2001年12月の退屈な日々  もどる

 読書の評価は ◎・・・めちゃ面白いがね。 ○・・・なかなか。 ◇・・・まあこんなもんかな。 △・・・つまらん。 ×・・・時間の無駄。
 本は緑が読了本赤が新刊本水色が古本です。先頭の数字は今年になってからの購入および読了冊数。

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12月2日(日)
272○鈴木光司「シーズ ザ デイ」(新潮四六)読了。離婚を機にヨットでの生活を始めた船越の元に、16年前に南太平洋フィジー沖で2人の友人とともに沈んだヨットの情報がもたらされた。そして、その16年前の航海の時に付き合った女性から「あなたの娘」がいるとの告白が。16年前の遭はいったい何だったのか?。船越は娘や友人とフィジーへと旅立つ。
 複雑な家庭の親子のきずなを、岡崎&裕子を配することによって前向きに描いてます。しかし、やっぱり一般サラリーマンから見たら、ヨットに乗って1月も外洋を航海するなんてのは、夢の世界です。まあ、そういう世界もあるか、みたいな感じですね。ふぅ。

12月3日(月)
273○本多孝好「MISSING」(双葉文庫)読了。2000年版「このミス」第10位。5編が入った短編集ですが、最後の2編はミステリ?なんでしょうか?。自殺しようと海に飛び込んだのに助けられてしまった男が、助けてくれた少年に自分の罪を語る。自分のせいで女を死なせてしまったと語る男に、少年は別の視点からその事件の真相を看破する「眠りの海」。
 妹を事故で死なせてしまった姉が、死んだのは姉で自分は妹だと思いこんでいるのはなぜか?。妹の事故の真相があばかれたときに・・・・。「祈灯」の2編が秀逸。全体的に淡々とした語り口が心地よいです。ただ、「瑠璃」はラスト不明でした。

12月4日(火)
274○夢枕獏「獅子の門 群狼編」(光文社新書)読了。再読ですが、初出が1985年なので16年前です。羽柴彦六という中国拳法の達人を中心に5人の若者を配して、それぞれが格闘技の世界に踏み込んでいくその端緒だけが語られます。後書きにもあるよに大いなる本編の序章にしかすぎない、登場人物の顔見せみたいなもんです。夢枕獏の格闘技の表現は、独特の間と擬音の使い方がうまいんだよなあ。改行が多い文章も読みやすいし。
 それにしても、16年前に読んだ本の中身はやっぱりすっかり忘れてました。ははは。

12月5日(水)
275○響堂新「混沌の脳」(角川四六)読了。僕、都築恒平は大学受験の終わった春休みに突然意識不明になり、目覚めた時には死にかけの中年男になっていた。どうやら、中年男・高林悠一と意識が入れ替わってしまったらしい。しかも、高林悠一の若い頃の写真は恒平とうりふたつなのだ。これはいったいどういうことなのか?。。。。
 いかにも北川歩実が好みそうなテーマですが、響堂新はSF的小道具を導入して、新たな脳と人格の物語を作っています。こういう系統のはけっこう好みだったりします。

12月6日(木)
276○夢枕獏「獅子の門 玄武編」(光文社新書)読了。羽柴彦六を中心に5人の若者がそれぞれ格闘技の世界に入っていく。北海道の室戸はプロレスに、加倉に負けた志村は暗器使いの久我重明に弟子入り。武智は兄貴分のヤクザを切り刻んで海外逃亡していたが戻ってくる。まだ、それぞれがあまり絡んでこないんですが、今後どういう絡み方をして誰と誰が闘うのか楽しみな展開です。15年も前に読んだことなんてすっかり忘れて楽しみました。
 余談ですが、新装の表紙に久我重明が載ってるのでなぜだと思っていたら、こっちが本家だったんですね(笑)。

12月7日(金)
277○香住泰「錯覚都市」(双葉社四六)読了。第19回小説推理新人賞受賞作を含む短編集。受賞作の「退屈解消アイテム」は途中で判ったと思ったが、さすがに受賞作。そこからさらに拈ってありました。そりゃそうだな。わしが判るくらいのものが新人賞とるようじゃ世も末だし。その他の短編もレベル高いひねりが炸裂。ただ「凶器の沙汰」はすっきりした解決になってないのが残念。あと、隠蔽屋とか始末屋とか、小説のためだけに作られた非現実的なのが出てくるのが難点といえば難点。

12月8日(土)&9日(日)
278○宮部みゆき「ドリームバスター」(徳間四六)読了。地球とよく似た星テーラで、人間の意識を肉体から切り離して保管したり移動させたりする装置の実験が失敗して、実験台となった凶悪死刑囚50人の意識が地球人の夢の中に入り込んでしまった。夢の中に入り込んだ悪人は夢を制御して人間をコントロールし自分の好きなように生きようとする。その悪人の意識を捕獲するためにドリームバスターたちが夢の中に追跡してくる・・・・。こうやって設定だけ説明してるとまるっきりジュニアSFみたいですけど、ほとんどジュニアSFです(笑)。中編が3本。2本は悪夢を見る側(つまり地球人側)からのドリームバスター物語で、最後の1本はドリームバスターの世界の話で、しかも、どうやら続くらしい。
 お願いだからハードカバーじゃなくて文庫で出してください。

12月10日(月)
279◇戸梶圭太「未確認家族」(新潮社四六)読了。イカれた登場人物ばっかりの復讐喜劇??。なんか分類不能。刑務所から出てきた男が裏切った女に復讐するというのがメインストーリーだと思うんだが、それでいいんだよね?。ムショ帰りの男・和也は父親と三番目の妻、そして和也の保護観察官の飯島と、自分をおとしいれた女友だちの敦子を海に突き落とし、もう一人の美穂をも復讐のターゲットとして狙う。美穂はヤンキーだった過去を隠して結婚しており、年下の男と不倫しようと狙っている。旦那は電車で痴漢してストレス発散。そのおかげで電波系の狂った女にストーキングされて、夫婦仲は離婚寸前。
 例によってこの作者のことなんで、やることなすことほとんどギャグ。まるっきりコミックのノリの小説です。ホラーに近いグロテスクなシーンもギャグ寸前の描き方であっさりと読めてしまいます。特に電波系女の描写は爆笑モノ。

12月12日(水)
280◇森博嗣「黒猫の三角」(講談社新書)読了。犀川&萌絵シリーズの後に出た新シリーズですが、なんで今ごろと言われると困ってしまうのだが、他に読む本がなかったから(^^;。いや、ハードカバーはいっぱい溜まってるんだけど、会社で昼休みに読む文庫や新書サイズの本がなかったのよ。って、言い訳しなきゃいけないような本でもないんだけど。という前振りはおいといて。
 舞台は例によって那古野市。アパート阿漕荘に住む便利屋の保呂草潤平を中心に女装趣味のある小鳥遊練夢(小鳥遊ってちゃんと変換した。驚いた)、その友人の香具山紫子、近くに住む瀬在丸紅子の4人が巻き込まれる連続殺人事件。しかも、お約束の密室。それも2つ。
 トリックはかなり苦しいと思うのだけど、この作品で問題なのはそんなことではなく、作者のカタカナ言葉の語尾をのばさない表現がメチャ気になるのでした。小説の面白さと関係ない感想ですまん。
 とにかく単語の最後がERで終わるものは「ー」が省略されてて、すんごく気になる。コンピュータ、プリンタはまだしも、クーラ、トランシーバ、スニーカは気になる。ERじゃなくてのばすものは小文字の「ゥ」とか「ィ」が付けられてるのだが(「バッテリィ」「パーティ」とか)、それも全てではなくものによってはのばしてるものもある。「コーヒー」はなぜ「コーヒィ」じゃなくて「コーヒー」なのか?。「アイスホッケー」ものばしてるし。こののばしたりのばさなかったりの法則が知りたい。クロネッカのデルタよりも気になるのだ(笑)。
 そんなことが気になって気になって、ストーリーなんてちっとも頭に入っていかなかったんだよー。
  そういえば、今日は12月12日。うーむ、ぞろ目の今日読み終わったのは黒猫の三角の神秘でしょうか?。

12月13日(木)
281◎金城一紀「レヴォリューションNo.3」(講談社変形)読了。偏差値が脳死状態くらいしかないから「ゾンビ」と呼ばれる落ちこぼれ男子高校の僕ら48人が、同じ都内のお嬢様学校の女子高生をナンパしようと鉄壁の防衛線を敷く文化祭に突入を図る。そんな短編から始まってその後日譚の短編、そしてそれ以前のストーカー退治作戦の中編の3本。どれも、活き活きとした高校生がまるで青春ドラマのように描かれていて、かっこよすぎ。しかし、さくっと読めます。読み出すと止まりません。これだけ勢いのある青春小説はなかなかないです。おすすめ。 

12月16日(日)
282○有栖川有栖「絶叫城殺人事件」(新潮社四六)読了。犯罪学者・火村&作家・有栖川コンビの短編集。建物名+殺人事件のタイトルで統一されてますが、中身はいろいろ。有栖川有栖というとつい密室モノを期待してしまうのであるが、この作品ではタイトル作「絶叫城殺人事件」が良かった。「雪華楼殺人事件」は、それはあんまりだよ。と言いたくなるんですけど、ネタバレになるんで言いませんが。

283○篠田節子「百年の恋」(朝日新聞四六)読了。海外SFの翻訳やSF評論の好きなオタクなフリーライターの岸田真一は信託銀行の総合職でバリバリのキャリアウーマン梨香子と恋に落ちて結婚。しかし、梨香子は仕事に生きがいを見いだし、身の回りのことは一切しない女だった。自然、仕事の少ない真一が家事をすることになっていく。そんな二人に子供が出来て、子育ての大変さを面白くおかしく書き綴ったもの。
 こんなのを家族のないわしが読んだところで実感するものはないんだけど。。。。やっぱり一人って気楽でいいや。

12月17日(月)
284○井上夢人「クリスマスの4人」(光文社四六)読了。1970年、二十才の4人組は大麻でラリった上に無免許運転で男をはねて殺してしまう。200万円という大金を持った男を不審に思いながらも山の中に捨ててしまう。そして10年後の1980年、4人が集まったレストランに殺したはずの男が現れ、意味不明の言葉をなげかける。そしてさらに10年後の1990年、さらに不思議なことが。。。。あまり書くとネタバレになるのでこのあたりで。
 ひさしぶりの井上作品、満足しました。えー、いろいろと書きたいことはあるのですが、ネタバレせずに書けないのでやめときます。ああ、書きたい。あれのことは腑に落ちないとか、あれのこととか。あれではわからんな、しかし。

285○高橋克彦「蒼夜叉」(講談社文庫)読了。オカルト雑誌の編集者・万梨子はキリストの墓の取材で首つり自殺を目撃する。そこには胸に箱を抱えた不思議な少年がいた。その後、怨霊の取材で京都の御霊神社を訪れると、そこにも少年が現れた。怨霊と鬼と宇宙人を結びつける強引な推理は傑作「竜の柩」を思わせる展開でけっこう好みです。説明役の剣杏之介が一体何者なのかはっきりしないまま終わってしまったのが残念。続編に期待。

12月18日(火)19日(水)
286○栗本薫「アウラの選択 グイン82巻」(早川文庫)読了。グインが単独でパロに幽閉されているリンダに会いに出かけることに。そして、グインと古代機械の謎に新たな一面が・・・・。今年は6冊も出て物語がどんどんと動いてるのはいいんですが、ほんとうに終わるのでしょうか?、わしが生きてるうちに。というか、作者が生きてるうちに(^^;。 

12月21日(金)
287◇高橋克彦「降魔王」(講談社文庫)読了。先日読んだ「蒼夜叉」の続編。政治家の転落死の現場中継に映っていた、あの箱を抱えた男の姿から、長い眠りについたはずの崇徳院の獏が復活したのではないかと、万梨子や剣は岩手県東和町へと向かう。しかし、剣の友人の新聞記者・北村とカメラマンの律子は潜入した研修所で洗脳されてしまう。今回は前作の獏を上回る偽りの神が登場。獏との関係はいかに?。ということで、前作よりも伝奇色が強くなってるので、真実味がなくなってます。前作のほうがリアルでいかにもという感じかよかったのだが、今回は完全にフィクションぽいのが全面に出てしまってるのが残念。

12月23日(日)
288○池井戸潤「銀行狐」(講談社四六)読了。銀行を舞台にしたミステリー短編集。どれも出来がいいが、銀行の窓口で定期的に現金が消えてなくなる謎を描いた「現金その場かぎり」が一番かな。「ローンカウンター」では、銀行の現金自動支払機の裏にも実は人間が隠れて見ているということが書かれていて、ローン会社の「無人くん」と同じなんだあと、感心したり。長編よりも短編のほうが面白いかも、この作者。

289◇新野剛志「クラムジー・カンパニー」(講談社四六)読了。ミステリ短編集。1編は「八月のマルクス」の笠原が主人公のモノです。主人公が謹慎中の探偵だとか、アル中のフリーライターだとか、元お笑い芸人でマンションの管理人だとか、なんか冴えない人物が主人公なんだけど、ハードボイルド系な内容でそれなりにすらすらと読めますが、あまり記憶に残らない作品ばかりです。

12月24日(月)
290◇西澤保彦「両性具有迷宮」(双葉社四六)読了。「なつこ、孤島に囚われ。」で主役の森奈津子がまたまた主人公のハチャメチャSFサスペンス。シロクマぬいぐるみ型宇宙人の地球侵略爆弾がコンビニで爆発して、たまたま店内にいた16人の女性に擬似ペニスが生えてしまう。一回射精すればペニスはなくなるが一眠りするとまた復活してしまう。そんな体になってしまった女性だけを狙った連続殺人が発生。我らが変態作家の森奈津子が犯人探しに乗り出すが。。。この設定を使った論理的犯人探しかと思って期待していたのだが、今回は単なる森奈津子を十分に活かすための設定であっただけのように思える。それにしても最後の、ミーコちゃんが動くのはなぜ??。教えて。

12月25日(火)
291◇大沢在昌「未来形J」(角川文庫)読了。小説家志望の若者、占い師、女子中学生、地球物理を研究している大学院生、スポーツ好きな高校生の何のつながりもない5人がある日Jと名乗る人物からメッセージを受け取った。助けを求めるメッセージを受け取った5人はJと交信を続けながらJの謎を探っていく。。。前半はなかなかいいんですが、Jの正体が簡単に判りすぎ。しかも、そんな身近なところで決着していいのかと言いたくなるようなお手軽さ。
 一番の問題は、ラストが一般公募によるコンテストの優秀作品で終わってることだ。読者としては、コンテストのラストもいいんだけど、作者のオリジナルな結末を読みたいんです。これでは、未完のまま終わってしまった「大菩薩峠」の結末をコンテストで募集するのと変わらないではないか。違いすぎですか。

12月31日(月)
292◎船戸与一「緋色の時代 上」(小学館四六)読了。1986年、アフガニスタンで戦ったロシアの男たちが国に帰った。ウラル山脈の麓にあるエカテリンブルグを舞台に、アフガンからの帰還兵たちが敵味方に別れてロシアマフィアの手先となって果てしなき抗争を繰り広げる。かつては一緒に戦ったグレゴリー・セベルスキーとビクトル・ボロディンはそれぞれ、パンジシーグループとドニエステルグループを率いる犯罪グループのトップとして敵対している。そこへ、内務省対組織犯罪局SOBRに在籍する2人組が赴任してくる。2人の目的は犯罪組織と癒着して私腹を肥やしている民警などの摘発だ。そして、かつてアフガンでの上司であった元KGBとGRUの2人組がパンジシーグループに麻薬の取引きを持ちかけてきたことから、情勢は一気に2グループの殲滅戦にと発展していく。
 船戸得意の登場人物皆殺しの展開になるような期待がもてる展開です(笑)。ただ、登場人物がロシア名なんで、覚えにくいよ。


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