2006年2月


2006/2/1 寒のうち

読み返す文(ふみ)あり寒のさなかかな

 すっかり更新が滞って、いつの間にか立春をすぎてしまった。前の句が二日酔いの句で、そのまま寒が終わっては情けないので、時季はずれになってしまうけど、寒の句をあげておきます。


2006/2/10 年越しのジャガイモ

亡父去年(こぞ)よろこびたまふ寒のいも

 スーパーで売っているジャガイモは、冬になっても姿も味が変わらないけれど、自家製のいもは、夏に収穫して常温で保存しておくと、この時季、しなびてよれよれのあはれな姿になる。ところが、これが甘いのだ。
 何もせず、ただふかして、粗塩を振って食べるのが最高。若い頃は新ジャガこそジャガイモだと思ったが、今年はしみじみ食べた。


2006/2/14 雪見障子

薄明かり雪見障子を上げて見ん

 雪見障子というのは、障子の下半分が上に引き上げられ、外が見える仕掛けになっている。今どきは障子そのものが珍しいか。
 たまたまわが家にあるので、せっかくだから詠んでみたけど、つきすぎていますね。


2006/2/18 野焼き

村夫子あみだかぶりの野焼きかな

 当地の野焼きは、テレビで報じられるような大規模なものではなく、川の堤防の枯れ草を焼くこじんまりとしたもの。
「村夫子」は「そんぷうし」。あみだかぶりは帽子のかぶりかた。おっとりと日を追いかける風情が出ていればよし。


2006/2/20 父親失格

伊万里にて

子の祝ひ日を失念す夜半雪

 2月はじめ九州出張の折、まさかの雪。東北から見れば、九州ははるけき南国だと思いこんでいただけに驚いた。
 愚息が十七歳になったらしい。おろかな父は、きみの誕生日を忘れていたよ。ごめんな。


2006/2/24 立春

おろしたての剃刀粗き春立つ日

 いささか時候はずれだが、たまっていた句をいくつか書いておく。
 剃刀は「かみそり」。若い頃は電気剃刀(シェーバーというのか)を使っていたが、いつの間にかすっかり昔ながらのひげそりになった。
 歯を替えると、確かに切れるのだが、肌になじまないものだ。


2006/2/25 春いまだし

不如意なり酒熱くせよ夜の雪

 この冬は寒気が居座って、いっこうに暖かくならなかった。時折、雪が舞う夜もあった。
 不如意は「ふにょい」。


2006/2/28 伊豆

道問へば菜の花淡き伊豆言葉

 出張続きで、今度は沼津へ。空き時間に伊豆を少しだけ散策。


2006/2/28 足湯

足湯より春立ち上り男どち

 伊豆散策の折、旧い旧い友人が同行してくれた。お互い、頭髪の白さを笑うしかない。
 伊豆長岡であったか。まちなかに地元の人たちが使う足湯があった。もちろん、温泉。


2006/2/28 頼家の墓

人語絶えみつまた固き源家の墓

 修善寺は源頼家の墓。観光シーズンにはまだ早いと見えて、客の姿もまばらだった。
 崩れかけた粗末な墓石を隠すように、大きな石碑がある。古人は悲運の将軍をあわれんだのか。
「みつまた」は植物の名。

2006/2/28 三寒四温

今朝女房不機嫌三寒四温かな

 まこと、女とはむづかしい生き物らしい。


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