@椎間関節性腰痛
痛みが、背骨のほぼ「中央」で、腰のほぼ「ベルト線上」にある



★痛む位置が、背骨の「ほぼ中央(および2〜3p以内)」で、腰のほぼ「ベルト線上」の場合は、椎間関節性腰痛の可能性が高いように思われます。右図は、一側のみの痛みの場合です。、
★椎間関節性腰痛は椎間関節に障害に起因するもので、主に腰椎下部に発症することが多いようです。腰痛の原因の中でも、最も高頻度であるといわれています。いわゆる「ギックリ腰」も、この椎間関節の障害によるものが多いとされています。
★なお、椎間関節性変化の大きい、「姿勢性腰痛」および「変形性脊椎症」も、この項に含めました。

@ 椎間関節の構造の概略
A 椎間関節性腰痛(その1) 急性椎間関節性腰痛
B 椎間関節性腰痛(その2) 慢性椎間関節性腰痛
C 椎間関節性腰痛(その3) 姿勢性腰痛
D 椎間関節性腰痛(その4) 変形性脊椎症

※本項の作成に当たり、主に「診察法と治療法(1):出端昭男著、医道の日本社」から、図や記述を引用しました。詳細は、同書を参考にしてください。

@椎間関節の構造の概略


★腰椎は、5個の椎骨からなり、上下で6個の関節があります。この関節を、椎関関節といいます。椎関関節は、関節表面の軟骨、関節の滑りをよくする滑液、その滑液を入れる滑液包、関節の異常な運動を阻止する靱帯などで構成されています。 椎関関節性腰痛は、主に、これらの軟骨、滑液包、靱帯などが障害されたときに発症します。
★屈曲や伸展などの腰部の運動では、6個の椎関関節のうち、最下部のL5−S椎関関節(骨盤と最下部の腰椎)が運動の、ほぼ75%を行い、残りの25%を上位の椎関関節が行うとされています。
★従って、最も稼働する最下部のL5−S椎関関節が障害(=腰痛)を受けやすくなるわけです。このL5−S椎関関節の位置は、正確には、腰のベルト線よりやや(約2p)下方にありますが、本項では、理解を容易にするため、ほぼ腰のベルト線上としました。







A椎間関節性腰痛(その1) 急性椎間関節性腰痛


原 因
無意識の体位変換や重量物の挙上などで、椎関関節(多くは、L5−S椎関関節)に、捻挫や亜脱臼を起こすことがあります。すると、関節包や靱帯が過伸展され炎症や出血を起こしたり、時に関節軟骨が損傷したりして、急性の腰痛を発症します。
★ギックリ腰の原因では、この椎関関節障害が最も多いといわれています。
症 状
★腔のベルト線上あるいはやや下方で、背骨の中央寄りの痛みです。腰痛発症時から、激痛になることが多く、多くは前屈や後屈が困難となります。時に、発症時の痛みは軽微で、徐々に痛みが増悪することもあります。
★急性の場合、坐骨神経痛などの下肢の神経痛を認めることは少ないようです。
治 療
★痛みが強く増悪傾向の場合や下肢の神経痛を認める場合には、医師の診察を受けましょう。思わぬ障害(骨折など)が隠れているかもしれません。
★発症時で最も大切なことは安静冷却です。椎関関節性腰痛を始めとする脊椎性腰痛は、安静により徐々に痛みは軽減します。もし、全く軽減しなければ、別の病因を考えてみなければなりません。冷却は、冷湿布でもいいのですが、氷の方がより効果的な場合もあります。
鍼灸治療:症状が強く、安静や冷湿布で痛みが軽減しない場合は、鍼灸治療を検討するのも一方法です。鍼灸治療は、腰痛の主原因である、椎関関節の炎症を鎮静化します。




B椎間関節性腰痛(その2) 慢性椎間関節性腰痛


原 因
椎関関節は中高年になると加齢による変性が起こり、関節軟骨の表層が摩耗したり消失して、関節の適合性が悪くなってきます(人間の身体も機械と同じで、年をとると少しずつブッ壊れてきます)。
★この結果、関節を覆う関節包に機械的なストレスが加わり、関節包に異常緊張や炎症が生じる、関節症性変化(関節包が、肥厚し
て弾力性が減少し、断裂や出血が起こりやすい状態)が起こります。この病態が、椎関関節症といわれる状態で、慢性腰痛のもとです。
★中高年の人で、特に明確な誘因もなく、ギックリ腰を発症するのは、この関節症性変化が腰椎に生じているからです。
症 状
★関節症性変化が強い場合、疲労時に、腰椎下部に軽い鈍痛を認め、休息により痛みが軽減するという、軽度の鈍痛と緩解を操り返していることが多いようです。痛みの位置は、急性椎関関節性腰痛とほぼ同様で、ほぼ腰のベルト線上で、背骨の中央寄りの痛みです。また、慢性椎関関節性腰痛では、関連痛として、殿部や大腿後側に鈍痛が認められることがあります。
急性発症:軽度の鈍痛と緩解を操り返していることが多い本症でも、急性発症することがあります。この原因は、関節症性変化を生じている椎関関節に、軽微な外力が加わり、急性椎関関節性腰痛と同様な症状を呈する場合です。
予防と治療
★最も大切なことは、筋肉(腹筋と背筋)を鍛えることです。身体は骨だけで支えているわけではなく、筋肉と骨で支えています。腹筋や背筋などの筋力が低下していると、それだけ骨(腰椎や椎関関節)に負担がかかってしまいます。
★「腹八分目」という諺がありますが、重労働の持続は適度にしておきましょう。再生可能な骨も、重労働が過ぎれば、老化を早めてしまいます。特に、鈍痛が強い場合は、炎症が再燃していると考え、休息や治療も必要でしょう。
湿布:温湿布と冷湿布の張る時期についてはなかなか難しいようです。基本的には、慢性の時期では血液循環の改善のために温湿布、慢性の急性発症では炎症抑制のために冷湿布が適当でしょう。 もう一つの目安は、「温湿布あるいは冷湿布を患部に当てて、気持が良い方を張る」ことを試すのも良いかもしれません。
鍼灸治療:加齢による関節軟骨の変性は、避けられませんが、鍼灸治療は、腰痛の主原因である椎関関節の炎症を鎮静化します。症状が強く、安静や冷湿布で痛みが軽減しない場合は、鍼灸治療を検討するのも一方法です。慢性化していなければ、1回から数回の治療で治癒するととが多いようです。





C椎間関節性腰痛(その3) 姿勢性腰痛

原 因

★肥満の人をよく見ると、「背筋が伸びて、反った姿勢」になっています。肥満の人で、前屈みの人は見かけません。肥満の人では、腰背部の筋肉が、常に緊張して、腰椎の前弯が増強しています。また、電気工事で常に天井を向いている人、あるいは、体型的に凹円背(sway back)の人も、肥満の人と同様に、腰背部の筋肉が過緊張し、腰椎の前弯が増強しています。
★腰背部の筋肉の過緊張の持続で、筋肉に循環障害が発生して、筋性の腰痛を発症することもありますが、問題は、腰椎の前弯増強の持続で、椎関関節の噛み合わせがくるい、椎関関節がくい込んだ状態になり、椎関関節に障害が発生する、ということです。
症 状(腹が出て、お尻が後方に出ている人)
★腰椎に前弯増強が認められ、腰背部の筋肉が過緊張を起こしていることもあります。痛みの位置は、他の椎関関節性腰痛とほぼ同様で、ほぼ腰のベルト線上で、背骨の中央寄りの痛みです。筋肉の緊張が強い場合は、腰のベルト線より上方の筋肉性の痛みを認めることがあります。
★通常、腰部の痛みは、激痛は少なく慢性的な鈍痛あるいは重怠さを呈することが多いようです。時に、痛みは徐々に増悪したり、急性発症することもあります。
予防と治療
腹筋の強化:腹筋は骨盤前部に付着するので、腹筋の強化で骨盤が後屈し腰椎前弯が減少し、腰痛予防となります。湿布に関しては、慢性椎関関節症と同様です。
鍼灸治療:本性の予防には、腹筋の強化が基本ですが、腰痛の発症時には痛みを除去することが先決です。もし、冷湿布などで効果が弱ければ、鍼灸治療も良いかもしれません。、鍼灸治療は、腰痛の主原因である椎関関節の炎症を鎮静化します。症状が強く、安静や冷湿布で痛みが軽減しない場合は、鍼灸治療を検討するのも一方法です。1回の治療で治癒することはまれで、数回の治療で症状が軽減することが多いようです。





D椎間関節性腰痛(その4) 変形性脊椎症


原 因
過程1.加齢により椎間板が変性する:背骨を構成する椎骨や椎間板は、20才を過ぎた頃から、次第に老化の道をたどります。特に、椎間板では毛細血管が減少し、椎間板への栄養補給は悪化します。老化による変化が、特に大きいのが椎間板で、弾力性が失われ、身体の重みでつぶれてきます(その結果、誰でも、高齢になれば、若い頃より身長が短くなるのですが)。
年をとると、椎間板への栄養補給は悪化する

年  齢 0才 10才 20才 30才 70才
栄養補給 血  管 あり あり 減少 なし なし
リンパ管 あり あり あり あり あり
椎間板
水分量
髄  核 88% 80%↑ 80%↓ 70%
線維輪 78% 70%

過程2.関節軟骨の変性、骨棘や循環不全などが腰痛を引き起こす:加令や重労働により、椎間板の退行性変性が進行すると、椎関関節が互いに食い込み、関節軟骨が変性したり、骨棘(骨の突起)ができたり、周囲の循環不全を生じます。これらの関節軟骨の変性、骨棘や循環不全などが腰痛を引き起こします。
※腰椎の変性の実例:変形性脊椎症の一つ指標である骨棘は、50才では、男性で90%、女性で80%に認められるという報告もあります。しかし、この骨棘は、年齢だけでなく、重労働によっても発症します。右図の左は、41才男性で、元ラグビー選手のX線像で、著明な骨棘(腰椎の上下の出っ張り、矢印部分)を認めます。また、右は、91才の男性ですが、骨棘はさほど著明ではありません。激しいスポーツや重労働は、骨の老化を早めることが理解できます。

症 状
★中高年以降の徐々に発症した腰痛で、激しい痛みは少なく、慢性傾向を示します。変形性脊椎症の腰痛の75%は椎関関節障害が関与しているといわれていますが、痛みの位置は、他の椎関関節性腰痛ほぼ同じ位置で、腰のベルト線上かやや下方です。
朝の起床時の痛み夕方の疲労時の痛みが特徴的です。これは、腰椎周囲の循環障害が原因する、とされています。
坐骨神経痛 :椎間板の変性ともに、神経の出る椎関孔が狭くなると、神経は炎症を起こし、坐骨神経痛(下肢後側の痛み)などの下肢の神経痛を起こすことがあります。
予防と治療
★誰でも加齢により生じる変形性脊椎症を予防する積極的な妙案はありませんが、骨を強化する食材の摂取と適度な休息が大切です。なお、慢性時の鈍痛には、温湿布が効果的です。
鍼灸治療:鍼灸治療は、腰痛の主原因である椎関関節の炎症を鎮静化します。症状が強く、安静や冷湿布で痛みが軽減しない場合は、鍼灸治療を検討するのも一方法です。1回の治療で治癒することはまれで、数回の治療で症状が軽減することが多いようです。




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