ミランコビッチ
ユーゴスラビアの偉大な科学者(1879〜1958)ミランコビッチが提唱した、地球の自転や公転運動に伴った非常に長い時間での変動周期である。
地球の自転軸がゆらぐ運動が歳差とよばれるものであるが、ゆらぎの振幅が大きい時は2.3万年、小さい時は1.9万年の周期で変動している。
現在の地球は、公転面に対して自転軸が23.7度傾斜しているのであるが、この傾斜角は21.5度と24.5度のあいだを4.1万年の周期で変化している。
公転軌道は、円形に近い軌道と偏平な楕円軌道を約10万年の周期で繰り返している。 この楕円軌道の離心率は10万年周期の変動をすると同時に約41万年周期でも変動している。
1920年、ミランコビッチは、地球の歳差運動、地軸傾斜、軌道離心率の変化に伴って日射量が変化したため、大きな氷河が発達したものであるという「氷期の原因に関する天文学説」を提唱した。
日射量は、高緯度地方では4.1万年の地軸の傾きの周期に影響され、低緯度地方では2.3万年の歳差運動の周期に強く影響されて変動することを示した。
この学説は、当初は受け入れられたが種々の問題点が指摘されるようになり、しだいに忘れ去られていった。しかし、彼の死後18年も経過した1976年になって復活したのである。
ミランコビッチの学説が復活したのは、海底の堆積物に含まれる微生物の殻の酸素同位体の研究であった。
陸地から遠く離れた海洋では、海底の堆積物は海洋に生息する微生物(有孔虫が代表的である)の炭酸カルシウムの殻が、海水に溶けずに堆積する。この量は想像以上に多く、雪が降るように沈下するのでマリンスノー(海の雪)と呼ばれている。
海底堆積物に含まれる有孔虫の化石から求めた過去75万年間の酸素同位体の変動曲線から、41万年、10万年、4.1万年、2.3万年、1.9万年という周期が得られた。これらは全てミランコビッチ周期に当たるものである。
1976年にヘイズ、インブリー、シャクルトンの三人が、インド洋の堆積物中の有孔虫化石の酸素同位体比曲線を基にして「ミランコビッチ学説」を復活させて以来、1980年代はミランコビッチ周期に関係した膨大な研究論文が発表され現在まで続いている。