電脳味噌人天国

【新しい作品】

美味そうにカボチャの種を食べる人 少しカボチャに似てると思う

酔いどれのアンモナイトの横顔に小さな星を並べてみよう

夜空にはまあるいまるいお月さまそして地上でいくさ始まる

毎朝のショートキャラメルマキアートそれが部長の秘密なんです

岩風呂の湯気の底より眺むれば冬もおぼろに月渡りゆく

あわだらけ雲居の月と見るまでに好子の胸に揺れる乳ふさ

シリウスの凍てつくような輝きと蒼き昴に会う帰り道

三毛猫の胸元の毛が気になってついかがみこむそんな朝です

僕たちの時間はきっと平等にあったはずです 少し前まで

ふらふらとどこへ行くのかこの国はじゅんちゃんピエロの乗る一輪車



【 春 】 【 夏 】 【 秋 】 【 冬 】 【 恋 】 【 雑 】

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【 春 】

葛城の佛とぶらふ櫻花おぼろ月夜にしんしんとふる

李白なる酒楽しめば浦霞禅問答の夜は白みそむ

夢で逢う君は今でもあどけないさくらの如く僕を求める

アルプスに咲く風船は六甲の下風に舞ふ錦なりけり

街中を潮の匂いが包み込む かに座あたりで踊らば踊れ

新たなる春は来にけり凍りたるもの解き放つ風よ吹かまし

蒼穹は果てなく高くよどみなく我を包みてほんのりと春

見渡せば木の芽もはるのめはり寿司紀ノ川のべにこの指とまれ

眠れない夜は更けゆくさくらばな散りゆく君の気配が邪魔だ

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【 夏 】

はなみずきさつきたちばな咲きましたこっそり月を殺した夜に

萌えいづるみどりきみどり君ひとり想へば野辺に雲雀あがれり

かわせみが鳴きて貴船の川床にそうめんぶちまけたき夏が来る

恋ひ恋ひて命短し陽炎の夏揺らめきて吹き抜ける風

燃えて咲く花艶やかに百日紅すべり落ちゆく一夜の記憶

朝顔の鉢に如雨露の水やれば手のひら大の虹がうまれる

我が腕の中の寝息のせせらぎにあやめたちばな夢路さまよふ

てのひらの中で羽化した蝶々がほあほあふわっと飛び去りました

汲み置きの水を替えてる朝でした 朝顔しずくあなたの笑顔

君といたあの夏の日が忘られず鮎の塩焼きほおばっている

夏の夜の短さ知ったあの頃は月がとっても近かったんだ

太陽の視線まぶしき夏の日に金魚一匹買ってきました

あなたとの記憶が薄れゆくように今年の夏は熱帯夜です

オリオンが薄紅空に昇りゆき星の飛び交ふ夜は明けにけり

過ぎ去りし歌の遊びは蝉の羽のうすくれなゐの夢のひとひら

窓辺うつ雨に夢見のまどろみはかき消されつつ匂ふたちばな

夜を焦すスターマインは大輪の花に遅れて爆音がさく

明け方の雨の名残にうちしめり庭草かおる夏の思い出

沈丁花香る月夜の帰り道浮かれた猫が顔のぞかせる

梅雨空を覆う炎の幻想の影は小さな黒い蜥蜴だ

短か夜を眠りかねれば郭公今年もここに来てしまったか

日焼け止めオイルの匂いを漂わせあなたの肌は夏を誘う

あずさゆみ真弓つき弓春過ぎて山郭公鳴くころの月

ばか高いハウスミカンに驚いて茄子南瓜で吾子の気を惹く

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【 秋 】

一輪の壁に生けたるほおづきは風の気配に身を染めるらし

小春日の急流滑り子供らが肌に冷たき虹と戯る

流星の気配感じて飛び出せばペガスス高く空駆けぬけぬ

缶蹴りの子らの黄色い声の上柿の実ゆれる秋の夕暮れ

参道の黄色絨毯ふみしめて木漏れ日すこしまぶしい朝

お日様はつるべ落としの秋の空畦道小路いつかの匂い

複雑なマクロ経済モデルなど載せた新聞お芋を包む

変なこと気になるみたい例えばね隣の客の好きな柿とか

きのこ汁恋しくなりて夕暮れの厨に独りこんにゃくをちぎる

安曇野を訪ね歩けばこの秋も神がやさしく微笑みかける

秋深み太き腹した蟷螂の捕はれなにを思ふべきかな

秋の夜の雲隠れゆく月ひとつきっとあなたは何も知らない

濡れそぼり桜もみぢのふる並木季節外れに匂ふ秋かな

ひさかたのスタバのラテにシナモンを 株価は今日もさえない動き

秋深く淡き銀河は流れゆきその先にある闇と焼きいも

カフェオレに胡麻を浮かべたセサミオレ秋パステルのレシピをめくる

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【 冬 】

もみぢばに薄く置きたる初霜の輝き宿す山里の朝

ステージのジャズボーカルがイマジンを歌いて師走八日の酒場

寒き夜を独りし寝れば思い出す君の体温猫の鳴き声

冬空に冷たく細き月見つめ今宵門限破ってみるか

凛とした冬空寒きこんな夜はあなたの白き肌にさまよふ

去年とは違う彼女を連れてるね見覚えあるよなサンタが嘲笑う

しあわせは炬燵囲みてがやがやと皆で水菓子食べるひととき

「これからもあなたのそばにいたいから」「それでどうして鴨せいろなの?」

クリスマスツリーを飾る久々にサンタの顔をしげしげと見る

たらちねのママの半纏鼻だらけそれでもボクの笑顔は無敵

冬枯れの夢の向こうの図書館にタチバナさんに会いにきました

電車待つつかの間掌暖めるチャイのほのかな甘みに憩う

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【 恋 】

ほら君がデストロイヤーになる時間パックの奥の瞳が動く

人ごみを理由に君の手を取った ぎごちないけどついておいでよ

今はまだ死ぬほど好きじゃないけれどあしたあなたに惚れなおしたい

戯れに絡めた君の黒髪の長き一夜がばれちゃいました

「好き」「嫌い」「とっても好きよ」「大嫌い」花占いの恋はうらはら

いつのまに癖になったか独酌を止めるあなたの手に気付かされ

「金星がまぶしすぎるよ」それだけを理由に君は人魚になった

汝がながす涙のしずく静けさに蝕まれゆくわたしの心

夢にさく忘れな草に誓ひてし逢はぬ恋まだつづけてゐるか

返り来ぬ文まつ山のなみだ雨壁紙だにも色あせにけり

幸せに焦がれつれなき人を待ちかひなく過ごす由良の舟人

波白く砕ける荒磯いそのかみフルスピードの恋もするかな

「シンプルにバジルをのせたピザが好き」トマトの頬で君がつぶやく

梅くらげいつでも頼む君がいてあたしゃかに味噌なめつつ見てる

壊れゆく星の名残となるようにせめて君への歌を歌おう

紅色の珊瑚のかけら溶かしたらきっと素敵な媚薬がひとつ

恋愛とメカゴジラとの関係をふと考える猫撫でながら

来ぬ人にまつほのウラウラベッカンコすぐ逢いに来る恋のまじない

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【 雑 】

みそ汁に浮かぶ豆腐の気楽さをちょっとうらやむ昼時である

下生えの羊歯の葉裏にひっそりとひかる卵を知っていますか?

電線にピンクの河馬がとまりいて明日は平和でありますように

衛星が落ちて壊れた湖に青き瞳の人魚の涙

なぜか腹を黒き血色に染められしマネキンありてモナリザといふ

はじめての雨の匂いに怯えてる捨てねこ仔ねこ捨てたの誰だ

香菜をぱくぱく食べりゃバンコクの檸檬グラスの夜が始まる

悠久の時の流れはだくだくとスラムとビルの間を迸る

深海を流されていく海草のように心はまだまだ蒼し

遠雷の音に怯える子の如く絶縁体に包まれる夜

子供らの笑顔ふんわりふくらんでさくら色した芭蕉せんべい

車窓から明石大橋見え隠れ 朝霧駅を通過しました

蒲焼きの缶の中から見つかった河馬と今夜も話しています

アランフェス協奏曲を聞きながら僕とクジラと牛とアザラシ

南極の環境破壊を食い止めろエコエコアザラシ死なないように

書類庫に相続税の申告書ファイルが並ぶ死者の名並ぶ

ビル街の血色に染まる観覧車闇の魔獣の心臓となる

サスケ流微塵隠れに朧影都会から身を秘す術もがな

女子大の男子便所はただ広い中に便器がたったのふたつ

ピグモンのぬいぐるみですこの僕は2時間経てば魔法がとける

梓弓HALはいまだに現れず人類だけが狂う夕暮れ

咲きて散る花の如くと死にゆきし人を忘れて新世紀来る

とりたててなにが違うというでなし星は静かにまたたいている

この子にはどんな未来があるのだろうそれはともかく風邪を治そう

地下室の薄暗がりのその奥にわたしの首の標本がある

さみどりの川面しぶきをはねあげてこの羊水は海へとそそぐ

ダム底に沈む定めの家々はグリーンカレーのなすびの如く

僕たちの時計の針が止まる日を語り継ぐべき人はいますか?

なりなりてなりあまりたるものひとつもてあましたるもてないわたし

真夜中に汽笛の声を聞きました 妻と子供は寝ておりました

オヤジへとなりゆく自覚はがゆくも心揺さぶる「いとしのレイラ」

あれが最後のチャンスだったと今思うおたふく風邪で種無くなりぬ

サボテンに刺したブラックカラントのような立場で午後は過ぎ行く

口語ではこう語ったと訳されてかっこつかないツァラトゥストラ

高校の授業で読んだ百人一首それがわたしの歌の始まり

わが町の銀行支店閉店す多分正しきリストラのため

イチニィサンシィゴォロクの次シチでまたニィサンに戻るリョウくん

梯子して酔えば月にも行けそうで今度の店はウサギがいるよ

【連作:らんかうい】

我ひとり夜のプールに浮かびをればオリオンシリウスカノープス見ゆ

潮騒と鳥の鳴く音と異国語と木の下蔭に古き歌読む

タイ料理レストランにてまたひとり辛きカレーにはまりゆくあり

日本語が通じぬ中華料理屋の今日のお薦め『鉄板皮蛋』

「開発が進めば海は汚れゆく」現地ガイドがそう繰返す

マラッカで一番というパヤ島の狭き浜辺に人は群れゆく

肉食の鮫の餌付けは日本ではとてもできない体験でしょう

密林を進撃したる銀輪が博物館にただひとつあり

飛行機の隣の客はうるさくて恥を知らない日本のオヤジ

スパイスに慣れた味覚をいかなごの釘煮がそっと和食に戻す

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