■ 20091121/新曲についてスージー氏大いに語る(8)
待望のスージー鈴木の新曲がまたまたまた発表された。題して《おねがいタイムマシン!》 。
―――加藤和彦の追悼?
そうです。ここ にも書いたように、いやあからさまには書いてませんが、とてもショックだったわけです。なぜならミカバンドの『黒船』は『風街ろまん』の次によく聴いたアルバム で、もうほんとうに一時期、加藤和彦氏のことを考えつづけて生きていたころがあったわけでして。
―――言うまでもなく《タイムマシンにおねがい》のパロディですね。スージーさんのフェイバリット?
いえ、ミカバンドのフェイバリットは、ぜったいにぜったいに《塀までひとっとび》。それもロンドン公演の英語バージョン、《suki suki suki》。94年にはバンドでカバーもしましたし。でもね、弾けないですよ、あれは。後藤次利のベース、すごすぎる。ま、それ以前にいま、うちのベースの弦切れてるし。
―――加藤和彦氏の魅力をひとことでいえば?
アイデアマン。音楽を音楽だけで捉えずに、ファッションや食などのクロス・カルチャーの中で捉えられるめずらしい人。だからミュージシャンズ・ミュージシャン的なことを追悼で言ってる人が多かったけど、あれ違うと思う。そんな人じゃない。
―――今回、録音してみてどうでした?
やっぱり原曲の音作りがすごい。演奏もさることながら、録音がいいですね。クリス・トーマスの手腕かなぁ。ドラムの音とか、日本のスタジオでの録音とは思えない。うちのポンコツ8chでいっしょうけんめい、あの音を再現しようとがんばりましたが……
―――加藤和彦のオールタイム・フェイバリットは?
うーむ。安直に聞こえるかも知れないけれど《あの素晴らしい愛をもう一度》かな? あの曲はイントロがとてもいいんですよねー。アコースティックギターの音圧。どうやって録音したんだろう? あ、YUKI(岡崎友紀)の《DO YOU REMEMBER ME?》もよろしい。いずれにしても、シンガー、作曲家、プレイヤーというよりも、音楽を通じて、ある価値観、時代の空気を作ってる感じが、彼の真骨頂かと。
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おねがいタイムマシン!
作詞・作曲:スージー鈴木
さあ 暗い時代からめくるめく過去へ
さあ はやく逃げるようにスウィッチをまわせ
後楽園はすしづめ
ベーブルースのホームラン
モダンボーイがよろこび
銀座は華のパレード
タイムマシンに飛び乗れ
さあ 夢に満たされたすてきな歴史へ
さあ すべてを忘れてすぐにとびのれば
博多の粋な獅子たち
ダイナミックな三連覇
自由と誇り溢れて
歓声にわくよ平和台
タイムマシンに今すぐ
好きな時代に行けるよ
時間のフェンスをひとっとび
好きな時代に行けるよ
あの伝説のゲームまで
タイムマシンに 飛び乗れ
さあ 暗い時代からめくるめく過去へ
さあ はやく逃げるようにスウィッチをまわせ
バックスクリーン三発
狂喜乱舞の道頓堀
浜風 派手に吹き荒れ
縦縞 浪速 エクスタシー
タイムマシンに 飛び乗れ
タイムマシンに いますぐ
タイムマシンに 飛び乗れ
タイムマシンに いますぐ
タイムマシンに 飛び乗れ
タイムマシンに いますぐ
タイムマシンに 飛び乗れ
タイムマシンに いますぐ
タイム!
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―――では、最後に、天国の加藤和彦さんにメッセージを。
天国で、最高級のワインで泥酔して、「出て行けー」と怒られて、また地上に落ちてこないでしょうか? あ、確か一時、細野晴臣ってミカバンドにいたんですよね。トノバン=ハリーの1947年生まれ同期セッションが見たい……
というわけで、新曲を発表したスージー鈴木氏への単独インタビューをお届けした。次回の新曲も待ち遠しいところである(編集部)
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■ 20091115/賢介、ブッシュを撃て!!
まったく知らなかったが、「賢介、ブッシュを撃て!!」 というタイトルの抗議行動があったらしい。
日本シリーズ第3戦で始球式をつとめたブッシュ元大統領。その来日に合わせて上記タイトルの抗議行動が行われたらしい。始球式のときの打者は日ハムの一番バッター、田中賢介。始球式のボールを、ブッシュめがけて打って(撃って)しまえ!ということだろう。
なんとポップなタイトル! 世の中に対する疑義申し立ては、これくらいポップじゃなきゃいけないんだよ、千葉ロッテ応援団 諸君。
さて、ワタシはかねてから述べているように、アメリカ嫌いです。昔、『週刊ベースボール』にこんな原稿を書きました。
『Jackie Robinson: Stealing Home (A Musical Tribute)』
「アメリカの野球と音楽は大好きだ。でもアメリカという国は大嫌いだ」・・・というと必ず
怪訝な顔をされるのだが。
物騒なことを書くが、基本的にアメリカは白人の国であり、戦争の国だと思う。
白人が黒人を奴隷として扱ってきた国。「有色人種」が先住していた北米大陸、ハワイを収奪し続け、さらに今でも(発見すらできなかった)「大量破壊兵器」にイチャモンをつけてイラクを攻撃する国。
実は、野球と音楽は、このような真実を覆い隠し、「自由と平和のアメリカ」というイメージを醸成させる「装置」として機能しているのだ。
様々な国からの選手が平等に競っている野球・・・自由だ! 黒人のビートが席巻している音楽シーン・・・平和だ!
野球と音楽が「装置」となっていることと同時に、「装置」自体の発生からまだ日が浅いことも知っておくべきだと思う。
来年(註:2007年)は、ジャッキー・ロビンソンが黒人初のメジャー選手としてデビューしてから60周年。黒人と白人混成ということがとても驚かれたスライ&ファミリーストーンの結成から40周年。
アメリカの野球と音楽で、白人と黒人の融合が示されたのは、たった数十年前の話なのだ。
ジャッキーのメジャーデビュー50周年を記念して97年に発売されたCD。様々な黒人音楽が入っているが、光るのはやはりスライの名曲『スタンド!』。
「アメリカの野球と音楽は大好きだ。特に人種の壁を超える”プレー”は、大好きだ」
野球ファンは、未だにメジャーリーグ、ひいてはアメリカを、盲目的に崇拝するきらいがあって、ワタシはそれを不愉快に思う。長打力はともかく、とくに内野守備なんかはぜったいに日本の方が上だ。荒木・井端は、メジャーでも最強の二遊間になれる。
噂を聞くかぎり、ブッシュの始球式は好意的に受け取られたようだ。さらには、ブッシュといっしょに観戦していた小泉純一郎には「みんな手を振って大盛り上がり」 だったそうだ。
なんで遠い国で起きたサブプライムローン問題がここまで日本が貧しくならなきゃいけないんだよ? その背景には、アメリカべったり、アメリカ様々の経済政策がある。
首からセキュリティカードぶらさげて、東京のオフィス街を闊歩する白人サラリーマンのあの多さを見よ。彼らを手放しで迎え入れてきたこの10年。
そして、それを推進した、ブッシュと小泉純一郎。
なーんだ。野球は、この国でも「自由と平和の日本」というイメージを醸成させる「装置」として機能しているのか。
「有色人種はつぶせ 都合よくルール作れ 自分のミスは認めず それがアメリカ魂」
(ザ・ハイロウズ《アメリカ魂》 作詞:真島昌利 アルバム『angel beetle 』より)
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■ 20091108/もうひとりの「のぶひこ」氏に励まされる。
ダイノジ大谷ノブ彦さんのブログ。ここまで褒められれば応えざるを得ません(「スージー鈴木さんからメールがきた!!」 参照)。自慢を通り越して恐縮です。というわけで、そうとう久々の連日更新。
ということもあり、改めて氏のブログのアーカイブを読んでいけば興味深い記事 が。
僕のユニコーンベスト 「車も電話もないけれど」 ・一番いい曲
あら。これはスージー鈴木のベストと同じじゃないですか!(ウソではありません。この記事 参照) ユニコーン・ファン多しといえど、《車も電話もないけれど》をベストとする派閥はせいぜい5%程度でしょう(笑)
一介の無名ライター&サラリーマンが、M-1のファイナリストと通じることが出来る。《車も電話もないけれど》を通して、一発で分かり合える。インターネットって素晴らしい。
ネットを通じて大滝詠一氏とメールをやりとりし、挙げ句の果てに12年前、大滝氏のラジオ番組に生出演したときの感動 が、いままた甦ります。大滝氏……あっ、この方も「ダイノジ」だ。
小林「信彦」を目指して書きつづけてきたこの日記。もうひとりの「ノブ彦」氏に、実際に読まれているこの日記。気合い入れて書きつづけないと。
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■ 20091107/とてもつまらなかった日本シリーズ。
今さっき終わりました。日本シリーズ。ひさびさの凡戦ならぬ凡シリーズ。個人的には2004年の西武=中日以来の手応えのなさ。
巨人、北海道日本ハムという、(いまや)常勝チーム同士のカードということも大きいのですが(巨人=東北楽天だったら…と考えてみられよ)、それ以上の戦犯がいると感じました。
東京ドーム。
そうです。狭すぎるのです。wikipedia によれば左右中間が110 m。これ一説には藤井寺球場と同じ。
だから、第3〜5戦の「空中戦」がその名に反してちっともダイナミックな打撃戦に見えなかった。そりゃ、イ・スンヨプの一発など、数本は特大の本塁打があったけど、それ以外のフェンスギリギリの一打なんて、ほんとうにショボい。
わたしのようなテレビ観戦の「見巧者」は、打った瞬間の角度と音で、本塁打かどうかを判断できる。しかし本シリーズの「東京ドームラン」の大半は、インパクトの瞬間、「あ、外野フライか」と思ったもの。
日本最高の頂上決戦。その勝敗が、そんな「ドームラン」によって決するとしたら、あまりになさけない。
今すぐ改修工事で、左右中間をひろげてほしい。あと、できるものなら、ついでにあの、うすぎたなく辛気くさい白い屋根も変えてほしいものです。デーゲームのとき、あの屋根を見ていると暗澹たる気持ちになるし。
今季、東京ドーム、巨人対東京ヤクルト。ヤクルトが9回裏二死まで抑えたあとに小笠原の「天井直撃」のヒットで同点に。その後にヤクルトの先発、ユウキが言った(らしい)ひとこと―――「あんなの野球じゃない……人の人生何だと思っているんだ」(検索しても記事見つからずウロ覚えで書きますが)
まぁ、屋根の問題はひとまず措くとしても、狭さゆえに必然的に「空中戦」になってしまう野球、否、「屋球」も、「あんなの野球じゃねぇよ!」。
ただ、日ハム小谷野と巨人坂本の守備は、ほんとうにホレボレした。それだけが今回のシリーズのいい印象点。あと、ダルビッシュが下手に再登板しなくてよかった。ケガが悪化して、来季彼のピッチングが見られなくなったら残念だもの。
というわけで、シーズン完全終了。お疲れまでした、オレ。
追記:ダイノジ大谷ノブ彦さんのブログで取り上げられました。ありがたいことです。コチラ を。
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■ 20091031/ビートルズはやっぱり最高だ。
リマスター盤発売を契機に、ビートルズの謎をたどる旅もいよいよ最終章。沢木耕太郎がポルトガルの浜辺で旅の終わりを感じたように(『深夜特急』より)、今回、旅の終わりをワタシに突きつけた本はこれだ。
いわゆる「リマスター便乗本」の中で最高峰。もう、ほんとうにいろんなことがよく分かる。リミックスとリマスターの違いから、今回のリマスターが作られた経緯、あと、別に興味はないが、パティ・ボイドのインタビューまで(!!)、おなかいっぱいになる一冊。
今回、ビートルズ関連の本をいっぱい読んで、ビートルズのことをいっぱいいっぱい考えて、出た結論は、あまりに浅はかで薄っぺらいもの。「ビートルズはやっぱり最高だ。」
おもしろいからもっと続けてみる。「ビートルズはやっぱり最高。とくに『アビイ・ロード』は最高だ。『サージェント・ペパーズ』もすごすぎる。ポールのベースは上手すぎるな。ジョンのボーカルもなんて上手いんだろう。」……もうほんとうにアホの子の独り言みたいだが。
「アホの子の独り言」は、やっぱりアホみたいだから、若いころには、ストーンズとか、レッド・ツェッペリンとか、ちょっと賢く見えるバンドの音に傾いたこともある。たしかにそれなりにいいものもあったが、決定的ではなかった。心の中ではやっぱり『アビイ・ロード』がいちばんだった。
もう年も取ったし、アホならアホで結構。音楽も、野球も、お笑いも、いちばん好きなものを堂々と表明して生きていきたい。ビートルズと、千葉ロッテマリーンズと、ますだおかだでごはんは何杯でも食えるぞ。ワタシは。
ポールよりも上手いベーシストはたくさんいるだろう。ジョンよりも歌が上手いシンガーもキラ星のごとくいる。ただし「リマスター便乗本」を読んで確信したのは、ビートルズほど、自由に、奔放に音作りをしたバンドはいない。ビートルズに比べたら、ツェッペリンなんて様式美だ。ストーンズなんて、単なるパロディ・バンドだ。
で、便乗本、実は読めば読むほど新たな謎が広がっていくのである。それは、彼らが結局、単なる思いつきでいろいろやっているからだ。
1958年の日本シリーズ、西鉄の稲尾が、巨人の長嶋の狙い球が分からず痛打される。その夜稲尾は真実をひらめく。「長嶋は狙い球どころか、いっさい何も考えずに打席に立っているのではないか」。そしたら、ということで稲尾も何も考えず投げたら、長嶋を抑えることが出来た、という話がある。
今ワタシは、この心境に近い。もう謎は謎のままで放置しておこう。ただビートルズの音に任せて聞いていればいい。ビートルズといっしょに死ぬまで生きていく。棺桶には『アビイ・ロード』。そんな気分だ。
というわけで、結局『アビイ・ロード』と『サージェント・ペパーズ』以外のリマスター盤はまだ買っていない。買いたくなったら買うさ。それよりもこの本をもう一度アタマから読んでみようと思う。
(翌日追記)あ、こんな気分のことを歌ったのが《Only a Northern Song》 (たかがビートルズの歌じゃないか)なのか!
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■ 20091025/アトランダム。
パ・リーグのクライマックス・シリーズ最終戦。8回裏、楽天絶体絶命の場面、負ければこの試合が楽天監督として最後の采配となる野村克也が、バッテリーを岩隈=藤井に変えた。この2人、ハンサムとブサイクという違いはあれど、両方とも近鉄出身で、つまり敵将、梨田の教え子ということになる。結果はスレッジに決定的なスリーランを浴びたが、この瞬間、日本ハム対楽天が、近鉄対近鉄に変わった。ご参考=佐野正幸氏「完璧に『近鉄』の試合でした。」
加藤和彦、長年うつ病を患っていたことと、金銭難だったことも語られはじめた。前者は知らなかったが、後者はなんとなくそうではないかと思っていた。それ以前に加藤和彦=リッチという偶像が、安易に語られすぎていたと思う。また、うつ病と金銭難という前提があるのであれば、前回原稿に少し手を入れたくなってくる。掲示板の「ニール・オールド」さんのご意見もあり(ありがとうございます)、「ミカエラバンド」や「和幸」の音楽に対する主観的評価はまったく変わらないものの、加藤和彦のことをもう少し冷静に考えてみたいと思う。ご参考=日刊サイゾー「うつ病、多額の借金も......加藤和彦自殺でJポップ界に広がる老後不安」
その他ランダムに。新大阪でとてもディープな野球話に花が咲いた。新幹線の最終がこんなにうらめしく思ったのは初めて。YUIの《It’s all too much》 という曲がいい。NHK『ウェルかめ』のテーマソング。aikoは歌が上手いのにメロディがダメ。どこがサビなんだ? 巨人対日本ハムの日本シリーズ、ネーミング決定!……『モナ岡シリーズ』。
夏川りみ、つま恋サマーピクニック《Amazing Grace》。2009年の日本でいちばん歌が上手い歌手。《Amazing Grace》を歌うのは免許制にしたほうがいい。中島美嘉の同曲を発売禁止にしたくなる。
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■ 20091017/「一番背の高い日本人」のこと。
「モーレツからビューティフルへ。」―――1970年、富士ゼロックスの伝説のCMを、大学や研修など、教育的な現場で必ず見せる。そのCMの中で、「beautiful」という紙を持ち、イカれた格好で銀座を歩いている男が彼だ。
1970年という時代の転換点。その時代のもっとも先鋭的な部分を表現したこの映像。これはまた、彼が、これから時代の寵児としてぎらぎらと輝くという狼煙でもあった。
と書くと、サディスティック・ミカバンドの音楽について語るのではないかと思われるかも知れないが、1970年代における彼の「輝き」は、もっと表面的で浮薄なものである。
ドノヴァンで、グラムロックで、ロンドンブーツで、ロキシーミュージックで、レゲエで、シンガポールで、バハマな彼の1970年代。新しければ、気持ちよければなんでもいい。興味が向いたらなんでも喰ってしまえ。
たしかに音楽家というも一流だったが、「作品」として突き詰められたものというよりも、アイディアのみずみずしさだけで勝負されたものが多い。
ちなみに、こんなことは追悼報道で誰も言わないと思うが、音楽家としては、アコースティック・ギタリストとしてもっとも優れていると思うのだが。
1970年代、まだまだカルチャー鎖国だったニッポン。彼のアンテナがキャッチした、ドノヴァンで、グラムロックで、ロンドンブーツなアイディアが、この国のカルチャーをすこしずつ極彩色に変えていった。
さて、木村カエラ や坂崎幸之助などとのコラボレーションを、ワタシはとても不愉快な思いで見つめていた。晩節を汚しているとまで思った。
「音楽でやるべきことがなくなった」という言葉を遺していたらしい。でも彼に求めていたのは、ぶっちゃけていえば音楽、なんかじゃない。もっと表面的で浮薄な―――アイディアだ。
もし木村カエラや坂崎幸之助とのお遊びを、彼が「やるべき音楽」と認識していたのなら、そもそもはその程度の音楽家だったということだ。
モーレツな時代を生き抜いてきた団塊世代が、ビューティフルな老後に向かっていく。そんな生き方へのアイディアはなかったのか。
最後に、彼の語られ方でワタシがいちばん好きなもの。ミカバンドでロンドン公演を行ったときの報道より。34年前の今日。自害した日のちょうど34年前に、彼はロンドンにいた。
「リード担当の男性シンガーはおそろしく着飾っており、おそらく英国人が見た中で一番背の高い日本人だろう」(レコードミラー誌。1975年10月18日)
このフレーズは、今夜からマスコミに溢れるであろうとても凡庸な追悼文のどれよりも、彼の本質を捉えているはずだ。
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■ 20091010/ビートルズは聴くものではなく読むものだ。
リマスター便乗本を山のように買い、読む。ほんとうにビートルズ関連の本を読むのは楽しい。
「ビートルズがはじめて4トラック・レコーディングをしたのは《I want to hold your hand》」
「8トラックは《while my guitar gently weeps》」
「初期はモノラルのほうが主流で、ステレオはまがいもの。ビートルズ本人も、ミックスダウンに立ちあわなかった」
「《She loves you》は1分29秒当たりでテープがつながれていて音質が変わる」
「武道館公演でビートルズは、ギターのチューニングを半音下げていた」
楽しい。ワクワクする。とくにワクワクするのは、このようなトリビア、それも、あの魅惑的な「音」をどう作ったのかという話に関連するものである。
つまりは、浪人時代、カセットの4トラックレコーダーを買い、理論的にはこれで《Sgt. Pepper's》と同じ音が取れるはずだと思い、ギターやベース、リズムマシンと、そのレコーダー、カセットデッキと格闘していた頃の興味の持ち方。
18歳の魂、42歳まで。
さて、リマスター盤、《Sgt. Pepper's》と《Abbey road》を買ったが、正直、音の違いはそんなにびっくりするほどのものではなかった。
理由のひとつには貧弱な装置で聴いているからだが、それよりも「CDの《Sgt. Pepper's》《Abbey road》をそれほど聴いていない」ということのほうが大きいと思う。
それらは大学時代、レコードで聴いていた。さらにいえば高校時代はカセットで聴いていた。それぞれ、マクセルのUD、TDKのADではなかったか。
つまり音質の差が草野球とプロ野球の違いぐらいあり、また時差もあるから比べることができないのだ。そしていうまでもなく、切実に響いたのは、あのころカセットで聞こえてきたビートルズである。
テープをつないで、ギターのチューニングを変えて、なんどもダビングして、4トラックという貧弱な機材で作られたマジカル・ミステリー・ワールド。
貸しレコード屋、さらにはFMの「エアチェック」。ヘッドフォン越しに聞こえてきたカセットのノイジーな音が連れていってくれたマジカル・ミステリー・ワールド。
素晴らしく劇的な出逢い。もうこれで十分なんじゃないか。
おそらくはじめて聴いたビートルズがCDだった層には、今回のリマスターは革命的に響くと思う。あと潤沢な装置で聴いている人にも。
ただ現実と格闘して、あまり時間もなく、それ以上にマスターテープをどう聴かせるか、ではなく、マスターテープに至るまでの過程にワクワクしてきたワタシにとっては、あまり必要ないものなのかも知れない。リマスター盤自体が。
むしろ、血肉化したビートルズについて、こんな文章を書き、こんな感じでパロディ曲 を作ることこそが楽しい(あ、これは8トラック。理論的には《Abbey road》と同じ!)
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■ 20091003/『キング・オブ・コント』必勝法。
たしかに東京03のコントは面白かった。が、もっと根本的なところで『キング・オブ・コント』は問題を抱えているという気がする。さらにいえば、それはコントというジャンルの問題だと思う。
「だって、いきなりカメラのフレームの外からダーッと走ってきて、パっと飛び蹴りして、そのままダーッといなくなったり(中略)、ああ、画面の向こうではすごいことが起きてる。
世の中は大変なことが起きているって思いましたよ」(高田文夫『笑うふたり―語る名人、聞く達人』
)
少年時代の高田文夫が、コント55号をはじめて観たときの感想。ワタシはこの文章が大好きである。「画面の向こうではすごいことが起きてる。世の中は大変なことが起きている」―――テレビでこんなことを思える瞬間、人生の中で何度もあることではない。
何がいいたいかというと「コント」と掲げておきながら、ほとんどが「テキストの笑い」 であって、体技=「ムービーの笑い」で勝負しようとした出場者がほとんどいなかったこと。そのバランスの悪さが、ワタシにとって居心地の悪さだということ。
個人的な趣味で言えば、コントより漫才を愛する。それも言葉によった「テキストの笑い」の漫才をこよなく愛する。という立場からいえば、漫才というメインディッシュではない、前菜やおつまみ的位置のコントは「ムービー」であってほしい、さらに言えば運動神経がもたらす笑いであってほしいと思う。
それはコント55号であり(全盛期には間に合わなかったが)、さらには80年代後半に新宿コメディシアターで観た、ウッチャンのバック転である。
象徴的だったのはサンドウィッチマンで、マクドナルドのネタは漫才としてやっていたものである。完全なテキスト笑い。
ダイナミックな運動神経系コントが衰退した理由として、彼らの「ライブ」がいわゆる小劇場系の空間で実施されることが多いということがありそうだ。そもそもが小規模の舞台で、「カメラのフレーム」に収まってしまう小さな笑いが熟成されていくのではないか。
それはNGKに代表される大きな舞台で大きく鍛えられていく漫才とは違う、小さく狭い熟成の仕方。
ということは、逆に言えば、いま、そのような運動神経系コントで、停滞するコント界を出し抜ける可能性があるということだ。
「いまシーンを見渡したら、RCサクセションみたいないわゆるロックバンドがいないことに気がついて、その市場を狙おうと思った」―――伊藤銀次が、新人バンド、ウルフルズのプロデュースをするにあたってこのようなことを考えたと、いつかインタビューで言っていた。
はんにゃの金田の運動神経はそうとうすごいと思う。チャンスがあると思う。ウルフルズになれると思う。
10/4追記:ワタシのfavoriteコントユニット=『お笑いスター誕生!』時のアゴ&キンゾー。
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