The Solar System

水星・金星・火星



地球型惑星と木星型惑星

水星、金星、地球、火星の四惑星は、平均密度が3.9〜5.5の範囲にあるのに対して、木星、土星、天王星、海王星の四惑星は0.70〜1.76と著しく小さい。このような明白な差異のため、前者を地球型惑星、後者を木星型惑星と呼んで区別している。


水星

水星は太陽から28度以上離れることがないため、地球から見ると常に太陽の近くに見える。観測が難しいため、近年まで殆ど何も知られていなかった。

19世紀の初め頃は、水星も他の惑星も地球と同じように24時間で自転をしていると考えられていた。

水星は太陽を2周する間にちょうど3回自転する。つまり自転周期は公転周期88日の3分の2に当たる58.68日であることが、1965年に電波望遠鏡による観測で初めて明らかにされた。したがって、水星の1昼夜は167日になり、その2公転周期に等しいという奇妙な世界になっている。

長い昼と長い夜が繰り返し、太陽から受ける日射量は地球表面の約7倍になり、昼の側では温度は430℃に達する。しかし夜はマイナス173℃まで下がり温度差は極めて大きい。質量は地球の約20分の1、表面重力は地球の38%である。高温になり弱い重力場を持っているが、水素とヘリウムの希薄な大気(1000兆分の1気圧)があることが、マリナー10号の紫外分光計の観測で測定されている。この希薄な大気は、太陽風で補給と消失が繰り返されている借り物の大気である。

平均密度が5.43と大きいのは内部に大きな金属核を持っていることを暗示している。大きな金属流体核があれば磁場の存在が考えられるが、マリナー10号が1974年3月末と1975年3月に水星の近接探査で実測した磁場は極めて微弱ではあるが存在していた。

月に比べて密度がはるかに大きい水星は、大きい金属核を持っているが初期に冷えて固まっているだろうし、自転が約59日と月の約27日より遅いため磁場がないと考えられていた。非常に微弱ながら月と違い、水星がなぜ磁場を持っているかは謎である。

マリナー10号による水星探査の結果、水星の表面は大小無数のクレーターで覆われて、月の表面とそっくりなことが明らかにされた。月面ではあちこちに海と呼ばれる黒く平らな部分があるが、水星の表面にはこれに対応するような部分は見られない。

水星データ・リンク


金星

金星は明けの明星、宵の明星と親しまれ、地球に最も近く、太陽、月の次に明るい惑星であるが、太陽と47度以上離れることがないため、地球から日の出の3時間以内に東空と日没後に3時間以内の西空でしか観測することができない。水星と同様に観測条件が厳しいので、一番近い惑星にもかかわらず分からない部分が多い。

金星は謎に満ちた惑星である。

他の太陽系諸惑星と異なり、金星だけは公転方向と逆向きに自転している。 すなわち、金星の地表では、地球と違い太陽が西から上昇して東に沈むのを見ることになる。

〇 自転周期が243.1日と異常に遅い。(地球は1日、火星は1.0261日)太陽が上昇してから沈むまで58日間(金星の1日は地球の117日)を要するため、動きが非常にゆっくりしている。

赤道傾斜角が177.3度と非常に大きい。(地球は23.44度、火星は25.19度)

金星が衛星を持っていれば、衛星の公転周期や金星からの距離から金星の質量を決めることができるが、衛星を持たないことから、衛星の観測から金星の質量を決めることができないため惑星探査機の運動から推測している。

表面を厚い雲(濃硫酸の滴)が覆って金星の本体を隠している。

1975年ソ連のベネラ9、10号が金星表面に着陸して科学的観測を行い金星表面は硫酸にそれほど浸食されていないことが明らかにされた。また大気圏外の日射量の約2%(地球上で雨の日くらいの明るさ)が地表に到達していることがわかった。

表面温度が400度以上である。
高温の原因は大気中の炭酸ガスによる温室効果によるものである。 

金星は濃密な大気と雲に包まれているため、望遠鏡による光学観測では表面模様はほとんど認められなかったが、1962年になって電波観測で自転周期、自転方向が確認され、1自転は243日、逆方向回転という意外な結果が得られた。

惑星探査機マリナー2号が、はじめて金星の接近観測に成功した結果、金星の表面気圧は90気圧、気温は470℃と極めて高いことがわかった。

大気組成は二酸化炭素95〜98%、窒素2〜3パーセント、雲層下の水蒸気0.1%、微量の一酸化炭素、二酸化イオウ、塩化水素なども検出された。金星を取り巻く雲層は地表から50〜70kmあたりに濃硫酸のしずくとして存在している。

金星の大きさや密度は地球と良く似ているが、地球のような磁場を持っていない。惑星がダイナモ作用による磁場を持つためには、金属流体核を持ち核内のマントルに相対的な運動が必要であるが、金星の自転が異常に遅いことから磁場が形成されないものと思われる。

金星はしばしば地球と双子のように似ているといわれる惑星なのに、その歴史に何か特別な出来事があったのであろうか、地表の状態や環境が地球と著しく異なっているのは興味深い。

金星データ・リンク


火星

金星は地球の内側を公転しているが、火星は地球の外側を公転している惑星である。ほぼ780日ごとに地球に接近するが、火星軌道の離心率が地球よりも大きいために接近距離が変化し15ないし17年ごとに大接近と呼ばれる接近が見られる。

火星の直径は地球の半分強、質量が1/10強というかなり小さい天体であるが、濃い大気や雲がないため、金星と違い地上からの望遠鏡観測によってかなり多くのことが知られてきた。

自転周期は地球の1日より37分余り長い、自転軸の傾き(25.19度)それから出てくる四季の存在、南北極に見られる極冠の消長、表面の暗斑の変化などが観測されている。

火星にはかつて水があったと思われる痕跡となる運河の存在についての論争も盛んである。火星面には雲の出現も見られ、特に黄雲とよばれるものは大規模な砂嵐と考えられてきた。

アメリカの惑星探査機マリナー4号(1965年)は初めて火星の近接撮影し、火星にもクレーターが存在することを示し大きな話題になった。その後の探査で南半球に数多くのクレーターが存在することがわかった。北半球にはクレーターが少なく、オリンパスの山と名付けられた山をはじめ大火山が存在することもわかってきた。オリンパス山は、高さが27,000メートルの巨大な盾状火山で低粘性溶岩の噴出によるものと思われる。

火星面には多くの複雑な谷の存在も知られており、マリナーの谷と呼ばれる谷は長さ4,000km以上の長大なもので、その一部は運河として観測されていることもわかった。

マリナー9号(1971年)は火星の人工衛星となり周回観測に成果をあげた。バイキング1号は火星面に軟着陸して生命探査を行ない、この直接観測で火星の大気圧は約6ミリバール、大気の組成は二酸化炭素95.3%、窒素2.7%、アルゴン1.6%と測定された。微生物の存在を調べるための土壌分析も行なわれたが、生命の存在も有機物も検出できなかった。

火星は太陽からの距離が地球の1.5倍に過ぎず、太陽の日射量も地球の半分弱あり、1日の長さも地球とほとんど変わらず四季の変化も見られる。このような火星表面の環境は、大気と水があり平均温度もそれほど異常ではないので、生命存在の可能性はゼロではないと思われる。

火星の赤い地面は鉄の酸化物によるものであることが確かめられ、土壌の鉱物には水を含むものがあることも判明した。流水によるものと思われる谷が数多く見られることから、過去には火星にもかなりの大気や水が存在したと考える人が多い。特に極冠の下など地下には凍土のような形で現在もかなりの水が存在するものと想像されている。極冠は氷雪と考えられてきたが、大部分は二酸化炭素が氷結したドライアイスであることもわかっている。

火星の南半球の夏にしばしば発生する大規模な砂嵐は、特に注目されている現象である。この砂嵐は火星面を急速に西進して南半球を覆い、南極地方やさらに赤道を越えて北半球にも侵入している。砂嵐は著しい温度差によって誘発された塵が太陽熱を吸収して温められるためさらに増幅されるというメカニズムによると推定されている。これら多数の塵の動きは、火星の大気現象の中心をなすものである。

火星は、フォボスとディモスと呼ばれる2個の衛星を持っている。フォボスは直径が20km、ディモスはその半分と非常に小さくじゃがいものような形をしている。火星の自転周期は24時間半である。フォボスの公転周期は7.7時間である。つまりフォボスは火星のまわりを火星自身より速く回転していることになる。このような衛星は、太陽系にある全部で約40個の衛星の中では他には見られない。
地球の人工衛星ではこのようなことがあることから、フォボスを火星の人工衛星でとする考え方も現われている。フォボスの公転周期が火星自体の自転周期より短いことについての明確な説明はされていない。

火星データ・リンク


チトス・ボーデの法則

ドイツのウィッテンベルグ大学教授チトスが、1772年に見出した太陽と各惑星の距離を天文単位で表わす数値として知られる法則である。

惑星の平均距離(天文単位)=0.4 x 0.3 x 2のn乗
これは、地球と太陽の距離1億5000万kmを1として表わした各惑星と太陽との距離である。なぜこのようになるかという理論的根拠は何もない。

この簡単な経験法則が発表された当時、惑星は地球の他に水星、金星、火星、木星、土星の5個が発見されていた。

1781年の3月11日の夜、イギリスの高名な天文学者ハーシェルが土星の外側に天王星を発見したことから大騒ぎになった。
天王星の太陽からの距離は19.2、チトス・ボーデの法則による距離は19.6である。実測値との違いはわずか3%足らずであった、これは驚くほどの一致である。

この結果、チトス・ボーデの法則は非常に注目されることになり、2.8の距離火星と木星の間に新惑星があるに違いないということになった。

ベルリン天文台の呼びかけで24人の天文学者からなる「未知惑星特捜隊」が編成され、未知の新惑星を発見するための積極的な動きになったほどであった。
天王星まではこの法則が当てはまっているが、海王星、冥王星にはこの法則による距離は当てはまっていない。