Q 残業時間を規制したいのですが、何かいい方法はありませんか。
Q 給与の手当は少ないほうがいい」と聞きましたが、本当でしょうか。
Q みなし残業手当として毎月一定額を固定的に支給したいのですが、注意すべき事項はありますか。
Q 給料日前に緊急にお金がいるようになってしまいました。給料の前払いはできるのでしょうか。
Q 10分の遅刻をした場合、賃金から30分の勤怠控除をしてもかまいませんか。
Q 遅刻の多い社員に何らかのペナルティを与えたいのですが、注意すべき点はありますか。
Q 遅刻の多い社員に減給処分をしたいのですが、どの程度までできますか。
Q 住宅手当を廃止したいのですが、不利益変更になりますか。
Q 年俸制の社員の時間外の割増賃金はどのように計算すればいいのでしょうか。
Q 従業員への貸付金の残額を退職金から全額控除できますか。
Q 通勤手当を月額1,000円までは一律に社員に支払っています。この1,000円は割増賃金の算定基礎に算入しなければなりませんか。
Q 遅刻した労働者が残業した場合、残業手当の支給はどうなりますか。
Q 求人広告で掲載した賃金よりも安い賃金で採用を決めたいのですが、問題はないでしょうか?
Q 退職者から給料日前に支払請求がありました。応じる必要はあるのでしょうか?
Q 1日の労働時間が5時間、週の労働日数が5日(月〜金)のパート社員が土曜日に5時間の出勤をすることになりました。この場合、割増賃金を支払う必要はあるのでしょうか?
Q 解雇予告手当や減給制裁などの計算で使われる平均賃金はどのように計算するのでしょうか?
Q 当社の給料は月末締めの翌月末支給です。支給日が土日の場合、繰り上げることになっていますが、繰り下げることに変更可能でしょうか?
Q 交通費を支給する際、通勤手当として支給するのではなく、通勤定期を現物で支給することは可能でしょうか?
Q 始業時間9時、就業時間18時ですが残業をし、翌日の法定休日の8時まで勤務しました。この場合の割増賃金はどのような計算になるのでしょうか?
Q 当社の賃金は固定給と歩合給の合算で支払っています。この場合、割増賃金はどのように計算すればいいのでしょうか?
Q 当社は所定労働時間が7時間です。9時間の労働をした社員に対して2時間分の割増賃金を支払う必要があるのでしょうか?
Q 残業時間を規制したいのですが、何かいい方法はありませんか。
まず、残業が適正なものかどうかを確認する必要があります。業務の都合上やむを得ない場合でも規制してしまうと、多大な迷惑が顧客にかかってしまいます。問題となるのは、残業が不適正、つまり所定労働時間内で遂行できたにもかかわらず、残業をしている場合です。一般的な話ですが、事務職、企画職、営業職に多いようです。できる人とできない人との生産性が桁外れに大きいためと思います。
しかし、中には残業代稼ぎのために日中ダラダラ仕事をしている場合もあります。こうした残業をゼロにしなければ無駄な人件費をいつまでも垂れ流していることになります。これらの職種にはインプットではなくアウトプットで賃金の算定をしたいものです。よく見るのは残業が許可制になってないケースです。従業員の裁量にまかされていて、ひどい場合はタイムカードの横に鉛筆で小さく超過時間が記入してあるだけで、しかも明らかに時計の針が一定時間を指すまで待って打刻したというような場合です。これでは残業代は青天井で、まともな従業員でもつい魔が差してやってしまいそうです。許可願いを作成して、目的、時間、上司承認など一定の手続を経ることが必要です。
月間の目安となる残業時間を定めることも重要です。労働基準法では1ヶ月45時間を限度としています。そもそも残業の多い月が何ヶ月も続くと生産性は相当低下していると考えられます。生産性が低下して人件費が増えていては会社の利益は低迷するばかりです。(個人的な見解ですが、年中残業が多い人はどこかで手抜きしていると思います。)
変形労働時間制、フレックスタイム、裁量労働制などを活用することも必要です。仕事は毎日ハンコをついたようには進みません。山谷あります。それにあわせて所定労働時間が変動すれば、無駄な残業は発生しません。これらの制度の利用度が低い企業はまだまだあるようです。導入することで残業の削減が期待できます。
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Q 給与の手当は少ないほうがいい」と聞きましたが、本当でしょうか。
本当です。「傷の手当」、「病気の手当」・・・大きいのはよくないことです。給与の手当も同様で基本給を正常額とするなら、それを何らかの理由で補填するのが「手当」となります。ですから手当は少額で短期間の支給であるべきです。基本給に組み込むことができれば、そうしたほうが望ましいのです。(ただし、所定外給与の手当は別です。)
しかし、役職手当、資格手当、家族手当、住宅手当、通勤手当、精皆勤手当・・・多くの会社で手当が多数支給されています。中には手当がさらに細分化され、「役職手当1、役職手当2」とか・・・。なぜこんなに手当が多くなってしまったのでしょうか。これまで原因を機会あるごとに経営者の方々に伺ってみると、「基本給を上げたくない。なぜなら賞与、退職金に反映してしまうから」、「募集時に記載する賞与支給の基本給○ヶ月が多くなるから」などの回答が返ってきました。 賞与、退職金に反映してしまうのは、基本給と賞与、退職金が連動していることが原因でそれを断ち切ってやれば問題は解決します。後者の「募集時云々・・・」も見かけ倒しの記載で、そのために給与体系を歪めることはナンセンスとしか思えません。
今後の方向として、基本給の充実(職能給、業績給、職務給などの導入)のために手当を基本給に組み込むことが考えられます。これ以上手当の数、額を増やさないようにしましょう。そして、よく検討してどうしても廃止できない手当のみ残すべきです。廃止できなかったら金額を減らすことを考えましょう。賃金は年功主義から成果主義に移行することが望まれています。目的のはっきりしない手当、生活保障的手当、職務的手当の順で基本給に組み込むことを是非検討してください。
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Q みなし残業手当として毎月一定額を固定的に支給したいのですが、注意すべき事項はありますか。
事業場外労働、裁量労働として、労基法に基づく労使協定により当該業務の遂行に必要な時間を定めるとともに、その必要な時間に対応して毎月一定額の割増賃金を支払うものであれば、まず問題ありません。この場合、実際の時間外労働が労使協定による時間を上回っても、協定で定めた割増賃金を支払えば足ります。
よくあるケースは、上記のようなものではなく、固定的に残業手当決めて、それ以上は支払わないというものです。つまり、みなし残業手当は「上限」としているケースです。事業主側の言い分は、「残業がみなし額に達しなくても払う月があるのだから、多少オーバーしても両者を相殺すれば一緒だろう」というわけです。
しかし、賃金は毎月払いの原則がありますので、毎月決済する必要があり、上記のような言い分は認められません。つまり、固定的に支払うのはかまわないのですが、その額を超えるような残業をした場合は、その差額は支払わなければなりません。とすると、みなし残業手当として固定的に支払うことは、残業がなくても支払うわけですから、全体からみるとコスト増になるはずです。やはり、残業があった時間分だけ支払うのがコスト管理にはよさそうです。 もちろん、残業を青天井で認めてしまうことは、労使双方にとっていいことではありません。ただ、上限を金額で決めてしまうと、それ以上は払わないと受け取られやすいので注意しなければなりません。上限は目標値として「時間」で決めたほうがいいでしょう。たとえば、月間20時間としてそれを目標として業務をこなすといった内容です。もちろん、やむを得ず超えてしまった場合は残業手当を支払わなければなりません。
事務を簡略化するために固定的に支払うという場合もありますが、結局超えた場合に支払わなければならないので、残業時間は毎回チェックする必要があります。残業時間がわかれば、たいていあとの計算はパソコンがやるので、そんなに簡略化にはならないと思います。
ということで、「何のためにみなし残業手当を採用するのか」を検討して、当該目的が正当で達成することに意義があれば採用してもかまわないと思います。
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Q 給料日前に緊急にお金がいるようになってしまいました。給料の前払いはできるのでしょうか。
給料は一般的には1ヶ月に1度しか支給日はなく、それ以外の日に受け取ることはできません。しかし、万が一の緊急事態に対応するために「非常時払い」という制度があります。 これは給料の支給日前であっても緊急の事情があれば、社員は会社に対して給料の支払いを請求できるという制度です。 しかし、緊急の事情といっても何でもかんでも請求できるわけではありません。社員の収入によって生活を維持している人が次のような事項に該当したときに請求が可能となります。 1.出産 2.疾病 3.災害 4.結婚 5.死亡 6.やむをえない事由による1週間以上の帰郷
また、社員の収入によって生活を維持している人とは扶養している家族だけでなく、同居人であっても対象になります。逆に家族であっても、その社員とは別に独立して生活をしている人は対象外となるので注意してください。
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Q 10分の遅刻をした場合、賃金から30分の勤怠控除をしてもかまいませんか。
この場合、10分間は確実に労働の提供がなかったのですから、「ノーワーク・ノーペイの原則」にしたがって、10分間は控除できます。問題は残りの20分間の控除です。
賃金には「全額払いの原則」が労働基準法で定められており、これに反することは違法となります。しかし、この原則には例外があり、法令の別段の定めがあれば、一部を控除できます。源泉所得税や社会保険料は代表的な控除項目です。
法令の別段の定めには、労働基準法第91条の「減給の制裁」も該当します。その内容は「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と規定されています。つまり、20分間の控除をこの「減給の制裁」として取り扱うことによって、違法とはならないことになります。したがって、ご質問の勤怠控除は可能となります。
慣行として、実施している企業は多くあると思われますが、計算方法や趣旨をしっかりと就業規則に規定することが必要です。また、賞与でまとめて控除することも妥当な方法と思います。その場合は賞与額の10分の1を限度として減給総額が認められますので、月給の場合のそれより高くなります。
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Q 遅刻の多い社員に何らかのペナルティを与えたいのですが、注意すべき点はありますか。
ペナルティを与えることの目的は、「遅刻をしないように」と注意を促すためと思います。したがって、ペナルティがなくてもこのようなことがなくなれば目的は達成できたことになると思います。本来は口頭などの注意でなくしたいものです。
遅刻が多い場合、それを容認してしまう企業風土に問題がある場合があります。「遅刻しても叱られない、何も言われない、上司も遅刻する・・・」など。遅刻は組織の運営にとってあってはならないことです。遅刻したら必ず書面で理由を書かせ上司に届け出るといった慣習が必要です。まずはこうした慣習から始めてはどうでしょうか。
次にペナルティを与える場合ですが、考えられるのは減給です。ただし、労働基準法で「減給制裁の制限」を設けているのでこれに抵触しないようにしなければなりません。30分単位、15分単位で遅刻時間分だけ減給しているケースはよく見かけます。
「精皆勤手当」のカットもあります。「遅刻3回で○○円減給」というようなやり方です。しかし、賃金制度上「精皆勤手当」は廃止することが望まれていますので、あまりいいやり方と思われません。また、遅刻3回で○○円減給とすると、2回までは会社が遅刻を認めているようなニュアンスもあるので望ましくありません。
賞与における勤怠の反映は妥当性があると思われます。半期を集計して「遅刻の多い者は賞与カット」とすれば、月例給与と異なり賞与なのでそのペナルティの大きさも会社の判断するところとなります。賞与の本来の支給趣旨からしても勤怠を反映させることは問題ないと思います。
ペナルティと同時に「遅刻できない企業風土」を作り上げることが重要です。
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Q 遅刻の多い社員に減給処分をしたいのですが、どの程度までできますか。
労働基準法第91条は「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と規定しています。
「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」とは、1回の制裁事案に対して減給額が平均賃金の1日分の半額以内でなければならないことを意味します。この減給額を何回にもわたって減給できるという意味ではありません。
また、「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは、1賃金支払期に発生した数事案に対する減給総額が当該賃金支払期における賃金の10分の1以内でなければならないことを意味します。つまり、減給総額が多額にわたる場合でも1賃金支払期における減給は10分の1以内にとどめなければなりません。これを超える場合は、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばさなければならないと考えられます(厚生労働省労基局編著「労働基準法コンメンタール下」)。
例えば、平均賃金が8,000円とすると、1回の減給額は4,000円が限度です。10回減給に該当すると、10回×4,000円で40,000円まで減給できます。月給が20万とすると、20,000円が減給の限度なので、これを超える部分は翌月分から控除となります。
減給の対象となる事犯は、遅刻であろうと、交通事故であろうと1回と評価されます。これは、労働の結果発生した賃金債権を減額するものであることから、その額が多額になると労働者の生活を脅かすおそれがあるためです。事犯について処分に差をつけるとしたら、出勤停止、懲戒解雇などの処分を行うほうが妥当となります。
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Q 住宅手当を廃止したいのですが、不利益変更になりますか。
住宅手当のような生活保障をカバーする属人的手当は、年功主義賃金の下では矛盾なく存在したのですが、能力主義・業績主義賃金の下では矛盾が指摘されます。つまり、賃金体系を能力・業績主義に変更したのに、属人的手当があるために賃金総額で能力の低い人のほうが高い人を上回る場合があるということです。したがって、賃金体系見直しに際しては廃止、縮小が検討されます。ただし、賃金体系に一部生活保障部分を残すという考えもあるので、賃金制度全体の改定方針を決める必要があります。
この場合、一般的にとる方法は、住宅手当の廃止、縮小に応じた金額分を基本給またはその他の手当に吸収させる方法です。この方法なら既得権は守られ、以後入社する人について住宅手当は支給されないということになります。制度改定以後に入社する人は、制度改定以前入社の人と比べると不利になるかもしれませんが、住宅手当がないことを承知で入社するのですから何ら法的な問題は生じません。
しかし、住宅手当の廃止、縮小に応じた金額分を実際に減額するとなると、不利益変更の問題は発生します。特に生活保障的な支給に関しては既得権が強いので、どうしても減額が必要なら、支給対象者に個別に同意をとるくらいの準備が必要です。こうした減額は、賃金体系の変更に際して生じることが多いので、その変更によって新たに従業員に発生するメリットを説明、従業員の疑問や質問に十分に聞くなど理解を得る努力をしなければなりません。また、少なくとも2年〜3年の移行期間を設けて、従業員の生活に与える影響を軽減する措置が必要です。
住宅手当に限らず、他の手当なども同様で、こうした不利益変更への対処方法は共通しています。十分な説明をしたにもかかわらず、どうしても全員の同意は得られないこともありますが、その場合は大半の同意が得られたかどうか客観的に判断して変更を実施します。
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Q 年俸制の社員の時間外の割増賃金はどのように計算すればいいのでしょうか。
年俸制を導入すると時間外の割増賃金を支給しなくても良いと考える企業が多くあるようですが、管理監督者や裁量労働適用者の場合を除いて、時間外の割増賃金を支払う必要があります。 では、時間外の割増賃金はどのように計算したらいいのでしょうか。 この場合、注意すべき点は下記のようになります。
@ 賞与の金額があらかじめ確定している場合 時間外の割増賃金の算定にあたって、「賞与」は除かれますが、労働基準法上での「賞与」とは支給額があらかじめ確定していないものをいい、年俸制において賞与分があらかじめ確定している場合は、これに該当しません。ですから、時間外の割増賃金は賞与部分を含めた年俸額の12分の1を基礎として計算することになります。
A 時間外の割増賃金相当部分を含めて年俸額を決定している場合
まず、時間外の割増賃金相当分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別しなければいけません。そして実際の時間外勤務に対応する時間外の割増賃金額が、定額で支給されている時間外の割増賃金相当分を上回る月があった場合は差額をその月の支給額に追加して支払わなければなりません。これは労働基準法で賃金は、毎月1回以上、一定の期日に、その全額を支払うものと決められているからです。
また、これらは時間外の割増賃金だけでなく、休日や深夜の割増賃金についても当てはまるので、年俸制を導入するときには注意が必要です。
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Q 従業員への貸付金の残額を退職金から全額控除できますか。
労働基準法第24条は、「賃金は、その全額を支払わなければならない」として、全額払いの原則を示しています。この賃金には退職金も含まれると解されます。したがって、退職金から控除して支払うことは原則禁止です。しかし、所得税など法令にもとづくもの、労使協定で定める項目については控除できます。したがって、まず貸付金の残額を退職金から控除する趣旨の協定を結ぶ必要があります。
ところで、控除する額には限度はないのでしょうか。労働基準法第24条は、「控除して支払うことができる」とだけしており、控除限度額は設けていません。したがって、「控除される金額が賃金額の一部である限り、控除額についての限度はない」とされています。
ところが、民事執行法第152条は、毎月の賃金や賞与については、その額の4分の3に相当する部分(その額が政令で定める額、現在21万円を超えるときは当該額)について差し押さえを禁じ、退職金については4分の3に相当する部分について差し押さえを禁じています。さらに、民法第510条は「債権が差し押さえを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない」としています。この場合、債権は賃金であり、債務者は使用者、債権者は労働者なので、使用者は労働者に対し相殺することはできないとなります。
したがって、例えば、退職金が1000万円で、貸付金残高が600万とすると、 1000万円×1/4=250万円 については相殺できますが、残りの4分の3である750万円は労働者に支払わなければならないことになります。750万円支払ってから残りの貸付金350万円を回収することになります。
以上は、控除が「相殺」することにより行われる場合です。相殺は、債務者が債権者に対して債権を有する場合に、債権と債務を消滅させる意思表示です。それは、単独行為として相手方の承諾の有無に関係なく一方的な意思表示となります。
とすると、一方的な意思表示でなく、両者合意の下に契約して差し引き計算することは、上記の「相殺」に該当しないことになります。上記で述べた民法上禁止している趣旨は、債権者の意思に反する債権の消滅を禁ずるものであるのですから債権者自ら契約によって相殺することは妨げないことになります。
また、労働基準法第17条は「前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」とありますが、これも、貸付金が労働することを条件とする前貸の債権に該当しない限り、第17条には抵触しません。
以上から、労使協定に「貸付金の残額を退職金から控除する」旨の項目があり、かつ、「当事者と契約」を結んで相殺すれば、支払額の4分の1を超えて控除しても差し支えないことになります。
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Q 通勤手当を月額1,000円までは一律に社員に支払っています。この1,000円は割増賃金の算定基礎に算入しなければなりませんか。
労働基準法第37条では、「・・・家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない」とあります。
しかし、ここでいっている「通勤手当」は労働者の通勤距離または通勤に要する実際費用に応じて算定される手当と解されます。したがって、1,000円までは距離にかかわらず一律に支給する場合には、実際距離によらない1,000円は労基法第37条での通勤手当ではありません。割増賃金の算定基礎に算入しなければなりません。
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Q 遅刻した労働者が残業した場合、残業手当の支給はどうなりますか。
例えば、9時始業、18時終業、途中1時間休憩の場合を考えてみましょう。1時間遅刻して、1時間残業したとすると、考えられる支給方法として、 @ 1時間の時間給×1.25を支給する。 A 1時間の遅刻控除、1時間の時間給×1.25を支給。結局、0.25の割増分だけ支給する。 B 始業時間、終業時間が1時間ずれ込んだだけなので、特に支給しない。 が考えられます。
@は法令違反ではないですが、遅刻の控除がないので、一般的ではありません。Aは割増分だけ支給しますが、労働基準法の時間外労働は週40時間、1日につき8時間を超えて労働した場合を時間外労働としています。したがって、1日8時間を超えていないので割増分を支払わなくても法令違反ではありません。とすると、Bであっても法令上問題ないとなります。
まとめると、週40時間、1日8時間を超えるかどうかが時間外労働の判別の基準となり、終業時刻を超えたかどうかは関係ないことになります。
そこで1つ疑問が起こるのですが、例えば、半日有給休暇で午前中休んで、午後から出社した場合、終業時刻を過ぎて労働したことに対して、時間外労働の対象となるかどうか。半日有給休暇を労働時間とみなせば、1日8時間を超えたとなり、残業支給と考えられます。ポイントは半日有給休暇を労働時間とみなすかどうかですが、法令が想定しているのは、実労働と思います。したがって、労働の提供のない有給休暇は、実労働ではないので、労働時間とみなすことは不可能と考えられます。
ところが、某労基署にこの件を問い合わせたところ、「出来る限り割増支給してください」と指導しているという回答で、非常におどろきました。1日有給休暇で休んで、終業後何らかの必要があって業務に就いた場合、そこからの労働はすべて割増支給となってしまいます。それに、労働者が意図的に半休を有給休暇で取得して、午後出勤、終業時刻超勤務を繰り返せば、相当な割増支給になってしまうことも起こりえます。
本ページにおいては、以上のような見解を示しましたが、半日有給休暇と終業時刻超勤務の関係については、所轄労基署に問い合わせて確認をとることが必要と思います。
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Q 求人広告で掲載した賃金よりも安い賃金で採用を決めたいのですが、問題はないでしょうか?
雇用契約とは、双務・諾成契約で、当事者の双方の意思表示合致で成立する契約です。
求人広告などを利用して募集する行為は、法的には「労働契約申し込みの誘引」と考えられます。 そして、広告を見て、求職者が応募をする行為は、「契約の申し込み」となります。 求職者が応募をしてきた時点では、意思表示が合致しているとは言えず、雇用契約は結ばれたことにはなりません。「雇用契約」は、契約の申し込みを受けた会社が、面接をし、採用を決定し、求職者が就職の意思表示をした時点で成立します。 求人広告に掲載された賃金は、「雇用契約」を結ぶ前の労働条件であり確定したものではないので、そのとおり雇い入れる必要はないのです。
判例を見ても、「採用面接で広告の賃金額と異なる合意があれば、労働者を保護する特別の事情がないかぎり、その合意に従って賃金額が決定される」とあり、面接で合意した条件と掲載賃金が異なっていても問題がないとされています。
しかし、見込み額だといっても、掲載賃金よりも著しく下回る賃金で雇い入れることは、「信義誠実の原則」に反し、許されない可能性が高いです。
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Q 退職者から給料日前に支払請求がありました。応じる必要はあるのでしょうか?
給料は原則、給与規程で定めた日に支払うこととなります。 しかし、労働基準法には、次のような条文が定められています。 「労働者が死亡または退職した場合、権利者から請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、・・・」(23条)
就業規則は、法令に反してはいけないため、給与規程より労働基準法の定めに従わなければいけません。
つまり、退職者から請求があれば、7日以内に支払う必要があるため、給料日前に支払う必要も出てきます。 ただし、請求がなければ給与規程で定めた支払日に支払うことになるため、必ずしも退職者全員に対して7日以内に支払わなければならないというものではありません。
給料ではこのような条文がありますが、退職金はこの措置には含まれないため、退職金規程に定められた日に支払えばよいことになります。
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Q 1日の労働時間が5時間、週の労働日数が5日(月〜金)のパート社員が土曜日に5時間の出勤をすることになりました。この場合、割増賃金を支払う必要はあるのでしょうか?
労働基準法では、法定労働時間は週40時間、1日8時間と決められています。この時間を超えると、2割5分の割増賃金の支払いが必要です。 また、法定休日は週1日、もしくは1ヶ月に4日を与えなければならないことになっています。この休日に出勤をした場合は、3割5分の割増賃金の支払いが必要になります。
今回の場合、日曜日が休みということで、週1日にの法定休日は取れており、休日出勤の割増賃金は該当しません。また、1日の労働時間が5時間で月〜土までの労働となり、週30時間労働となるため、法定労働時間内の労働になります。そのため時間外の割増賃金にも該当しません。
ですから、通常の時間給で30時間分の給与を支給することになり、割増賃金の支払いは不要となります。
もし、1日の労働時間が7時間のパート社員であれば、土曜日の出勤も含めると42時間労働になるため、2時間分が割増賃金の対象になります。
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Q 解雇予告手当や減給制裁などの計算で使われる平均賃金はどのように計算するのでしょうか?
平均賃金の計算は、原則、算定すべき事由が発生した日以前の3ヶ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の日数で割った金額をいいます。 ここでいう賃金総額は、原則として、算定期間中に支払われる賃金の全てを含みます。たとえば通勤手当、有給休暇の賃金、残業手当なども含むことになります。また6ヶ月の通勤定期などについては、1ヶ月に支払われたものとして計算することになります。 しかし例外として賃金総額に含まれないものもあります。 1.臨時に支払われた賃金(私傷病手当、退職金、見舞金等) 2.3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(夏、冬の賞与等) 3.特別に法令や労働協約で定められていない現物給与
1ヶ月前:月給20万円で通勤手当5千円、残業手当が1万5千円 日数31日 2ヶ月前:月給20万円で通勤手当5千円、残業手当が5千円 日数30日 3ヶ月前:月給20万円で通勤手当5千円、残業手当が1万円 日数31日
たとえば、上記のような場合、平均賃金を計算すると、 賃金総額が645,000円。日数が92日となるため、645,000円÷92日=7010.869・・・円となります。 銭未満は切り捨てとなりますので、7010.86円がこの場合の平均賃金となります。
また、この算定期間の出勤日数が少ないために平均賃金が著しく少なくなることも考えられます。
このような場合は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で割った額の100分の60の金額が最低保障とされ、この最低保障と上記で計算した平均賃金と比較して高いほうを平均賃金とすることになります。
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Q 当社の給料は月末締めの翌月末支給です。支給日が土日の場合、繰り上げることになっていますが、繰り下げることに変更可能でしょうか?
賃金には「賃金支払の5原則」があります。
その中の「一定期日払の原則」と「毎月1回以上払の原則」が問題になります。
「一定期日払の原則」では、例外として、所定支給日が休日に当る場合は、支給日を繰り上げる、又は繰り下げることを定めることは違反しないとされています。
しかし、「毎月1回以上払の原則」には違反する可能性があります。
例えば、月末が日曜日の場合です。支給日を繰り下げることにすると、支給日は翌月の1日になってしまいます。そうなると当月の給料支給がないことになるため、「毎月1回以上払の原則」に違反することになります。
ですから、月末支給の場合、支給日が土日の場合、繰り上げることは可能ですが、繰り下げることはできないことになります。
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Q 交通費を支給する際、通勤手当として支給するのではなく、通勤定期を現物で支給することは可能でしょうか?
現物支給することは可能です。賃金支払の5原則の通貨払の原則の例外として認められています。
しかし、通勤手当を現物支給するためには、労働協約で定めがある場合のみに限られています。ですから、労働組合がない場合は現物支給することはできませんし、労使協定で定めた場合も認められないため注意が必要です。
また、労働協約で定めたとしても、その労働協約の適用を受けるのは、組合員に限られるため、組合員以外の従業員に現物支給することはできません。
以上のとおり、通勤定期を現物支給することができない場合が出てきてしまいます。
このような場合は、通勤手当として現金支給するほかありません。
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Q 始業時間9時、就業時間18時ですが残業をし、翌日の法定休日の8時まで勤務しました。この場合の割増賃金はどのような計算になるのでしょうか?
まず、9時〜18時の間に1時間の休憩時間があることを前提に説明します。
所定労働時間が8時間となるため、18時以降の労働については残業手当として割増賃金が支払われます。
次に22時以降翌日5時までの労働についても深夜勤務の割増賃金が支払われることになります。
問題は、法定休日の割増賃金をいつから支払うことになるかです。
休日の起算は原則として暦日によるものとされています。そのため、休日労働に係る割増賃金は、法定休日の午前0時から支払うことになります。
以上をまとめますと、割増賃金は、
18時〜22時 ・・・ 2割5分増
22時〜24時 ・・・ 5割増
24時〜5時 ・・・ 6割増
5時〜8時 ・・・ 3割5分増
にて計算することになります。
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