2002年9月の退屈な日々 もどる
読書の評価は ◎・・・めちゃ面白いがね。 ○・・・なかなか。 ◇・・・まあこんなもんかな。 △・・・つまらん。 ×・・・時間の無駄。
本は緑が読了本、赤が新刊本、水色が古本です。先頭の数字は今年になってからの購入および読了冊数。
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9月1日(日)
212○島田荘司「魔神の遊戯」(文春四六)読了。
ネス湖のほとりの村で村人が体を引きちぎられて殺される残虐な事件が発生。しかも連続殺人。そこに居合わせたのが御手洗潔。いつもの語り部の石岡くんの代わりにアル中で無職のバーニーを配して物語は進んでいくが。。。。以下若干ネタバレに近いものがあるので反転(体が引きちぎられてるように見せかけるために重りを結びつけてひきちぎったとしたら、体に重りを結びつけた跡が残ると思うんですけど、そのあたりまったく触れられてないのはなぜ?。)。
いつもながら、あり得ないような不可思議な状況を無理やり現実に押え込んでしまう力業はすごいです。強引です。
213○北森鴻「蝕身仏」(新潮社四六)読了。
連丈那智シリーズ2冊目です。今回も民俗学的な謎の新解釈と殺人事件の組み合わせ。わし的には最後の「御蔭講」が面白い。御蔭講という相互扶助のシステムの本来の意味を推察しているのですが、うーん、なるほどと納得させられました。三種の神器にかかわる物語もなかなかいいんですが、それよりも、毎回殺人事件に巻き込まれるのは大変ですね。短編だけに。
9月2日(月)
214○藤崎慎吾「ストーンエイジCOP」(光文社新書)読了。
2030年代の近未来の東京。人は動物の遺伝子を面白半分に自分の体内に取り入れ(発光クラゲの遺伝子で体が夜になると光るミューとかいいですね)、また、顔もゲームの人気キャラに作り替えるなど、相当にあと30年では無理っぽい設定。コンビニも独自の警官「コンビニCOP」を配置して店を守っている。コンビニCOPの滝田は捕まえた少年が、家に偽者の自分がいて母親がほんとうの自分を認めてくれないと訴えるのを聞いて調査に乗り出すが、警察上部からの妨害で解雇されてしまう。そして人間入れ替わりの謎を追っていくうちにバイオ産業のすさまじい実態に。。。。
前半は世界を構成しているパーツがわかりづらくてなかなか進まなかったが世界がわかってくるとすぽんとハマってしまいます。特にバイオ産業の地下工場あたりからすごい。「ツギハギ」とかいいですねえ。あと、敵キャラの釘男はあれですね。ヘルレイザーのイメージですね(個人的に)。
ただ、この作品ではまだ解決されてない滝田の過去など、続編も期待できるのでしょうか。
9月3日(火)
215◇五條瑛「熱氷」(講談社四六)読了。
カナダでミネラルウォーター用の氷山を確保するために氷山を崩す氷山ハンターとして働いていた石澤は姉の死を知り急遽帰国するが、姉の子供を人質にとった父親に銃での狙撃を強要される。一方、国民的人気を誇る総理に脅迫状が届いた。恐喝者はポセイドンと名乗り、3年前にも脅迫をした謎の集団だ。果たして父親はポセイドンの一味で、石澤は総理を狙撃させられるのか?。
氷山ハンターなんていう魅力的な職業を出しておきながら、その実態があまり描かれてないよ。もったいない。さらに、父親が自分の子供を人質にしているという設定なので、石澤に緊張感がないし、狙われる側もあまり描かれてないので、読むほうもなんとなくだらけてしまうのです。
そして、物語は大きく予想を裏切ることもなく無難にまとまってますが、うーん、なんかこう、読者の予想を裏切るあっと驚く結末とか持ってきて欲しいです。いや、予定調和が悪いというわけではないんですが。
9月4日(水)
216○鈴木輝一郎「白浪五人男」(双葉社四六)読了。
大泥棒・日本佐衛門、弁天小僧などが暴れ回るSF時代劇。日本佐衛門率いる日本党は弁天小僧の誘いに乗って徳川の埋蔵金探しをすることになる。そして、富士の樹海で見つけた徳川の秘宝とは・・・・。いやはや、そんなのありっ?。それまで普通の時代劇だと思ってたのに突然SFになるんだもんなあ。しかも、出てくるのがあれでは(笑)。
登場人物の台詞がかっこいいよ。型にはまってるよ。でも、SF。しかもあれの弱点があれだもんなあ。しかも、最後はホラーだし。なんと評価していいのか、わしは好きだけど。
9月6日(金)
217○高野裕美子「九龍に昇る日は」(集英社四六)読了。
香港でM&Aで成功したナオミのもとに、買収した複合遊園施設「オリエンタルマジック」に対するテロの予告が届いた。姉を憎んで日本を離れ、香港で成功したナオミは姉のじゃまをするために日本進出を図るが、ちょうど同時期にナオミの姉・有希子が代表を務める青蓮会の経営するレストランにも同様の手口の犯行が。二人の過去が暴かれるときに姉妹の愛憎の真実が明らかになっていく。。。。。
前半のM&Aは書き込み不足であまりしっくりとこなかったのですが、後半のナオミの幼い頃の記憶がだんだんと発掘されてくるあたりから俄然面白くなってきました。ラストもいい。ただ、ナオミがどうしてあれだけ翠玉をかわいがるのかいまいち理解不能。
9月7日(土)
218◇折原一「暗闇の教室 1」(早川文庫)読了。
219△折原一「暗闇の教室 2」(早川文庫)読了。
仲良し中学生4人が夏休みに干上がったダム湖の底にある緑山中学校に冒険に出かけ、百物語をしながら一晩過ごす。その物語が現実とも虚構ともつかない不思議な雰囲気を出しているのですが、片岡校長、浦田、那珂川はほんとうに中学校に現れたのか?。1は中学校時代の一晩の物語。2は20年後にまた干上がったダム湖の緑山中学校に集まって同窓会を開くのであるが、そこで殺人事件が。果たして20年前の事件の真実は明らかになるのか。そして、殺人の犯人は。
作者得意の叙述トリックのオンパレードなんですが、2での同窓会を片岡校長がどうやって知ったのか?。謎です。それと、台風が近づいてきてるのに干上がったダム湖の底の中学校に行くことの危険性を中学生が知らないわけがないと思いまーす。
いつもどおり構成が複雑奇怪なために、どこまでが百物語でどこが現実かわかりにくかったです。というか全然理解できません。
220○戸梶圭太「トカジャンゴ」(角川四六)読了。
エロとグロと銃の戸梶絶好調の短編集。「トカジノフ」でも思ったのだが、わし的には短編のほうが好き。イッちゃってる登場人物がエロいことやグロいことをしまくっては銃を撃ちまくり、血をまきちらす。特に「トレンド」は傑作。駅のホームで後ろから人を突き落とす事件が流行ったときに鉄道会社のとった対策とは。。。。いやもう、笑いが止まりません。
9月8日(日)
221○三津田信三「作者不詳」(講談社新書)読了。
作家の三津田信三が手に入れた同人誌「迷宮草子」には7つの短編が入っていて、その短編で提示される謎を解かないと恐ろしいことが起きるという。今までに「迷宮草子」を読んだ6人が行方不明になっているという。最初の短編「霧の館」を読んだ三津田と友人の飛鳥のまわりに突如として霧が。そして二番目の「子喰鬼縁起」を読めばどこからともなく子供の泣き声が。。。。
短編推理とホラーの融合。物語の構造、趣向はすごくいいんだけど、主人公に魅力がない。もうちょっと感情移入できるような主人公でないと、この本はもったいないよ。
9月9日(月)
222○東直己「渇き」(勁文社新書)読了。
私立探偵・畝原シリーズ。札幌で私立探偵をしている畝原の元に情報誌を出している出版社の社長が立場を利用して女子大生を食い物にしている証拠をつかんでほしいという依頼があった。美人局のようなことをして罠にはめたはずの社長はビルから墜落死し、囮となった女性は絞殺されていた。。。。そして、謎の脅迫者は畝原の娘の周りにも現れたのだった。。。。
ハードボイルドの王道を行くストイック&シンプルな探偵の生きざまは自分で出来ないだけに清々しさを感じます。かっこええなあ。自分がそういう生き方をしたいとは思わないけど。
9月10日(火)
223△迫光「シルヴィス・サークル」(東京創元四六)読了。
1930年代、女性前衛芸術家が、自分の作り上げたエレベーターを使った作品の中で銃で撃たれて死んだ。エレベーターに乗って上昇しそのまま降りてきたら死んでいたのだ。そして、第二の事件は、断崖絶壁の端でやっぱり銃で撃たれて死んだ。どちらも犯人は逃げ場がないはずなのにどこにもいない不可能犯罪。
昭和初期の雰囲気が出ているかというとそうでもなく、語り手の「僕」と探偵役の神野も印象が薄い。ゴシックミステリと帯に書いてあってもどこが「ゴシック」なのかさっぱりわからない。というか、ゴシックの意味が不明。ゴシックミステリってなあに?。
きっと、こういうのが好きな人にはたまらないんだろうけど、わしはダメでした。どこが面白いのかわからない。すいません。
9月11日(水)
224○高瀬美恵「庭師(ブラック・ガーデナー)」(祥伝社文庫)読了。
フリーライターの寺内さやかが引っ越したマンションは庭師を名乗る人物がマンションを花壇に、住民を花になぞらえて、ホームページで悪意あるプライバシー暴露をしているとんでもないところだった。彼女が入居した直後、玄関で異臭騒ぎがあり、住民のペットが虐殺される。そして、第三者が知るはずのない情報までもがホームページに書き込まれる。マンション内に盗聴器でも仕掛けられているのか?。しかも、マンションの住民もよくつきあってみると異常な人たちが多い。いったいこのマンションには何が??。
登場人物たちはデフォルメされてるとはいえ、小型版だったらどこにでもいそうでオカルト的な出来事よりもよっぽど怖いが、主人公も自主性なさすぎ。というか、だから事件に巻き込まれるわけなんだけど。マンション自体がだんだんと狂気に蝕まれていく過程がなかなかに読み応えがありました。この路線はなかなかいいかも。
9月13日(金)
225○倉知淳「猫丸先輩の推測」(講談社新書)読了。
デビュー作でデビューさせた猫丸先輩なる名探偵の日常の謎解き短編集。呼んでもいないのに人懐っこくすりよってきては他人の疑問を解決していくおかしなキャラがけっこう気に入ってます。
この短編集では、夜になると届けられる差出人不明の電報の謎、花見の場所取りを命じられた新入社員に場所を空けさせようとする人々の謎、寂れた商店街の一大イベントでのしょぼい妨害工作の謎など、行方不明になったペット探しの探偵をじゃまする謎の妨害など日常のちょっとした不思議なことを「こういう見方もできるんだよ」という解決を提示する猫丸先輩。
唐沢なをきのさし絵がじつに猫丸先輩の雰囲気をだしていて、ほのぼの。
各編のタイトルは有名作をもじっているのだが「たわしと真夏とスパイ」には爆笑。
9月14日(土)
226○逢坂剛「重蔵始末」(講談社四六)読了。
蝦夷地探検家として知られる近藤重蔵の若き日を描いた捕り物帳。火盗改の近藤重蔵は20代半ばにして傲岸不遜、博覧強記、身の丈6尺あまりの大男。短編集で、あれやこれや事件を解決するわけですが、、、、うーん、読み飛ばして終わりって感じです。作者初の時代小説だそうですが、特別逢坂作品ならではのものというのは見当たらないなあ。収録されている作品はどれも水準点か以上のものだとは思うけど。
9月16日(月)
227○藤原伊織「蚊トンボ白鬚の冒険」(講談社四六)読了。
水道工事の配管工・倉沢達夫の脳内に白鬚と名乗る蚊トンボの意識が寄生した。というとんでもない設定で始まります。アパートの隣人・黒木を怪しい男たちから助けたことにより、裏社会の抗争に巻き込まれていく。そして、蚊トンボはなぜか倉沢の筋肉を一瞬だけスーパーマン並に増強することができるのだった。うはははは、なんというか、そんなバカな。
これで、敵役の赤目の男も何かが寄生してれば完全な伝奇ものになったのにねえ。思わせぶりなだけでしたな。
蚊トンボがあまりに人間くさいのと、能力がすごすぎなので逆に笑ってしまう。蚊トンボじゃなくて宇宙人とかのほうがリアル?だと思うが。・・・・それでは「寄生獣」になってしまうか。
9月17日(火)
228△恩田陸「木曜組曲」(徳間文庫)読了。
作家の重松時子が死んでから4年。時子の親戚で編集者や作家、ライターなどをしている女性5人が集まって故人を偲ぶ会が開かれた。4年前の時子の死はほんとうに自殺だったのか?。会にあわせて小説の登場人物の名で届けられた花束は何を意味しているのか?。疑心暗鬼にかられた5人が4年前のことを思い出しながら時子の死の真相をさぐっていく。
中年おばさん5人の腹の探り合いにしてはあまりにきれいすぎるような。いや、中年おばさんに対して偏見もってるつもりはないけどさあ。
9月18日(水)
229○松岡圭祐「マジシャン」(小学館四六)読了。
目の前で金が二倍になるという怪しげなイベントに詐欺のにおいをかぎとった警視庁の舛城警部補は部下の浅岸、科捜研の白金とともに捜査に乗り出す。そしてプロのマジシャンを目指す少女・沙希の助けをかりてトリックをあばきながら真相に迫っていくのだった。
手品のトリックを詐欺に応用する手口はさすがと言えます。しかし、警察の取調室での取り調べに、協力してもらってる中学生の少女を立ち会わせていいんでしょうか?。出光マリの突然の変心もちょっとご都合主義的だし。と不満はあるんですが、いままでの作品同様、一気読みさせるだけの展開は見事です。
9月19日(木)
230○大石圭「自由殺人」(角川文庫)読了。
謎の人物から「あなたに大きな力を与えます」という手紙とコインロッカーの鍵が送られてきた。コインロッカーの中には時限爆弾の入ったアタッシェケースが。手紙を受け取った6人は自分の境遇に不満を持っていて、簡単にその誘惑に乗りそうになるが。。。
無差別殺人の力を与えられた人間がどういう思考からどういう選択をするのか?。作品では安易に爆弾を使用する選択をする人物が多くでてくるけど、実際にはそんなことはないんじゃないかなあ。しかし、読んでいる最中はそれなりに爆弾を使用する理由がもっともらしくて一気に読んでしまいましたが。
後書きにある「絶望的なハッピーエンド」かどうかは疑問。それほど絶望的でもないんじゃないのかな。そう思うのはわしだけか。
9月21日(土)
231○東野圭吾「トキオ」(講談社四六)読了。
17才で死んだ息子が20年前の父親の元に現れ、どうしようもないチンピラだった父親を更正させるという、泣かせるタイムトラベルSF。しかし、この父親がどうしようもない最低の男のために、読んでいていらいらするのであった。そう感じさせる作者の手腕だとは思うだが。
232◇戸梶圭太「湾岸リベンジャー」(祥伝社四六)読了。
妻を首都高の事故で殺された元ラリーストの男が、同じく孫を事故で殺された大富豪の男の依頼で走り屋となって首都高での事故を起こした犯人を探すというような話しなんですが、田中光二のセリカとスカイラインのバトル小説(タイトル忘れた)のようなカーチェイス小説を期待して読むと、そこはそれ戸梶ですのでそんな展開は微塵もありません。例によって銃はぶっぱなす、爆弾は炸裂する。血みどろスプラッター全開です。いかにも戸梶らしいといえば戸梶らしいんですが。
ここですでに雲印牛乳がちらっと出てるんですね(笑)。
9月22日(日)
233○松尾由美「バルーン・タウンの手品師」(文春四六)読了。
人工子宮による出産が当たり前になった近未来。それでも自分のお腹を痛めて出産したいという妊婦だけが暮らす東京都第七特別区。通称バルーン・タウン。そこで起きる謎を妊婦探偵が解決する短編集。いかにもご都合主義的な推理小説向けの容疑者限定条件(たまたまペンキ塗りたてで足跡がついたらすぐわかるとか)がものすごく不自然ですが、推理過程とかはしっかりしてます。ただ、男にはわからない謎がいっぱい。冷凍母乳とか。腹帯とか。なんですかそれ?。
234◇芦辺拓「グラン・ギニョール城」(原書房四六)読了。
乗り合わせた列車で「グラン・ギニョール城の謎を解いて」と言って男は死んだ。70年前の雑誌に掲載された未完の作品「グラン・ギニョール城」の物語が現代によみがえり、探偵の森江春策は和歌山にある現代のグラン・ギニョール城に向かう。そして、小説と現実が入り交じった不思議な世界が展開する中で現実の殺人が起こる。森江は小説の中の殺人と現実の殺人に解決を見つけられるのか?。
物語の構造は面白いですが、森江が和歌山の城についたときにちょうど物語の途中というのは、列車の中で男が死んでからの時間を考えるとちょっと無理があるような気がしないでもないんですけどいかがでしょうか。ちょっと自信なし。そこだけがどうもひっかかって◇印になってます。そのあたりをわしレベルでもわかるように説明してあれば○印なんですが。面白いんだけどね。そこだけが。
9月23日(月)
235○連城三紀彦「白光」(朝日新聞四六)読了。
カルチャースクールに行く妹・幸子の娘・直子を預かった姉の聡子は自分が歯医者に行くために祖父に直子を預けて出かける。その間に直子は殺されてしまう。痴呆症の気がある祖父にはまともな記憶がなく、犯人探しが始まる。そこからが連城ミステリーの真骨頂なのだ。聡子、その夫、幸子、その夫、祖父、幸子の愛人の心の内を描きながら、物語が進んでいくにつれて新たな新たな事実と各人が抱える心の闇があらわになってくる。そして、犯人と目される人物も二転三転していく。初期のミステリーは読んでいたのですが、恋愛もの中心になってからあまり読んでなかったのですがやっぱりこの作者の文章は独特で美しい。すごいです。
236◇山本文緒「シュガーレス・ラヴ」(集英社四六)読了。
現代人の抱える病気をテーマにした短編集。恋愛と病気と女。それだけ。
9月24日(火)
237○長谷川卓「死地 南稜七ツ家秘録」(ハルキ文庫)読了。
前作「血路」から30年後の物語。できれば「血路」を読んでからのほうが楽しめる。山の民である七ツ家は現代で言う「逃がし屋」。七ツ家の二ツは柴田勝家の依頼を受けて御方様を逃がすよう依頼を受ける。そこに現れたのは秀吉の配下である錣一族。七ツ家と錣一族の戦いが幕をあける。今回は毒使いがメインとなって壮絶な裏の戦いが繰り広げられます。
これぞ「娯楽時代小説」というイメージのただ楽しめる作品です。特に、予定調和的なハッピーエンドもなく、死ぬべき登場人物はちゃんと死んでいくし(えーと、主人公側であっても遠慮なく殺されるということです)。面白かった。さらに続編を期待したい。
9月27日(金)
238○吉田修一「最後の息子」(文春文庫)読了。
タイトル作のほか「破片」「Water」の2作を収録した短編集。「最後の息子」はオカマの「閻魔」ちゃんとと同棲中の「ぼく」のビデオ日記をめぐる話。「破片」は東京に出た兄が久しぶりに帰った長崎で弟と店を手伝う話。「Water」は高校水泳部の4人組が最後の大会を目指す話。
タイトル作は冒頭からいきなり意味不明で「さすが芥川賞作家」と思ったのだけど、読み進むうちに主人公の位置が理解できてきてようやく面白さがわかりかけたところでもう結末。もうちょっと最初からわかりやすく書いてくれればいいのに。
「Water」が一番面白かったよ。これはストレートな青春もの。こういうのでまるごと1冊書いて欲しいな。
9月28日(土)
239△真保裕一「発火点」(講談社四六)読了。
12才の時に父親が同級生に殺されたことで周りから特別な目で見られているという被害意識に凝り固まってどうしようもないチンピラに育っていた杉本敦也は、事件から9年たって父を殺した男が刑期を終えて出てくるのを知る。物語は21才の現在と12才の過去を対比させながら進んでいくが、主人公がどうしようもないイヤなやつなのでなかなか読みづらかった。「奇跡の人」もそうだけど、主人公に感情移入出来ないとダメなんです。
9月30日(月)
240○坂本康宏「歩兵型戦闘車両ダブルオー」(徳間四六)読了。
第3回日本SF新人賞佳作。リストラされた会社員、ゲームおたく、事故を起こした重機操作員の3人がリクルートされたのは、なぜか環境庁が持っている戦闘車両の運転手としてだった。しかも、3両の戦車は合体して歩兵型巨大ロボットとなるのだっ。もともと単体での巨大ロボットとして設計されたのがなぜ3両合体になったかの理由が笑えます。いかにもお役所(笑)。そして、巨大ロボットとくれば敵役は怪獣にきまってますが、コンクリートを食べるなめくじ型のソドム、巨大ロボットのプロトタイプに憑依したバブル、一地点に根を張りひろがるセックスの3匹?はいずれも人間の強い思念とダイオキシンの変異体が合体したものという設定。
コミカルな展開とお役所仕事を揶揄したような語り口が面白いんですが、ダブルオーのイラストがないのでイメージがわかないんですよね。戦闘車両と合体ロボのイラストくらいつけて欲しいです。
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