが、木と木の摩擦が生じるので、安定した回転を得るには豊富な水量か落差が必要となります。 水量に限界があれば、ベアリングを用いることで、摩擦を極力抑えることができます。
輪板は、読んで字のごとく水車の円弧の部分の板です。くも手とくも手の間に組まれるため、くも手による分割数で円弧の長さが決まります。

加工においては、この板を円弧にカットするのはもちろん、板材からの歩留まりをいかによくするかが一般の方にはむずかしいところです。そのため、板を直線的にカットした輪板で構成された水車もありますが、その角がすこしとげとげしい印象を与えるかもしれません。

また直径と輪板の幅のバランスで、水車の雰囲気もかなりかわります。 右の写真は、直径、くも手、カラミ、輪板のバランスがあまりいいとは言えず、少し か細い印象をあたえています。
水の流れを受ける板、そのまま水受け板と呼ばれます。その受け板を挟み込んでいるのが、輪板ですがその接合部の角状のものがほぞと呼ばれます。
ほぞにくさびを打ち込んで、抜け止めとしています。

上掛け水車や胸掛け水車では、水車にたまった水の重量によって水車がまわるため、その水を溜め込んでいる板が底板と呼ばれるものです。下掛け水車は、水を溜め込む必要がないため、底板はない場合が多く見られます。

ほぞの本数が、多ければ多いほど水車にメリハリがつき、豪華さが増してみえます。くも手、カラミと同様に水車へ鑑賞用としての楽しみを与える部分でもあります。

他同様、水車の価格を左右するこだわりの象徴ともいえるでしょう。
  水車っておいくらですか?という御問い合わせをよくいただきますが、どうやら想像している価格より高く感じるようです。とにかくまわればいいという方と、設置して恥ずかしくないものがほしいという方に製作させていただく水車は異なります。
上記のように、各こだわりの部分を省略し、輪板とくも手だけで構成され単純にビス止めした水車は、左の写真のようにかなりのっぺらぼうな水車になってしまいます。 
お客様のご要望によって、どのような水車でも製作できますが、値段はこのあたりで大幅に異なるので、気軽にご相談下さい。
また大好評発売中の当工房オリジナル商品である 水車組立キット ですが、もっとこだわりの形のものがほしいという声が多数よせられているため、この度、簡単組立を追及したタイプから 見栄えする本格的仕様に改良いたしました!