
クライアントJ氏は大学時代の恩師である。長く阿佐ヶ谷に住むJ氏から改装に際して一つのコンセプトをお聞きした。
住宅は古くなるにしたがって住宅自体の傷みや生活パターンによって使いづらくなることが多々ある。そこでスクラップ&ビルドによって新しい住宅を建てるのは一番簡単な解決法である。しかしそこに生活しつつ徐々に改装することによって緩やかに生活パターンに合わせていくのも一つの方法であり、この住宅はゆっくりと変化させていきたいと。
建築の歴史、特にイタリアの研究で著名なJ氏らしい方針の提示であった。建物の外観は変えずに内部を改装していくことにより新しい魅力ある空間を創りだすイタリア。かの地を愛する氏の考え方に即してこの改装計画は動き出したのである。
一部改装してはその場所を吟味するように生活する。そのため計画自体は非常にのんびりとしたものである。しかしそんな計画の進み具合は、そこに生活をする人間の余裕の産物のようにも感じられる。無理して急がず、ゆっくりと変化を続ける。この計画からは「住宅」とは作ることが目的ではなく「生活」を楽しむためにあることを再確認させてくれる。
既存平面図 S=1/200 計画平面図 S=1/200